エクスプレス予約
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エクスプレス予約(えくすぷれすよやく)とは、『JR東海エクスプレス・カード』および『J-WESTカードエクスプレス』による、東海道・山陽新幹線の会員制予約サービスの呼称である。
[編集] 概要
このサービスの最大の特徴は、パソコンまたは携帯電話から、東京駅~博多駅の東海道・山陽新幹線各駅間の特急券が年末年始やゴールデンウィークなどの繁忙期においても通常の新幹線特急券よりも安価なe特急券を購入出来、また、通常1回に限定されている乗車変更がe特急券を引き取る以前であれば何度でも可能である点にある。
サービス開始当初は東京~新大阪間の「のぞみ」を利用する場合で通常料金より500円安く利用できる設定であったが、当時の「のぞみ」の割増額が970円と大きく、また運転本数も少なかったため、割引サービスという面ではあまり効果が期待できるものではなかった。しかし、2003年10月の品川駅開業と「のぞみ」大増発、指定席料金の値下げにあわせて、通常の「のぞみ」回数券よりも割引率を大きく設定する変更が行われた。このため、現在ではビジネスでの利用に限らず、年間数回程度の利用の乗客にとっても有利なサービス内容となっている。
乗車券もセットで予約でき、東京都区内発・福岡市内発などの形で発券することも出来る。しかし、これらのサービス対応のカードの発行元であるJR東海・JR西日本の窓口で受け取る必要があるため、新幹線停車駅(例・東京駅)と実際の乗車駅(例・新宿駅)の間は別に運賃が必要となる。また、一般の特急券のような、新幹線⇔在来線特急列車相互間の乗り継ぎ割引制度はない。[1]
- これを避けるためにJR東海では、新幹線停車駅までJR在来線を利用する際はエクスプレス予約では特急券のみを予約・購入するように勧めている。[2]
- JR西日本では、在来線特急と乗り継ぐ場合は、割引の特急券を組み合わせて購入するか、通常のきっぷを駅や5489サービスで購入する方が安くなる場合がある旨の案内を「JRおでかけネット」で行っている他、J-WESTカードの入会申込書にもその旨の記述がある。
なお、これ以外にも東海道新幹線では「ひかり」全列車や、乗車駅を午前6時台に出発する「のぞみ」に加えて「こだま」全列車のうちグリーン車および、山陽新幹線では新大阪駅・新神戸駅~小倉駅・博多駅を直通する全列車で利用できる「エクスプレス早特」もある。こちらは乗車日の3日前までに予約することと、特急券と乗車券をセットで販売することを条件に、前述のe特急券よりもさらに安く切符が購入できる仕組みとなっている。割引額はJR東海や西日本の企画商品(「ひかり早特きっぷ」「山陽新幹線2枚きっぷ」)などと同等かそれ以上に大きく、グリーン車においては通常の切符の指定席料金に数百円から千円程度の上乗せ額で乗車できる価格設定のものが主となっている。また、繁忙期でも利用できる等の特典も付与されている。
また、2006年度からはエクスプレス予約により一定回数乗車するとポイントが加算され、ポイントがたまるとグリーン車が利用できる「グリーンプログラム」という新しいサービスを設けた。例えば、東京~新大阪間を5往復利用すると普通車指定席の料金で「のぞみ」のグリーン車に1回乗車できる、という仕組みで、獲得ポイントは乗車距離により異なり、「ひかり」や「こだま」の場合はより少ないポイントでグリーン車に乗車できるというサービスである。ただしポイントの使用期限は最長でも1年2ヵ月(年末まで蓄積され、毎年翌2月末に期限が到来する)までであるため、実質年間5往復以上利用する会員のための特典と言える。
JR東海・エクスプレスカードの場合は夜行列車や臨時列車など、JR東海独自の在来線の列車の予約サービスは現在実施していない(国際ブランド付であれば、ブランド利用によるJR他社の電話予約・インターネット予約の利用が可能。但し、この利用方法は他社管内でのカード所持者か、他社管内に近接した地域の利用者でなければ現実的でない。なお、J-WESTカードの場合はeきっぷサービスにて、JR西日本管内の主な在来線特急列車の予約を別途実施している)。
また、JR東海においては、電話センター経由でJR全線の乗車券・特急券をカード決済で購入し、窓口や指定席券売機で受け取るサービスが、2006年8月末をもって廃止された。これにより元々電話、インターネット予約を行っていないJR四国に次いで在来線特急の電話・インターネット予約サービスを実施しないJR旅客会社となる(サイバーステーションの予約を除く)。
このサービスを受けるにはJR東海・エクスプレスカードまたはJ-WESTカードエクスプレスへの入会が必要で、これらはクレジットカードであるため、クレジットカード発行審査が絶対条件となる。このためクレジット審査が通らない人はこのサービスの利用を排除されており、差別状態にある。
[編集] 歴史
- 2001年(平成13年)9月3日 JR東海・エクスプレスカードにおいて、東京駅~新大阪駅の各駅間発着でのサービスを開始。
- 2005年(平成17年)12月10日 サービスを山陽新幹線・新神戸駅まで拡大。
- 2006年(平成18年)7月22日 山陽新幹線全区間にサービスが拡大。同時に、J-WESTカード(「エクスプレス」限定)でも東海道新幹線全区間での同等のサービス利用が可能となる。