サモンナイトシリーズ
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サモンナイトシリーズ(Summon Night series)は、バンプレストより発売されているシミュレーションRPGシリーズ。開発元はフライト・プラン、シナリオは都月狩、キャラクターデザインは飯塚武史。
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[編集] 概要
第1作は2000年1月6日に発売され、ポップなイラストと手頃な難易度のシミュレーションRPGとして人気を博し、後にシリーズ化される。『サモンナイト2』『サモンナイト3』はシミュレーションRPG、『クラフトソード物語』『クラフトソード物語2』『クラフトソード物語 ~はじまりの石~』はRPG、『サモンナイト エクステーゼ 夜明けの翼』はアクションRPGとしてリリースされている。
なお、2006年11月30日、シリーズ最新作である『サモンナイト4』がシミュレーションRPGとして発売された。
シリーズを通して、同一の世界(エクステーゼは除く)とほぼ同じ時代を舞台としているので、前作の物語が関係するイベントがあったり、前作のキャラクターが登場したりしてファンを楽しませてくれる。また、ドラマCDや小説等も発売されており、そちらではゲームでは語られなかったエピソードが語られている。
[編集] 世界観
物語の舞台となる異世界「リィンバウム」はいわゆる中世ファンタジーに似た世界であるが、召喚術の力による近代的な工場や鉄道なども見られる。リィンバウムの他にそれを取り巻くようにして4つの異世界が存在し、それぞれ「機界・ロレイラル」「鬼妖界・シルターン」「霊界・サプレス」「幻獣界・メイトルパ」と呼ばれ、独自の文明を有している。
また、上記の4つの異世界とは異なる、いくつもの「名も無き世界」の存在も確認されており、われわれがいる世界もその内の一つである。
[編集] リィンバウム
主に人間が暮らす世界。「選ばれた魂が集う楽園」とも、「転生の価値がなくなった魂がさまよう煉獄」とも呼ばれている。
豊富な魔法力(マナ)に満ちており、それを狙いとして4つの異世界から度々侵略を受けていた。それに対抗する手段として「送還術」「召喚術」が発達し、最終的には「エルゴの王」と呼ばれる英雄によって他の異世界との境界に結界が張られ、半恒久的に異世界からの侵攻を防ぐ事に成功。その後、エルゴの王を中心とした王国が誕生するが、エルゴの王の死後、権力争いがもとで分裂し、現在は、大陸中央の「聖王国」、北方の「旧王国」、西方の「帝国」の三国家が存在する(いずれも国家元首に「エルゴの王」の血統者を据え、国家の正当性を謳っている)。そのような理由で成立したゆえに、国家間の関係は極めて悪い。統治機構としての国家はあまり重要視されてはおらず、地方ごとの大都市を中心とした統治が為されている。
- 聖王国
- 「エルゴの王」の直系子孫を国王に据えているリィンバウム最大の国家。王に委任された大臣が政を行っている。
- 召喚師の派閥である、「蒼の派閥」と「金の派閥」の総本部がある。王都はゼラム。
- 旧王国
- 聖王国の支配を良しとしなかった王国の軍人たちが、「エルゴの王」の庶子を担ぎ出して興した軍事国家。
- 徹底した権威主義で知られ、国民たちを外部から隔離したため、幾度も内乱が勃発し、現在は衰退の一途をたどっている。
- 聖王国を打倒し、王国を復興させることを至上の目的としている。
- 帝国
- 「エルゴの王」の血を引く皇帝を擁する国家。旧王国の閉鎖的な体制に反発した者たちが興した新興国家。
- 召喚師の派閥が存在せず、召喚術は軍によって厳重に管理されている。帝都はウルゴーラ。
[編集] 機界・ロレイラル
機械兵士と呼ばれるロボットやそれに準ずる機械達の世界。機械技術・情報科学が発達しており、高い技術レベルを誇るが、この世界の人類が起こした機界大戦という世界規模の戦争により荒廃し、生物が住めない世界となっており、現在ロレイラルの大地に存在するものは、暴走した機械兵器がほとんどである。
この世界の人間は融機人(ベイガー)という、機械と生身の肉体が融合した人類であるが、地上がこの有様のため、生き残った者たちは地下シェルターに避難し、コールドスリープを繰り返しながら生き延びているらしいが、詳細は不明。一説によるとリィンバウムに亡命した一族もいるらしい。
[編集] 鬼妖界・シルターン
鬼や龍、妖怪たちが住む世界。その他に忍者、侍、巫女、神社、蕎麦、醤油等、文化・習俗について中世日本を思わせ、リィンバウム以外では唯一人間の住む世界でもある(融機人や亜人を除いて)。そのため、メイトルパの住人に次いでリィンバウムに帰化した者が多いのも特徴である。
「野は人の領分、山は妖怪の領分」として暗黙の了解がなされており、両者の対立は少ない。何かしら問題が起きた場合は、龍神や鬼神に仕える「道の者」と呼ばれる宮司(グウジ)や巫女(ミコ)が間に立って仲裁する。「鬼道」や「龍道」と呼ばれる陰陽術のような術体系が存在するが、詳細は不明。
[編集] 霊界・サプレス
