エンヤ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エンヤ (Enya、本名 Eithne Ní Bhraonáin、西暦1962年5月17日 - ) はアイルランドの歌手/音楽家である。
目次 |
[編集] 概要
ケルト音楽を下敷きに独自の音楽を展開するミュージシャン。各国でアルバムが発売され、映画「ロード・オブ・ザ・リング」の主題歌も担当するなど、世界的な人気を得ているが、特に日本ではCMや番組のエンディングなどに彼女の曲が多用され、絶大な人気を誇る。
ボーカルや自身によるコーラス、ハーモニーを幾重にも録音を重ねることで、ダイナミックかつ荘厳なサウンドを生み出すのが特徴で、日本ではヒーリングミュージックとしていくつものナンバーが愛されている。反面、1曲に費やす手間が増える上に、エンヤ自身が完全主義者であるがゆえに、アルバム1枚を完成させるのに5、6年かかってしまう。
しかしながら、しばしば過去のナンバーがTVCMやドラマ、映画のテーマとして使用されるために、リスナーの印象が薄れにくく、それも人気を維持している要因といえる。曲はクラシックと教会音楽を基礎に、故国アイルランドの音楽など、さまざまな要素を含有しているので、荘厳な印象を受ける。
歌詞は基本的に英語であるが、曲により、ゲール語、ラテン語で書かれている場合がある。5thアルバム『アマランタイン』では、さらに日本語、ローマ・ライアンとともに作った架空の言語、"Loxian"で書かれた曲が収録されている。
[編集] 来歴
アイルランドの北部、ドニゴール州のグウィドーに生まれ、音楽一家で育った彼女は、ピアノを身につけ、その後、クラシック音楽を学びこれが音楽的基礎となる。公表されている生年月日は1961年5月17日であるが、アルバムの日本語版ライナーノートや、インタビュー記事では、1962年生まれとするものもある[1]。
18歳のとき彼女の姉、兄らが1970年代に結成した「クラナド」(CLANNAD) に一時的に参加している。このグループには、今ではソロ活動も行っている長姉のモイア・ブレナンがおり、また、アルバム『フアム』(Fuaim)を最後にエンヤが抜けて後、1982年に「ハリーズ・ゲームのテーマ」(Theme From Harry's Game)がヒットし、一躍有名になった。
クラナドから脱退した彼女は、『フアム』のプロデューサを務めたニッキー・ライアン(Nicky Ryan) と、彼の妻 ローマ・ライアン(Roma Ryan) らと共に音楽作りを始める。イギリスのBBCのテレビドキュメンタリー番組「幻の民ケルト」("The Celts")のためのサウンドトラックを制作し、これをアルバムとして発表した『ENYA』(日本では「アイルランドの風」というタイトルでジムコより発売)でデビューした。
1988年には、アルバム『ウォーターマーク』(watermark)からのシングルカット「オリノコ・フロウ」(Orinoco Flow)が人々を魅了し、この『ウォーターマーク』と、その後に発表されたアルバムもロングセラーを続ける。
1991年、セカンドアルバム『シェパード・ムーン』が発売された。
1992年、龍村仁監督ドキュメンタリー映画「地球交響曲第一番」出演(楽曲は第二番、第三番にも使用 1995年、サードアルバム『メモリー・オブ・トゥリーズ』が発売された。
1997年に発売されたアルバム『ペイント・ザ・スカイ~ザ・ベスト・オブ・エンヤ』は日本で200万枚を売る大ヒットになった。日本版では、ボーナストラックとして、ゲール語版『きよしこの夜』が収録されている。
2000年、4thアルバム、『ア・デイ・ウィズアウト・レイン』が発売された。
2001年、原作のファンであるという映画『ロード・オブ・ザ・リング』に「May It Be」という曲を提供した。
同年、日本の映画「冷静と情熱のあいだ」(竹野内豊主演)で楽曲が使用され、映画に会わせて編集されたベスト盤(現在は廃盤)が日本国内でヒットした。
2004年、初めて日本語で歌った曲『菫草~SUMIREGUSA~』をPanasonic『ビエラ』のCMソングとして発表した。この曲は松尾芭蕉の「野ざらし紀行」をモチーフにしている。
2005年11月には、5thアルバム『アマランタイン』が発売され、上記CMで注目された『菫草~SUMIREGUSA~』も収録された。
[編集] アルバム作品
- 『エンヤ』(ENYA )
- 1986年に発表されたこのアルバムは、ドキュメンタリー番組「The Celts」のためのサウンドトラックをまとめたもので、日本では『ケルツ』として再編集されたものが発表されているものの、この作品自体は未発表である。アーティ・マクグリン(Arty McGlynn 、アーティ・マグリン) や、リアム・オフリン(Liam O'Flynn ) らが参加しており、また、2曲目の「アルデバラン」には、「リドリー・スコットに捧げる」と添え書きされている。
- 「ケルツ」(The Celts )
- 「アルデバラン」(Aldebaran )
- 「アイ・ウォント・トゥモロー」(I Want Tomorrow )
- 「マーチ・オブ・ザ・ケルツ」(March of the Celts )
- 「ジェル・アン・トゥア」(Deireadh an Tuath 、ヂェルー・アン・トゥアハ)
- 「ザ・サン・イン・ザ・ストリーム」(The Sun in the Stream )
- 「トゥー・ゴー・ビヨンド(1)」(To go Beyond (I) )
- 「フェアリーテール」(Fairytale )
- 「エポナ」(Epona )
- 「三題詩:セント・パトリック、クーホリン、オシーン」(Triad: St. Patrick, Cú Chullain, Oisin )
- 「ポートレイト」(Portrait )
- 「ボーディセア」(Boadicea )
- 「バード・ダンス」(Bard Dance )
- 「ダナドゥール」(Dan y Dŵr )
- 「トゥー・ゴー・ビヨンド(2)」(To go Beyond (II) )
- 1986年に発表されたこのアルバムは、ドキュメンタリー番組「The Celts」のためのサウンドトラックをまとめたもので、日本では『ケルツ』として再編集されたものが発表されているものの、この作品自体は未発表である。アーティ・マクグリン(Arty McGlynn 、アーティ・マグリン) や、リアム・オフリン(Liam O'Flynn ) らが参加しており、また、2曲目の「アルデバラン」には、「リドリー・スコットに捧げる」と添え書きされている。
