スクランブル
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スクランブル (scramble) とは、「ひっかきまわす」という意味の語からの派生語。日本語では以下がよく使われる。
- 軍事用語(本項で記述)
- スクランブルエッグ。
- スクランブル交差点。
- ある種の変調・符号。スクランブル符号、スクランブル処理、スクランブリングとも。
- 登山の一形態。スクランブリングとも。クライミングよりは簡易で、ハイキングよりは過酷なもの。
- 次のものの名称
- スクランブルPHOTO。1983年ごろ発行されていた新英出版の写真週刊誌。
- スクランブル (ゲーム)。コナミのシューティングゲーム。
- 楽曲
- テレビ番組
- ワイド!スクランブル(テレビ朝日系列)
- サタデースクランブル(テレビ朝日)
- Sunday!スクランブル(テレビ朝日系列)
- ニューススクランブル(よみうりテレビ)
- 久米宏のTVスクランブル(日本テレビ系列)
- スクランブル3(日本テレビ系列)
- 「ひっかきまわす」の意。現代の航空戦においては航空機の速度が速く、そのため戦闘における初度の対応如何で戦闘、戦争の帰趨を制する面が大きい。そのためそれぞれの戦闘状況等に応じた待機航空機に対して迅速かつ一元的に指令を出す手段として使われているものである。通常指揮系統等の手続きを極力簡素化し、めまぐるしく移り変わる戦闘の状況等に応じた戦術判断を素早く実行させるために用いられている。
- 航空自衛隊においては、24時間の警戒待機(アラート)任務に就いている要撃機 (F-15、F-2、F-4EJ改)に対して、全国4つの担任防衛区域ごとある防空指令所の指令により発出される緊急発進指令のこと。現行においては各要撃機とも受令から5分以内に離陸できる態勢(5分待機)を維持、国籍不明機が防空識別圏に侵入する様子を見せた時点で“発進待機”つまり操縦席に就く―侵入されたら“発進”の手順を踏む(従来は消防よろしく、出動命令のブザーで初めて待機室から飛び出し「スクランブルだ! エンジン回せーっ!」とやっていた)。
- スクランブルの目的は、平時においては主に日本の領空に接近する彼我不明機に対して自衛隊法84条に基づく対領空侵犯措置を行うためになされているほか、緊急状態や遭難状態にある航空機に対するエスコート(緊急受け入れ態勢を取っている飛行場への誘導)、地震や災害時の航空偵察などの際もスクランブル指令によって発進した要撃機が行う場合もある。
- アメリカ海軍の空母航空団においては、常時4機の戦闘機がFAD(艦隊防空)のアラート任務に就く。うち2機はスクランブル発令後5分以内に出撃出来る「コンディションI」の状態にあり、カタパルトから近い位置にスポッティングされて搭乗員が機内で待機し、プリフライトチェックも済ませている。残りの2機は「コンディションII」であり、搭乗員は艦内の待機室にて待機、スクランブル発令後に搭乗し、発令から30分で出撃可能となる。搭乗員の体力からコンデシションIの機内待機は1時間が限度と云われ、乗員は1時間置きに機外で待機するコンデシションII要員と交代し、コンディションIIに移行する。母艦ないしは護衛の水上艦艇の艦載レーダー、あるいはE-2等の早期警戒機が所属不明機の空母攻撃群への接近を感知するとスクランブルが発令され、コンディションIの2機は直ちにエンジンを始動、カタパルトに就き射出される。同時にコンディションIIで待機中の機体にも機外待機中の乗員が搭乗、状況に応じて射出される。出撃を察知させないために発令から発艦後暫くの間、早期警戒機ないし母艦のCDC(戦闘指揮センター)との交信が始まるまでは電波封止下に置かれる。空母攻撃群は主に領海外で活動するため、平時においては艦隊防空機の主務は所属不明機或いは敵性航空機への監視となるが、敵機の行動如何によっては交戦も有り得る。また戦時にあっては無論迎撃が行われる事になる。
- 戦時にはCAS(近接航空支援)任務についてもアラートが行われる。機体は爆装した状態で格納庫、リベットメントないしは空母艦上で待機する。