インデペンデンス・デイ
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『インデペンデンス・デイ』(Independence Day)は、1996年のアメリカ映画。SF映画。
ID4(アイディー・フォー)と略される。アメリカ公開は1996年7月3日の予定であったが、非常に高い期待がもたれていたため、多くの映画館は7月2日の夜に上映を始めた。これは映画の物語が始まるのと同じ日付であった。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] ストーリー
7月2日、巨大な円盤型のUFOが世界各国の大都市上空に出現した。出現当初は目的不明。当初は異常気象現象のひとつと異星人の出現を隠蔽しようとするが、異星人と交流すべしとの世論を受け、NASAとアメリカ空軍、連邦政府は合同で意思疎通を試みる。
ニューヨークのケーブルテレビ放送局に勤務していた技術者のデイヴィットは、その頃、衛星通信に混入したノイズに悩まされていた。そのノイズを分析した結果、異星人の一斉攻撃開始へのカウントダウンを衛星通信に潜ませているのだと直前に気付く。自身のネットワーク技術を駆使して元妻のコンスタンス・スパノ主席報道官の携帯電話番号を割り出し話を聞くように説得、父親の運転する車でホワイトハウスに乗り込み、事態をアメリカ大統領のトーマス・ホイットモアに報告する。大統領は全く取り合わなかったが、円盤が意思疎通を試みたアメリカ空軍のヘリコプターを撃墜し、世界各地の都市を破壊し始めたのを目の当たりにして、異星人の目的が地球侵略であったとようやく理解した。
デイヴィットの報告を受けて、大統領はホワイトハウスを攻撃の直前に脱出し、異星人に対し反撃を指示するが、円盤の周りに張られた防御シールドは核兵器を含むどのような攻撃も受け付けなかった。念のため大統領の指示により先に避難していた副大統領や政府首脳であったが、異星人の攻撃により避難先のNORADが全滅し、政府首脳はエアフォースワンに乗る大統領と軍首脳だけになってしまった。
一方、海兵隊大尉スティーブン・ヒラーの所属する部隊はF/A-18戦闘機で攻撃を行うも、円盤から発進してきた異星人の戦闘機は、母艦と同じく防御シールドで守られており、部隊はヒラー大尉の機を残して全滅してしまった。自身の機を囮にして敵戦闘機を墜落させ異星人を生け捕りにしたヒラー大尉は、壊滅した都市からの避難民と合流し、他の生存者を探し砂漠をゆく。
軍の各基地はほぼ全滅に近い打撃を受け、異星人に対して打つ手がなくなった大統領は行き場を失い絶望するが、かつて地球に墜落した異星人の乗り物が大統領にも知らされないまま米軍の手にあり、「エリア51」に本当に保管されていることが判明する。大統領らが向かったエリア51にヒラー大尉ら避難民も合流するが、ヒラー大尉の捕らえた異星人には地球人類に対する敵意しかなく、彼らはイナゴのように惑星を荒らして次の惑星へ移動する凶悪な生物であることが判明した。
地球の技術力では異星人に立ち向かう手がなく、絶望したデイヴィットは酒を飲んで酔いつぶれる。デイヴィットの父親が「そんなところで寝ていると風邪を引くぞ」と叱ったところ、突然、ウィルスを使えば戦えるのではないかと閃き狂喜する。が、エリア51の技術者達は何のことかさっぱり分からない。そこでデイヴィットは、エリア51に捕獲してあった異星人の乗り物を使い、自身の作成したコンピュータウィルスを使って防御シールドを無効にできることを実証する。母船のコンピュータシステムにこのコンピュータウィルスを感染させれば、ネットワークを通じて末端まで感染させることができ、各都市を攻撃している円盤も戦闘機も防御シールドを無効に出来るはずだ。
