オナガザメ
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オナガザメ | ||||||||||||||||
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Alopias vulpinus |
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分類 | ||||||||||||||||
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種 | ||||||||||||||||
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オナガザメ(英名:Thresher shark、スレッシャー・シャーク)とは、ネズミザメ目オナガザメ科 Alopiidae に属する魚の総称。体の半分程を占める、極端に長い尾鰭が特徴である。ただし、正確にはオナガザメという名の魚はおらず、あくまで分類群としての名称である。
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[編集] 生態
オナガザメは、その長く伸びた尾鰭により、他種と見間違えようがない。魚の尾鰭は上半分を上葉、下半分を下葉といい、サメ類ではたいてい上葉が長くなっている異尾(いび)であるが、オナガザメでは上葉の伸長がとりわけ著しく、胴体とほぼ同じ長さになる。肉食性で、この鞭のようにしなる尾鰭で海面を叩き、イワシなどの小魚や頭足類、甲殻類を寄せ集め、群れごと一気に叩き殺すといわれている。科名 Alopiidae と属名 Alopias の由来となったギリシア語の Alopex は「キツネ(狐)」の意。これもキツネのように尾が長いことから付けられたのだろう。日本でもキツネブカ(フカはサメを表す)と呼ぶ所がある。
インド洋から太平洋の熱帯・亜熱帯海域に生息し、主に外洋の表層を泳ぐが、沿岸のサンゴ礁周辺に出現することもある。ハチワレは外洋の深層を好む。ダイビング等で遭遇する機会は稀で、野生個体の観察は難しい。そのため、海中での詳しい生態に関してはよく分かっていない。
背側の体色は青紫からメタリックブルーで、腹側にいくにつれて薄く白色になっていく。オナガザメ属 Alopias 3 種の中で最も大きくなるのはマオナガ A. vulpinus で、全長 7.6m 、体重 348kg の記録がある。ただしこれは全長(頭の先端から尾鰭の後端までの長さ)なので、この個体の体長(頭の先端から尾鰭のつけ根までの長さ)は4m 程度である。2 番目に大きいのはハチワレ A. superciliosus であり、全長4.89m に達する。最も小さいのはニタリ A. pelagicus の全長3m 。オナガザメは泳ぎが速く、活発で、サメ類の中では珍しく水面からジャンプする。こうした行動はイルカにも見られ、ブリーチングと呼ばれている。
胎生。子宮内で孵化した胎仔は卵黄の栄養分を使い果たした後、母親の未受精卵を食べて大きく育つ。オナガザメの雌は1m に成長した子どもを、1 度に2 ~4 尾産む。寿命はおよそ20 年。ハチワレでは、成熟に雄で7~13 年、雌で8~14 年 かかる。
[編集] 人との関わり
性格はおとなしく、 積極的に人を攻撃したりすることはない。加えて遭遇すること自体がまれなので、事故を起こす可能性は低いと思われる。ただし、強靭な尾鰭の一撃を見舞われればただでは済まされないだろう。
多くのサメ類と同様、成熟に時間がかかり、子どもの数が少ない。ゆえに急激な個体数の減少は、種の絶滅につながる危険がある。オナガザメの仲間は、肉はもとより皮や肝油、ひれを利用するために漁獲される。また動きが活発なため、スポーツフィッシングの対象魚となっている。広大な海洋に生息する生き物ゆえ、その個体数を把握するのは容易でないが、これらの人の活動により確実に数を減らしているものと思われる。
[編集] 分類
オナガザメ科 Alopiidae は、オナガザメ属 Alopias 1 属のみ。オナガザメ属は以下の3 種を含む。
- マオナガ A. vulpinus (英名:Pelagic thresher、ペラジック・スレッシャー)
- オナガザメ属の中で最も大きくなる種。
- ニタリ A. pelagicus (英名:Thintail thresher、シンテール・スレッシャー)
- ハチワレ A. superciliosus (英名:Bigeye thresher、ビッグアイ・スレッシャー)
- 英名の通り、他2 種に比べて大きな目が特徴。和名のハチワレは、頭部にある隆起線に由来する。
[編集] 関連項目
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