ガラクトース
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ガラクトース (Galactose) は別名脳糖ともいい、乳製品や甜菜、その他のガム、および粘液で見かける糖の一種。また、ヒトの体内でも合成され各組織で糖脂質や糖タンパク質の一部を形成する。 エネルギーとなる食物で、栄養性の甘味料であると考えられる。 グルコースほど甘くなく、またそれほど水に可溶性でもない。名前の由来はギリシャ語で乳を意味する (Gala) からきている。
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[編集] 化学的性質
分子式、分子量はグルコースと同じ C6H12O6、180である。立体配置は2位 (Fischer投影式で上から2番目)、5位の-OHが同じ方向3位、4位が反対方向であり、D-ガラクトースは5位がD-グリセルアルデヒド同じ配向をもっている。グルコースの4-エピマーである。天然ではD-ガラクトースがほとんどである。
[編集] ラクトースの構成要素
グルコースとともに二糖類ラクトース(乳糖)を構成する単糖である。ラクトースからグルコース、ガラクトースへの分解は酵素ラクターゼ(ヒトではラクトースβ-グルコシダーゼ)によって触媒される。この酵素を欠く人は、'乳糖非耐性'となり、乳中の糖類を栄養とすることができない。さらに大腸に達したラクトースが腸内細菌に分解され、ガスと腹の張りの原因となる。人体では、グルコースがラクトースを分泌するために乳腺でガラクトースに変換されて生じる。
[編集] 人体での代謝、異状
ヒトでは直接食事から吸収したり、ラクトース分解によって次の二つの経路で代謝される。
- UDP-グルコースとの糖交換反応によってUDP-ガラクトースを生じてUDP-ガラクトース-4-エピメラーゼの作用によりUDP-グルコースとなりグルコースとして代謝される。
- ガラクトースとATPからガラクトキナーゼの作用によりガラクトース-1リン酸を生じ、ガラクトース-1リン酸がガラクトース-1リン酸ウリジルトランスフェラーゼの作用でUTPからUDPを受け取りUDP-ガラクトースを生じ、1 と同様にグルコースとして代謝される。
ガラクトースにかかわる3つの重要な異状がある。
- ガラクトキナーゼ欠損症は白内障を引き起こす。 無ガラクトースの食を早くから行うと、白内障は余病なしで退行する。
- UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ欠損症は非常にまれで(報告は2件のみ)、 神経性難聴を引き起こす。
- ガラクトース-1リン酸ウリジルトランスフェラーゼ損症は最も問題が多く、かなりの長期の無ガラクトースの食でも効果がない。