早速、デイヴィットとヒラー大尉は異星人の乗り物を利用して、地球から離れた所にある異星人の母船に乗り込みコンピュータウィルスを母船に侵入させ、母船と各円盤の防御システムを無効にする。が、母船に乗り込んだ異星人の乗り物は母船のコントロール下に置かれ、デイヴィットとヒラー大尉は母船から脱出できない。異常に気付いた異星人の戦闘機に取り囲まれた二人は覚悟を決め、勝利のために取っておいた葉巻を吹かし母船に時限爆弾である核兵器を打ち込む。その衝撃で二人の乗り物は偶然にも母船から切り離され脱出に成功、母船は時限爆弾の爆発により崩壊した。
その隙に合衆国は総力を挙げて円盤に反撃する。元空軍パイロットだったアメリカ大統領も自ら戦闘機に乗って攻撃に加わるが、あまりにも強大な円盤は防御シールドを失ったといえ戦闘機のミサイル程度では全く歯が立たない。次第に戦力を失っていく空軍、無念にも攻撃を断念する大統領。しかし、あと1基だけミサイルが残っている。ケイス機のミサイルである。周りが止めるのも聞かずケイス機は円盤に突撃していく。異星人も円盤の主砲発射準備を完了していおり、開いた砲口に向けてケイスはミサイルを撃ち込もうとする。しかし発射装置の故障でケイス機からミサイルが発射できない。皆はケイスに引き返すように説得するが、家族の将来を憂いたケイスはミサイルを抱いたまま砲口に体当たりし、ついに円盤は全滅し異星人は撃退される。円盤の弱点が主砲砲口にあると分かり、世界中で異星人と戦っている全国家の軍隊に、異星人に悟られないようにわざと旧式のモールス信号で円盤の弱点を連絡、全世界で円盤の撃退に成功する。
なお、最後の戦いの日として世界に決起を呼びかけたのが偶然にも7月4日であり、これが題名の「インデペンデンス・デイ」(アメリカ合衆国の独立記念日、ひいては「人類の独立記念日」)へとつながる。
[編集] 登場人物
- デイヴィット・レヴィンソン (ジェフ・ゴールドブラム)
- MITを卒業した天才エンジニアだが、今はケーブルテレビ放送局で働いている。衛星通信にノイズとして隠されていた宇宙人の暗号を解読し、この戦争のキーパーソンとなる。運転免許を持っておらず、父親の運転でホワイトハウスに駆けつける。常に地球を守る男。
- スティーブン・ヒラー大尉 (ウィル・スミス)
- トーマス・ホイットモア大統領 (ビル・プルマン)
- アメリカ合衆国大統領。元戦闘機パイロット。当初は宇宙人と交流を試みたが、かつての知り合いであるデイヴィットの報告により、彼らが侵略者であることを知る。人と環境に悪影響が残る核兵器の使用に最後まで難色を示し、断腸の思いで核兵器使用を決断するも異性人に全く歯が立たず、一時は絶望の淵に立つ。「インデペンデンス・デイ」の名演説の後、最後の戦闘に出撃する。
- コンスタンス・スパノ (マーガレット・コリン)
- ホワイトハウス主席報道官。デイヴィットの元妻。
- ジャスミン・ダブロウ (ヴィヴィカ・A・フォックス)
- スティーブンの恋人。ストリッパーをしながら一人息子を育てている。自分とスティーブンとの仲が彼の昇進の妨げになる事を恐れている。
- マリリン・ホイットモア(メアリー・マクドネル)
- 大統領夫人。ロスで宇宙人の襲撃により瀕死の重傷を負い、ジャスミンに助けられるが既に手遅れであった。
- ラッセル・ケイス (ランディ・クエイド)
- 田舎のパイロットだがかつてはベトナム戦争での戦闘機乗り。10年前に宇宙人に誘拐されたと称しており、周囲からは変人扱いされている。が、しかし…。
[編集] スタッフ
- 監督:ローランド・エメリッヒ
- 脚本:ディーン・デヴリン・ローランド・エメリッヒ
- 撮影:カール・ウォルター・リンデンローブ
- SFXスーパーバイザー:ヴォルカー・エンジェル
- 編集: デヴィッド・ブレナー
- 音楽:デヴィッド・アーノルド
- エイリアンデザイン:パトリック・タトプロス
[編集] 受賞
アカデミー賞では視覚効果賞を受賞。興行的にも大成功を収めた。