グッドウィル・インダストリーズ
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グッドウィル・インダストリーズ(Goodwill Industries International)は、37ヵ国で障害者や働き口を求める上で社会的に不利な立場に置かれている人たちのために職業訓練を提供したり、雇用サービスを行ったりする活動を行っているコミュニティに根ざした自立的な公益企業である。グッドウィルは、人種、信条の違いなどに係わらず、すべての人に尊敬と敬意を持って係わることを旨としている。いかなる宗派、教派にも属さず、また特定の宗教、教団とも提携関係をもっていない。人材派遣業のグッドウィル・グループとは一切関係ない
[編集] 企業活動
グッドウィルは、寄付された品物や修繕、修理が必要な衣類の回収を行っている。品物は、傘下の小売店に出され、そこで販売されているが、一部はその店で働いている人たちに上げてしまう分もある。グッドウィルの哲学は、「人の手に手渡しはいいが、配るのはダメ」、「チャンスを与えるのはいいが、お情けはダメ」というものである。ヘルムズは、グッドウィル・インダストリーズを「社会サービス事業のような企業活動で、・・・僅かな就職可能性しかない人たちに雇用と訓練とリハビリテーションの提供者であり、一切の手づるを使い果たした人たちのための一時の支えを提供する仕事」と言ったことがある。
加えて、グッドウィルは、職業訓練を指導監督した後、公益部門や民需部門での契約仕事を提供し、その労働者にまず仕事の場所を確保するように努めている。
グッドウィルは、その他の理由により同様の方面で活動する他の企業、たとえば救世軍のような団体とはかなりの違いを見せている。グッドウィルは、その価格設定では他のブランド、(たとえば、ギャップ、"Gap" の衣類の定価)とは全く異なり、品物のタイプ(たとえば、シャツ)によってその店の大半の商品の価格をつけている。これはユーザーの購買意欲をそそり、有名ブランドの商品を予想もしないような低価格で手に入れることもある。しかしながら、中古品販売店は、あまり品物の選択肢の幅を揃えていないため、たとえ品揃えが毎日更新され、清潔できちんて整備されているにもかかわらず、ユーザーにそれを有利な点と納得させるだけの魅力に乏しいという難点がある。
いくつかのグッドウィルの店は、障害児のための活動をしているイースター・シールズ(Easter Seals、障害を抱えた子どもたちに教育の機会を提供するアメリカの福祉団体、全米各地に支部がある)と提携関係を結んでいる。
[編集] 歴史
グッドウィルは、1902年、ボストン市のサウス・エンドでメソディストの牧師エドガー・J・ヘルムズ(Edgar Helma)によって始められた。 彼は、社会的に不利な立場の人たちを援助したいと思い、より経済的に恵まれている人たちから廃品回収をして、それを修理して再利用できるようにしようと考えた。そしてそれらを修理して中古品として販売し、それで障害者団体を援助したり、そういう人たちにプレゼントしようとしたのである。
1910年には組織はかなり規模を拡大し、ボストン記念教会にまだその拠点を置いている内に、モーガン記念企業・商業体(Morgan Memorial Cooperative Industries and Stores, Inc.)に匹敵する程の知名度と規模を持つにいたった。「グッドウィル・インダストリーズ」の名は、当時はまだ使われておらず、それは後年、ニューヨークのブルックリンでワークショップを展開し始める時期になってからのことである。
1920 年には、米国の主要都市に20店の販売店を持つまでになっていた。2000年代始めには、グッドウィルは、21万2000人の障害者に職業訓練の機会を提供し、そのために18億ドルの拠出を積んできた実績あるNPO団体になっていた。
1900年には、大規模、中規模を問わず多数の都市に販売店を抱え、靴や家具、生活日用品から場合によっては新品も置いているものの、ほとんど中心になる商品は古着がメインになっていた。新品というのは、地方の大量安売り店や百貨店からの在庫余り商品などで、新しい靴下や下着、バスローブといったもので、これは例外的なケースである。
組織は、その後飛躍的な伸びを見せて、200ヶ所の拠点と1,900店の販売店を広げるに至った。衣類や生活雑貨品の寄付は絶えることがなくなった。その一方で、中古のコンピュータを解体し、パーツを取り出したりする作業と人手がないため、その寄贈を断ることに方針を変更した。またかなりの数の拠点で古い家具の回収を止める方向である。
[編集] 外部リンク
- Goodwill Industries英語サイト