ごん狐
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『ごん狐』(ごんぎつね)は、新美南吉作の児童文学。南吉の代表作で、初出は「赤い鳥」1932年1月号。作者の死の直後に刊行された童話集『花のき村と盗人たち』に収載された。
南吉の出身地である愛知県知多郡半田町(現在の愛知県半田市)岩滑(やなべ)地区の矢勝川や、隣の阿久比町にある権現山を舞台に書かれたといわれている。筆者が村の老人から聞いた話という体裁をとっており、「城」や「お殿様」、「お歯黒」という言葉が出てくることから江戸時代ぐらいから明治にかけての物語と思われる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 登場人物
- ごん - ひとりぼっちの小狐。いたずら好き。
- 兵十 - ごんのいたずらの被害者の一人。
- 加助 - 兵十の知り合い。
[編集] あらすじ
「これは、わたしが小さいときに、村の茂平というおじいさんから聞いたお話です」兵十が川で魚を捕っているのを、いたずら好きなごんがみつけた。兵十がびくから目を離した隙に、ごんは兵十が捕った魚やウナギを逃がしてしまう。それから10日ほど後兵十の母親の葬列(お歯黒が登場)を見たごんは、あのとき逃がしたウナギは兵十が母親のために用意していたものだと悟り、反省する。
自分と同じひとりぼっちになった兵十に同情したごんは、ウナギを逃がした償いの意味もあって、鰯を盗んで兵十の家に投げ込む。だが鰯屋は兵十が盗んだと勘違いし、兵十が殴りつけられたため、ごんは再び反省する。それからごんは毎日栗や、時には松茸を届けるようになる。兵十は毎日届けられる栗を不思議に思い加助に相談すると、「それは神様のおかげだ」と言われる。
その翌日、ごんが家に忍び込んだ気配に気づいた兵十はまたいたずらに来たのだと思い、母親にウナギを食べさせられなかった無念もあり、ごんを撃ってしまう。倒れたごんの横に散らばる栗に気づき、兵十が「おまえだったのか」と問いかけ、ごんがうなずく。兵十が思わず取り落とした火縄銃からは青い煙がのぼっていた。
[編集] 関連事項
小学校国語教科書の教材の定番ともいえる作品である。1956年、大日本図書の国語教科書に採用されたのが最初である。ついで1968年には日本書籍の、1968年には東京書籍の、1971年には光村図書の、1977年には教育出版の、1980年には学校図書の、1989年には大阪書籍の、国語教科書に採用された。また比較的短く、登場人物も少ないことから、学芸会の演目によく用いられる。
2006年8月9日にTBS系列放送の「まんが日本昔ばなし」夏休みスペシャルにてアニメ化された。その際、母狐(声:市原悦子)と死別することになった出来事も放送された。声の出演:田中真弓(ごん)、常田富士男(兵十)
[編集] 関連図書
- 童話集 『新美南吉童話集』 岩波文庫 ISBN 4003115015
- 絵本 『ごんぎつね 日本の童話名作選』 (絵 黒井健) 偕成社 ISBN 4039632702
- 研究書 『新美南吉「ごん狐」研究』 国語教育叢書 教育出版センター ISBN 4763222511