しゃぶしゃぶ
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しゃぶしゃぶは、ごく薄く切った牛肉を、食卓の上で煮え立たせた専用鍋の湯に数回くぐらせる程度に浸し、野菜・豆腐・葛切りなどを煮込んだものと共に、タレ(ゴマダレ、ポン酢が一般的)につけて食べる鍋料理である。牛肉以外に、豚肉、鶏肉、フグ、タコやタイなども用いられる。牛肉を用いたものを「牛しゃぶ」、豚肉を用いたものを「豚しゃぶ」という。また、北海道では羊肉を用いた「ラムしゃぶ」、名古屋では名古屋コーチンを用いた「鶏しゃぶ」がある。
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[編集] はじまり
香港に店を構える料理店、禅八によれば、中国料理の涮羊肉(シュアン羊肉)の主役である羊肉の代わりに、牛肉を入れたものが始まりとされる[1]。この鍋は本場北京の他、中国東北部でも一般的な冬の料理として食べるため、満州として日本が支配していた時代に日本人も多くが口にしたと考えられる。中国においてこの鍋は烤羊肉(カオ羊肉。羊肉とニラなどを調味液と共に大きな鉄板で炒めた料理。日本では時折ジンギスカン、アメリカではモンゴリアン・バーベキューと呼ばれる)と共に羊肉料理の最高レベルの料理とされ、肉は凍らせて紙のように薄く切るのがコツとされる。中国でもタレに練りゴマや醤油などを使用しているが、薬味にコリアンダーや茴香を使用したり、付け合わせにニンニクの蜂蜜漬けを食べたりすることが、日本のしゃぶしゃぶと異なっている。
[編集] 日本での普及
現在の形式に落ち着いたのは、京都のお茶漬・水炊きの店(十二段家)の主人が中国で生活していた人から食べ方を聞き、日本人向けに羊肉を牛肉に替えてお茶漬の上に牛肉を乗せたのが始まりだとされる。 また、しゃぶしゃぶという名前は、1952年(昭和27年)に大阪のスエヒロが、自店の料理として出すときに命名したもので、1955年(昭和30年)に商標登録されている。 しゃぶしゃぶ専用の調理鍋の中央にある柱状の突起は、開発当時そこに炭を入れ鍋を加熱したという技術の名残である。ただし、中国においては火鍋子と呼ばれる同様の鍋が一般的に使用されている。
[編集] その他
しゃぶしゃぶという名称が商標登録されているので、「しゃぶ鍋」と表記する店もある。