アンリ・モアッサン
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ジョゼフ・アンリ・モワッサン(Joseph Henri Moissan, 1852年9月28日 – 1907年2月20日)はフランスの化学者である。1906年にフッ素の研究と分離およびモアッサン電気炉の製作の業績によりノーベル化学賞を受賞した。受賞の翌年急死している。
フッ素は1771年のカール・シェーレ以来、その化合物の存在は知られていたものの、ガラスや貴金属とも反応してしまうほどの強い活性を持ち、毒性も強い元素であるため、単離(純粋なフッ素の単体を取出すこと)が極めて困難であった。多くの化学者が単離に挑戦して失敗した。モアッサンも実験中に片目を失明したが、1886年6月、フッ素化合物を電気分解し、フッ化カルシウム(蛍石)の容器を捕集に使うなどすることにより、ついにフッ素の初単離に成功した。
モアッサン炉は大電流でアーク放電を起こして3500℃もの高温を得るものである。
モアッサンはモアッサン炉を使って鉄と炭素を溶解させたあと急冷し、金属の収縮圧でダイヤモンドを合成する実験を行った。1893年に合成の成功を発表したが、モアッサンの死後、実際は助手がモアッサンを喜ばすため、生成物に天然のダイヤモンドを仕込んだことを告白するという話を残している。
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