エネルギー保存の法則
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エネルギー保存の法則(the law of the conservation of energy)は、エネルギー保存またはエネルギー保存則、熱力学第一法則ともいい、ある閉じた系の中のエネルギーの総量は変化しないという物理学での最も基本的な法則(保存則)の一つである。
熱力学では
dU = δQ - δW (dUは閉じた系の内部エネルギー変化、δQは系が外部から加えられた熱量、δWは系が外部にした仕事)
といった形で表現され、熱力学第一法則とよばれる。物理的には熱も仕事も同じエネルギーの一種であり、エネルギー収支(増減)がすなわち内部エネルギー変化であるという法則。式の意味は加えられた熱量の分だけ内部エネルギーは増加し、外界に対して行った仕事の分だけ内部エネルギーは減少するということである。何もエネルギー源のないところからひとりでにエネルギーが生まれることはなく、逆に発生したエネルギーが消滅することもないということを表わしている。ただし質量もエネルギーと等価であり(→相対性理論)、質量がエネルギーに転換したり、エネルギーが質量に転換することはある。よって厳密には「質量とエネルギーの和」が保存されるというべきであろう。質量もまた同様の質量保存の法則を持つ。
力学的エネルギー保存の法則はエネルギー保存則の一部であり、位置エネルギーと運動エネルギーの和は一定である。運動量保存の法則では完全弾性衝突以外の衝突の前後で物体の運動エネルギーは保存されない。これは衝突(非弾性衝突)の瞬間に運動エネルギーが音もしくは熱エネルギーに変化したり、物体自体を変形させる仕事に消費されてしまうからであり、物体が失ったエネルギーは外界に拡散することになる。
またエネルギーの総量は一定でも全体のエントロピーが時間とともに増大することはある(減少することはないとされる)。つまりエントロピーには保存則はなく、系と外部を含めたエントロピーの総量は変化しうる(→熱力学第二法則)。その際エネルギーの"質"(エネルギーの取り出しやすさ、扱いやすさ)は低下して最終的には最も利用効率の悪い熱エネルギーに変化する傾向がある。エネルギー問題においてはエネルギーの"量"よりも"質"のほうが重要であり、エネルギー保存則があるからといって人類が利用できるエネルギー"量"が不変であることを保証するものではないことに注意すべきだろう。