コズミック・ファンタジー
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『コズミック・ファンタジー』は1990年から1994年にかけて、かつてPCエンジンとメガドライブで発売された日本テレネットのブランド「レーザーソフト」(メガCD版のみ「RIOTブランド」)によるRPGシリーズである。企画・シナリオ・監督は漫画映画家の越智一裕、メカデザインはアニメーターの小原渉平。 CD-ROMによるテレビゲームの黎明期に「RPGの重要シーンにアニメーションを使って表現する」手法(作品中は「ビジュアルシーン」と呼ばれている)を本格的に採用した作品。
ゲームを原作として、後にファンクラブ発足や小説、漫画、OVAが発売されるまでに至る人気作となった。 このうち漫画版は、月刊PC Engine FAN誌において、越智一裕本人によって1年3ヶ月間連載され、いくつかのコマを修正後に単行本(全2巻・徳間書店・現在廃刊)化された。 その時と第1作目「冒険少年ユウ」を比較すると、顔の輪郭など明らかに絵柄が変化している。
シリーズ作品中PCエンジン版の「2」と、メガCD版の「ストーリーズ」のみ英語に翻訳されて、アメリカをはじめとした外国で発売された。
目次 |
[編集] 基本的なゲームシステム
本シリーズは基本的に、主人公の「コズミック・ハンター」(民間組織CSC「コズミック・セキュリティ・カンパニー」に所属する。警察の刑事のようなもの)が一つの星を探索し、最終的に宇宙海賊などの敵を倒すというのが大まかなストーリー。
その中で、主人公級のキャラは各作品において男女2人を基本(それぞれが最初は単独で行動しており、その出会いの過程も含まれる)とし、その後1作品中~数作品を経て恋愛感情にまで発展していく。
ゲームシステム上はロード時間が長かったり、敵キャラのエンカウント率が高いなど、あまり良い物とはいえなかった。
また、その作品のヒロインが初めて登場する際には「おやくそく」と言われるシーンがある。 それはヒロインが初登場する際シャワーシーンなどで全裸で出てくるものだが、最初は手や湯気で隠していたものの、表現方法がゲームや漫画のシリーズが進むに連れて次第にエスカレートしていった(当時は家庭用ゲームに年齢制限やCEROレーティングなど存在しなかった。またプラットフォームであるPCエンジンがそのような表現に比較的寛容だったことも挙げられる)。
これについては越智本人も徹夜続きで歯止めが利かなかったと漫画版の単行本上で書いている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 作品
物語上の時間軸は「3」→「冒険少年ユウ」→「2」→「4」の順番となる。
[編集] コズミック・ファンタジー 冒険少年ユウ
1990年3月30日 に発売。PCエンジンCD-ROM²システム黎明期に出来たRPG。このゲームのオープニングは西村知美が歌う「光の海の中へ」が起用された。(以降本作品を「1」と表記する)
[編集] コズミック・ファンタジー2 冒険少年バン
1991年4月5日 に発売。主人公はバン・リムと前作と全く違うものになる。この作品以降、前作「1」のユウ・サヤ・もんもも登場し、メインの4人が初めて出揃う作品。
またPCエンジン版で唯一、英語版もある。ゲームの中身は一緒であるが、外箱パッケージが劇画調に描き直されているのと、ビジュアルシーンが英語に吹き替えられている。日本製のPCエンジンでプレイできる。
[編集] コズミック・ファンタジー・ストーリーズ
1992年3月27日にメガCDで発売された1・2を一つにまとめたもの。 これも英語版が発売された。メガドライブを使用したもの、そしてブランドが「レーザーソフト」ではなく「RIOT」として出されたものとしては唯一のコズミック作品。
[編集] コズミックファンタジービジュアル集
1992年2月12日に発売された。1・2のビジュアルシーンを集めたもの。PCエンジンCD-ROM²版のみ。