幽霊、悪魔、天使等の霊的な存在が住まう世界。かつて、リィンバウムに最大の危機をもたらした大悪魔「メルギトス」や、メルギトスを封印したとされる豊穣の天使「アルミネ」もこの世界出身である。この世界の住人たちは実体を持たず、リィンバウムに召喚された時はマナによって自らの肉体を構成する。マナで構成された肉体は消耗が激しいため、長時間の実体化は難しいとされている。
魂の輝きを慈しみ、それを育てていくことを至上の喜びとする天使と、怒りや悲しみなどの負の感情を好み、それを糧とする悪魔は天敵同士であり、はるか昔から争いが続く混沌とした世界でもある。「奇跡」や「魔法」と呼ばれる術体系があるが、詳細は不明。
[編集] 幻獣界・メイトルパ
様々な幻獣や亜人(獣人のような存在)達が暮らしている緑豊かな世界。亜人達は同じ種族同士でまとまり、さらに幾つかの部族に分かれて暮らしている。
労働力として召喚されることが多く、はぐれ召喚獣と化してしまう者も多い。 魔除けや邪悪な者を祓うことを得意とする「呪い(まじない)」という術がある(精霊信仰のようなもの)が、特定の部族のもの以外は使えないようである。
[編集] 召喚術
召喚術(サモーニング)はリィンバウムで発達した特殊な魔法。元々は送還術(パージング)と呼ばれる、異世界からの侵略者を元の世界に追い返す技術であったが、これを逆利用する事で異世界から使役対象を呼び出し、その力を行使させる技術となった。
召喚の基本原理は、サモナイト石と呼ばれる特殊な鉱石にマナを注ぎ込んで異世界との通路を開き、召喚対象の「真の名」を唱えて「誓約」によってリィンバウムに呼び出す、という2つの段階に分かれる。
なお、サモナイト石には5色(黒・赤・紫・緑・無色)の色があり、それぞれ対応する色の世界の存在を召喚することができる。 (ただし、無色のサモナイト石だけは例外で、名も無き世界の存在を呼び出すことができる。その世界の詳細は世界観を参照)
召喚術を用いる者を召喚師、使役対象を召喚獣と呼ぶ。異世界から呼び出されたものであれば、人間でも無生物でも召喚獣と呼ばれる。元の世界に送還されず、召喚師の護衛としてリィンバウムに留まる召喚獣を護衛獣と呼び、召喚師のもとから逃亡したり、召喚師が死亡したりして元の世界へ帰れなくなった召喚獣をはぐれ召喚獣と呼ぶ。
召喚師は家名によってその出身と実力を証明し、その強大な威力と相まってある種の特権階級でもある。召喚師の組織を「派閥」と呼び、代表的なものとして「蒼の派閥」「金の派閥」「無色の派閥」が挙げられる。その他、特定の派閥に属することなく、独自に召喚術を研究している召喚師の一族もいる(ノイラーム家、アフラーン家など)。
- 蒼の派閥
- 真理の探求を目的とした学究的な組織で、世俗的繋がりや政治的関与を極力避けている。新人召喚師の育成も積極的に行っている。
- 召喚術に対する考え方の相違から、金の派閥とは折り合いが悪い。聖王国の王都ゼラムに本部がある。
- 金の派閥
- 召喚術による利益追求を行なっている実利主義的な組織。政治にも積極的に関与している。
- 蒼の派閥とは対照的に、召喚術は各家々ごとの秘伝とされている。聖王都南西の港街ファナンに本部がある。
- 無色の派閥
- 蒼の派閥、金の派閥いずれの派閥にも属さぬ、原理主義的な召喚師の集団。前者二つの派閥のように、まとまった組織ではない。
- 目的は同一ではないが、召喚術による世界刷新や国家転覆など、過激な思想を持った者が多い。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] リィンバウムに大きく関わる伝説の人物
- 誓約者(リンカー)
四界すべての召喚術に精通し、誓約による束縛ではなく信頼によって召喚獣を使役する「召喚師を越えた究極の召喚師」。通常の召喚術は誓約によって強制的に召喚獣を従わせることで成り立っているが、誓約者が使う召喚術は召喚獣と心を通わせることで彼らの助力を得るものである。初代誓約者は「エルゴの王」と呼ばれ、エルゴ(界の意志)から強大な恩恵を受けるようになった。彼はその力を駆使し、リィンバウムへ侵攻していた異界の住人の侵入を防ぐ結界を張り巡らせ平和をもたらした。現在、「エルゴの王」に次ぐ新たな誓約者が聖王国辺境の街に出現したらしい。
- 調律者(ロウラー)
「エルゴの王」出現以前に最強と謳われていた召喚師の家系、クレスメント家の尊称。その強大な魔力は「運命をも律する」と言われるほどであったという。現在、クレスメントの一族は離散し、その末裔たちの行方は定かではない。
- 抜剣者(セイバー)
「適格者」とも呼ばれる。核識となりうる魂の資質を持ち、「闇を切り裂き、救いの道を開く者」とされている。サモナイト鉱石から鍛えて作成された二振りの魔剣、碧の賢帝「シャルトス」や紅の暴君「キルスレス」を利用して境界線(クリプス)から強大な力を引き出し、それを行使することが出来る。双方とも持ち主の心の強さでその力を増す。
後に、碧の賢帝「シャルトス」は破壊され、果てしなき蒼「ウィスタリアス」へと生まれ変わった。また、不滅の炎「フォイアルディア」と呼ばれる魔剣も登場している。
- 伐剣者
「キルスレス」の適格者の称号。物語の進行具合によっては「シャルトス」の適格者がこの称号で呼ばれることもあり得る。抜剣者とは反対に、「救いの道を閉ざし、闇の扉を開く者」と考えられるが、詳細は不明。