ショートニング
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ショートニング(Shortening)は、主として植物油を原料とした常温で半固形状(クリーム状)の食用油脂である。マーガリンから水分と添加物を除いて純度の高い油脂にしたものと考えてよい。パンや焼き菓子などにバターやラードの代用として利用される。無味無臭で、製菓に使用すると、さっくりと焼き上がる。揚げ油に使用すると、衣がパリッと仕上がる。
液状の植物油を固形状にするため、水素添加を行い不飽和脂肪酸の二重結合部分を飽和させることで工業的に生産される。もともとは、ラードの代用品として考えられた製品である。工業的に生産されるので品質のばらつきが無く、利用目的に合わせた自由な物性を作り出すことが可能で、安価であることから多くの加工食品に多用されている。
水素添加の処理時に脂肪酸が変性し、天然にはほとんど存在しないトランス型脂肪酸が大量に生成される。これが人体へ悪影響があると主張されている。一方で、製造者たちは、トランス型でない脂肪酸によって受ける健康被害のほうが、トランス型脂肪酸の害よりもはるかに高いと主張している。
2003年にデンマークが行政命令によって食品中のトランス型脂肪酸の量を規制しはじめた(罰則規定あり)。また、カナダとアメリカ合衆国では、トランス型脂肪酸を使用しているかどうかの表示が2006年1月から義務付けられた。アメリカ合衆国では、2003年5月に、スナック菓子製造業者Kraft Foodsに対して、トランス型脂肪酸を使わないように求める訴訟が起こされた。この訴訟は、製造業者が代替品を見つけると約束したことで取り下げられた。この訴訟は、アメリカ国内で、トランス脂肪酸に対する論議を活発にすることに役立った。