[編集] コズミック・ファンタジー3 冒険少年レイ
1992年9月25日に発売。1より前の話。プラットフォームがこの作品からスーパーCD-ROM²となった。 またシリーズの正式な主題歌「コズミック・ファンタジー」(歌:高山みなみ)と、エンディング曲として1のBGMに越智が歌詞をつけた「ニャンの歌」が初めて使用された作品。 2以前の主人公達も出てきており、その中でユウがタイムマシンを使って過去(レイ・マイの時代)に旅立つ。
ちなみにこの時は電車の中吊り広告ポスターも制作された。
[編集] コズミック・ファンタジー4 銀河少年伝説突入編 伝説へのプレリュード
[編集] コズミック・ファンタジー4 銀河少年伝説激闘編 光の宇宙(うみ)の中で・・・
1994年6月10日に突入編が、11月25日に激闘編が発売されたスーパーCD-ROM²による現時点でのシリーズ最後の作品。 突入編はユウ・サヤ・もんもの「アルジャーノンチーム」、激闘編はバン・リム・ピックの「リトルフォックスチーム」が主役。
以上で第一部は完結するが、第二部は制作されないまま現在に至る。
[編集] キャラクター
[編集] メインキャラクター
- ユウ(声 : 高山みなみ)
- 宇宙を守る腕利きのコズミック・ハンター。ピンチになると強力なサイキックを使用し数々の事件を解決してきた。ネズミをモチーフにした宇宙船「アルジャーノン」と、バイク型ロボットの「もんも」と常に一緒に行動し、何故かクマの顔が描かれたヘルメット「ももんがヘルメット」をいつも被る。外観や年齢に似合わずくさいセリフを平然と吐けたり、後のシリーズ作品でもその作品の主人公を差し置いて最もオイシイところを持って行くなど一番優遇されている。
- 後に日本テレネットの作品なりトレ~ザ・スゴロク'92~にも双六のコマとして出演する。
- サヤ(声 : 高田由美)
- 「冒険少年ユウ」のヒロインで、妖姫モルガンを倒した勇者ティタニスの末裔で銀河魔法を使用する。惑星ノーグ出身で「1」のユウと合流後共に銀河へ旅立ち、コズミック・ハンターとなる。ユウより2歳年上。ユウと知り合った際、このシリーズの方向性を位置づけた「おやくそく」として登場させられた最初のヒロイン。漫画版第1話で越智からニャンを経由して新しいコスチュームを貰った(理由は肩当て等のデザインが複雑で描きづらかった)ことにより、ゲーム上では漫画版以降に発売された「4」から反映されている。普段の髪型は紫毛のツインテールだが、稀におろしている姿が見られることがある。
- また、後にビクター音楽産業が出したCD-ROM²マガジンウルトラボックス第3号の「プリンセス・オブ・PCエンジン」で紹介されたり、なりトレ~ザ・スゴロク'92~にも双六のコマとして出演する。ちなみに「プリンセス~」では実の兄は「風のシルフ」(注:「1」で登場した敵キャラ)と紹介されている。
- バン(声 : 関俊彦)
- 「2」の主人公。イデア星出身。とにかく活発で脳みそより筋肉が先に動くタイプ。イデアでは畑仕事を手伝わず、いつも狩りに出かけるところを幼馴染のラーラに怒られているのが日課だった。「2」でラーラとの恋が破れた後は、リムの手ほどきでコズミック・ハンターになろうと決意するが、何回も試験に落ちることになる。「4」でリムと共にコスチュームが若干変更になる。
- 後になりトレ~ザ・スゴロク'92~にも双六のコマとして出演する。
- リム(声 : 鶴ひろみ)
- 「2」のヒロイン。ユウにあこがれてコズミックハンターになったばかりの少女。キツネをモチーフにした「リトルフォックス」に乗って行動する。ガサツな性格で、中指を立てる仕草も平気でやるが、実は銀河系の大手貿易会社ノーランディア貿易の社長令嬢(後に漫画版で判明。ちなみに父親の名前は「ジェフ・ノーランディア」)。後にバンを好きになるが、バンがなかなかラーラのことを忘れられないことに嫉妬するようになる。作品中で苗字が公表されているのは彼女だけである。初登場時よりつけているサスペンダーは越智が彼女の胸を強調する為につけたものだが、「4」から変更されている。