- 『ウォーターマーク』(watermark )
-
- 「ウォーターマーク」
- 「カッスム・パフィスィオ」(Cursum Perficio )
- 呪文めいたこの曲は、ゲール語で歌われる。
- 「オン・ユア・ショア」(On Your Shore )
- 「ストームス・イン・アフリカ」(Storms in Africa )
- 「エクサイル(流浪)」(Exile )
- 「ミス・クレア・リメンバーズ」(Miss Clare Remembers )
- 「オリノコ・フロウ」(Orinoco Flow )
- 「イヴニング・フォールズ」(Evening Falls )
- 「リヴァー」(River )
- 「ザ・ロングシップス」(The Longships )
- ゲール語による歌詞が付いてはいるが、これは「リルティング」と呼ばれる口三味線の様なもので、これといった意味はないと思われる。
- 「ナ・ラハ・ギィアル・モイゲ」(Na Laetha Geal M'óige )
- 題はゲール語で「輝ける我が青春の日々」といった意味である。
-
- 『シェパード・ムーン』(Shepherd Moons )
-
- Shepherd Moons
- Caribbean Blue
- How Can I Keep From Singing?
- Ebudae
- Angeles
- No Holly For Miss Quinn
- Book Of Days
- Evacuse
- Lothlorien
- Marble Halls
- Afer Ventus
- Smaointe...
-
- 『ケルツ』(The Celts )
- 『ENYA』を再編集したもので、11曲目の「ポートレイト」のみ別の版(Portrait (Out of the Blue) )に差し替えられている。
- 『メモリー・オブ・トゥリーズ』(The Memory of Trees )
-
- 「メモリー・オブ・トゥリーズ」(The Memory of Trees )
- 「エニウェア・イズ」(Anywhere is )
- 「パクス・デオルム」(Pax Deorum )
- 「エヘ・レ・ナム」(Athair Ar Neamh )
- 「フロム・ホエア・アイ・アム」(From Where I am )
- 「チャイナ・ローゼズ」(China Roses )
- 「ホープ・ハズ・ア・プレイス」(Hope Has a Place )
- 「ティー・ハウス・ムーン」(Tea-House Moon )
- 「ワンス・ユー・ハド・ゴールド」(Once You had Gold )
- 「ラ・ソニャドラ」(La Soñadora )
- 「オン・マイ・ウェイ・ホーム」(On My Way Home )
- 「オリエル・ウィンドウ」(Oriel Window )
-
- 『ア・デイ・ウィズアウト・レイン』(a day without rain )
- 盤を製造した国により、曲目の一部が異なる。
- a day without rain
- wild child
- only time
- tempus vernum
- deora ar mo chroí
- flora's secret
- fallen embers
- silver inches
- pilgrim
- one by one
- lazy days
- 盤を製造した国により、曲目の一部が異なる。
- 『アマランタイン』(Amarantine)
-
- Less than a pearl
- Amarantine
- It's in the rain
- If I could be where you are
- The river sings
- Long long journey
- Sumiregusa(「菫草」)
- Someone said goodbye
- A moment lost
- Drifting
- Amid the falling snow
- Water shows the hidden heart
-
[編集] 関連する項目
- ケルト音楽
- ケルト
[編集] 外部リンク
[編集] 公式サイト
- http://wmg.jp/enya/ (ワーナーミュージック・ジャパン)
- http://www.enya.com/ (英語)
- (Reprise Records のアドレスは enya.com にリダイレクトされるようになりました)
[編集] 各国公式サイト
- http://www.enyabrennan.ovh.org/ Willows On The Water - Unofficial Enya's Website
- http://enya.warnermusic.it/ (イタリア Warner、イタリア語)
- http://www.warnermusic.ca/artist.jsp?artist=10148 (カナダ Warner、英語)
- http://www.warnermusic.se/framesetMain.jsp?id=5468 (スウェーデン Warner、スウェーデン語)
- http://www.enya.de/ (ドイツ語)
- http://www.wea.de/artist/2257/ (ドイツ Warner、ドイツ語)
- http://www.warnermusic.com.tw/artists/profile.php?id=128 (中国語 Warner、繁體中文)
- http://www.warnermusic.fi/framesetMain.jsp?id=4068 (フィンランド Warner、フィンランド語)
注
- ↑
- 松山晋也、ライナーノート、Memory of Trees、Warner Music UK Ltd.、1995年11月6日。
- 伊藤なつみ、ライナーノート、Paint the Sky with Stars-The Best of Enya、Warner Music UK Ltd.、1997年。
- 服部のり子「Featured Artists/Special Interview」『CD Journal』2005年12月号、音楽出版社、pp. 6-8。