トラウデル・ユンゲ
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ゲルトラウト・ユンゲ(Gertraud Junge, 通称:トラウデル(Traudl Junge),1920年3月16日 - 2002年2月10日)とは、独ソ戦の転換点になるスターリングラードの戦いの最中1942年12月からアドルフ・ヒトラーの私的秘書を勤めた。舞踏家を夢見る活発な女性であった。ベルヒテスガーデンの山荘、オストプロイセンの総統大本営のヴォルフスシャンツ、ベルリンの総統官邸に至るまで、ごく身近な場所からヒトラーの私的な時間をつぶさに目撃した。ヒトラーの従卒の親衛隊員(Hans Junge)と結婚する。夫は1943年に戦死する。戦争が終わったときは25歳であった。ソ連軍の捕虜になったが、どさくさの中で彼女が何者だったのか、充分調査されることもなく釈放された。ユンゲは、結婚後の姓である。旧姓フンプス(Gertraud Humps)。ヒトラーの遺言状も彼女がタイプした(1942年-1945年)。ドイツ南部ミュンヘンの生まれ。父はビール醸造職人であった。彼女は、戦後一度も自分がヒトラーのそばにいて、非人道的な行為の加担者の1人であったことを認めなかったし、また公式の謝罪も行わなかった。ナチス活動審査委員会で審問されたが罪は問われなかった。
1996年ドイツのテレビ局ZDFが、『ヒトラーと6人の側近たち』というシリーズ番組を制作した折に第1回の「ヨーゼフ・ゲッベルス」に証人として登場している。
1947-48年に執筆され、2002年に初めて刊行された彼女の著作『Bis zur letzten Stunde - Hitlers Sekretärin erzählt ihr Leben,邦訳:私はヒトラーの秘書だった、2004年、草思社』をもとに2004年映画『Der Untergang,邦題:ヒトラー ~最期の12日間~』)が制作される。第二次大戦後、ドイツでヒトラーを主人公に製作された初めての映画である。アレクサンドラ・マリア・ララ(Alexandra Maria Lara)が、彼女の役を演じた。