インド国民軍
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インド国民軍(いんどこくみんぐん, Indian National Army、略号:INA)は第二次世界大戦中、イギリス領インド侵攻のための補助兵力として、日本によって創設されたインド人から成る軍隊。
日本軍は1942年英領マラヤやシンガポール占領後、捕虜となったインド兵から志願者を募ってINAを結成した。白人支配からアジアを解放するという日本のプロパガンダに沿った組織であり、当初はモハン・シン(Mohan Singh)大尉が指揮していたが、1943年元インド国民会議派の大物スバス・チャンドラ・ボースがドイツからドイツ潜水艦U180と伊号第二九潜水艦を乗り継ぎ、来日し、インド国民軍はボースを国家主席とする自由インド仮政府(在シンガポール)の指揮下に入った。
ドイツでもボースを指揮官として自由インド軍団(ナチス武装親衛隊インド人部隊。約2000人)が存在し、ボースが日本に向った後、自由インド軍団はドイツ軍と共に大西洋の壁、ノルマンディ海岸に配備された。
インド国民軍(INA)は元英軍捕虜だけでなく、東南アジア在住インド人からも志願者を募り、総兵力約45,000人に達した。1944年にはビルマに移動し、「自由インド」「インド解放」をスローガンに日本軍とともにインパール作戦に参加、アッサム州のコヒマを占領し、インパールに迫ったが英軍の反撃により撤退、さらにアウン・サン率いるビルマ国民軍の離反によりビルマからも撤退して終戦を迎えた。一連の戦闘でINAの戦死者は数千人に達している。
終戦後、連合軍の捕虜となったINA将校のうち、主な者は、イギリスにより反逆罪で逮捕されたが、まもなくインド独立の気運が高まり、イギリスはウヤムヤとするしなかった。1947年のインド独立後、元INA将兵はインド政府から年金を受給している。
[編集] 文献
- David Littlejohn: Foreign Legions of the Third Reich Vol.4, R.James Bender Publishing, 1987, ISBN 0-912138-36-X