ヌートリア
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ヌートリア | ||||||||||||||||||||
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日本で野生化したヌートリア (兵庫県伊丹市昆陽池公園にて撮影) |
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分類 | ||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||
Myocastor coypus Molina, 1782 | ||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||
Coypu / Nutria |
ヌートリアは、ネズミ目(齧歯目)・ヌートリア科に属する(以前はカプロミス科に分類されていた)哺乳類の一種。
南アメリカを原産地とするが、毛皮を取るために移入したものが野生化し、現在、北アメリカ、ヨーロッパ、日本を含むアジアに帰化して分布する。
「ヌートリア」とはスペイン語でカワウソ(の毛皮)を意味し、原産の南米では本種のことを「Coipo」と呼ぶ。英名でも「Nutria」より「Coypu」の方が一般的である。かつての日本では、海狸鼠(かいりねずみ)、沼狸(しょうり、ぬまたぬき)などとも呼んだ。
[編集] 特徴
頭胴長40-60cm、尾長30-45cm、体重5-9kgの大型の齧歯類である。半水性で、池沼や流れの弱い河川の岸辺の土手などに巣穴を掘り、普通は雌雄のペアで生活をする。結氷するような寒冷地では生息できない。水辺の生活に適応しており、泳ぎが得意で5分以上潜水することもある。体つきはドブネズミなどに似るが、耳が小さく、後ろ足には水かきがある。オレンジ色の大きな前歯も特徴的。また、水上でも授乳できるよう、乳首がやや背中寄りについている。主食はマコモやホテイアオイなどの水生植物の葉や地下茎である。明け方と夕方に活発な採餌のための徘徊行動が見られ、日中は巣穴で休息していることが多い。雌は定住的で、雄に比べて行動範囲は狭い。若い個体は新しい縄張りを求めて移出する。
季節を問わず繁殖し、年に2、3回出産をする。妊娠期間は約4ヶ月で、平均5匹の子を産む。十分に発達してから産まれるため、丸一日後には泳げるようになり、3日後くらいには早くも成体と同じ餌を摂り始める。その後約半年で性成熟する。寿命は5~8年程度。
ヌートリアは丈夫で育てやすく、柔らかい上質な毛皮が安価に入手できるため、第二次世界大戦ごろには、軍隊の防寒服用として世界各国で飼育された。日本では1939年にフランスから150頭が輸入され、飼育が奨励された。このころは軍隊の「勝利」にかけて「沼狸」(しょうり)と呼ばれ、1944年ごろには、日本全国で4万頭が飼育されていた。
終戦後、毛皮の需要が激減したことに伴い、その多くが野外に放逐された。また、1950年代の毛皮ブームでは本種の飼育が流行したが、その後の毛皮価格の暴落に伴い、このときも多数が野に放たれ、野生化している。これらの子孫が各地で定着し、西日本各地(広島県、岡山県、島根県、香川県と近畿・中京の各府県)に分布が拡大していたが、千葉県や静岡県の一部でも生息が確認されており、今後も拡大すると考えられる。特に岡山県にはかなりの数が生息しており、年間約800~2000頭もが害獣として捕獲・駆除されている。
[編集] 害獣ヌートリア
日本では侵略的外来種として問題になっており、イネやオオムギ、葉野菜などに対する食害のほか、絶滅危惧種に指定されているベッコウトンボの生息地を壊滅させるなど、在来種の生態系への影響も深刻である。さらに、本種の巣穴は複雑に入り組んでいて深く、水田の畦が破壊される原因にもなっている。
1970年代のイギリスでは、10年がかりで約100万頭を捕殺し、絶滅にまで追い込んだ。人間の勝手な都合に翻弄される可哀相な動物ではある。