- 後になりトレ~ザ・スゴロク'92~にも双六のコマとして出演する。
- レイ(声 : 辻谷耕史)
- 「3」の主人公で初登場時は17歳の少年。他人を治す不思議な力を持っている。後にマイ・ダイゴ・ニャンと知り合いダイゴのCSCの立ち上げに尽力することになる。「3」のゲーム中では残念ながら色々なキャラに振り回される。後にユウの父親となるが、ユウがコズミック・ハンターとして活躍する頃にはマイと共に消息不明になる。この消息不明になった理由は明らかにされていない。
- マイ(声 : 冬馬由美)
- 「3」のヒロインでダイゴの妹。ダイゴの考えに同意して銀河を旅をする中で、レイと知り合う。「3」の後レイと結ばれてユウを産む。(レイと結ばれる前に「3」で一度息子のユウに会っているが、お互い直感で理解している)現在はレイと共に消息不明である。
- 元連邦軍のエースパイロット。「3」の後、レイ・マイ・ニャンの手助けで宇宙平和を守る民間組織CSC「コズミック・セキュリティ・カンパニー」を立ち上げる。血縁関係で言えばユウのおじにあたるが、普段はユウ達の上司として「トキダ長官」と呼ばれる。
- ユウ・サヤ・もんもと並んでシリーズ全作品に出ている自称銀河一の星間商人。シャム星出身。普段はズルをしてでも金儲けに走るが、主人公がピンチに陥るといつもどこからともなく現れてアイテムを「売りつける」(「あげる」ではない)。「3」以降はCSC創設に手を貸した。シャム星の者は2年で1つ歳をとるため、年齢の進みは遅い。ある意味このシリーズのシンボル的存在。笑い声が「ひゃひゃひゃ」で、語尾には息子のピックと共に「~でし」が付く。
- 赤い頭巾とチャンチャンコは水戸黄門をモチーフにした。
- ピック(声 : 中野聖子、「3」以降は深雪さなえ・ニャンと二役)
- 「2」から登場するニャンの息子の一人。天才的な頭脳を持ち、いろいろなメカを発明する。父親であるニャンは「3」で登場するプリシラと13匹の子供を作るが、作品中出てくる息子は長男のピックのみである。後にバン・リムと共にリトルフォックスに乗って行動し、後に強力なネコ型兵器「キルケニー」を発明する。
- もんも(声 : 高田由美・サヤと二役)
- ユウと共に行動するモモンガ型の生体メカで、バイクになったり空を飛んだりする。元々ユウの両親であるレイとマイからプレゼントされたものであるが、見かけが「タヌキ」とニャンによく言われるため、ニャンと常にケンカが絶えない(ユウもプレゼントされた時に同様の発言している)。「1」で街の間を移動するときにもんもに乗って移動する事が出来るが、エンジン音は「口」で言っている。
- 語尾は「~だっち」。
[編集] 主なサブキャラクター
- マザー
- ユウの愛機「アルジャーノン」のメインコンピュータの愛称。モニタには女性の姿で出てくる。
- ダンディ
- リムの愛機「リトルフォックス」のメインコンピュータの愛称。マザーとは逆に男性の姿でモニタに出てくるが、リムに良いように振り回される。
- ラーラ(声 : 皆口裕子)
- 「2」で登場。バンの幼馴染だったが、王族の末裔であり「彼女と結ばれると大いなる力が手に入る」という理由から惑星イデアの征服を企むガラムによって悪用されて、不本意ながらガラムの妻にされてしまう。両想いだったにもかかわらず、20年後の未来に飛ばされたバンの想いは空しく、バンが助けに来る数年前に死亡してしまう。
- アニー
- 「2」と「4激闘編」に登場する魔導士。バンと出逢った時は7歳の子供だったが、2でバンが20年後に飛ばされた後に再会した時は大人の女性として成長していた。「4」でバンを庇う為にガラムとラーラの息子ガッシュの攻撃を受けて死亡してしまう。
[編集] 雑記
- かつて越智一裕公式サイト「コズミックセキュリティクラブ」においてコズミック関連のイラストを公開していた。現在はサイト自体が閉鎖されている。