がんばろう
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がんばろう
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[編集] 日本語としてのがんばろう
- 構造
- がんばる
- がんばろう
- 意味としては、「がんばる」をする意思や決意を表す。例えば、
- の場合、「仕事をがんばろう」で、仕事をすることを忍耐し、厳しいことを努力する意思や決意。
- の場合、「(ビルの建設に反対して)建設予定地にがんばろう」は、建設予定地に居座って動かないという意志や決意。
- を表す。
- 表記としては、がんばろうの他に頑張ろう、ガンバローなどが挙げられる。一般的には前2つが使われることが多いが、カタカナの性質として、勢いの強い場面(例えば、掛け声を表したり、強い意志がこもっているする時)はカタカナを使うことがしばしば見られる。
- 使う場面としては、自他を問わず人を励ます時や気勢を上げる時などに使うことが多い。会合や大会などで(特に労働組合で)幹事が主導の下、拳を突き上げて同時にガンバローと言うのもよくある。また、このガンバローを三連呼という形もよくある。(例.「(幹事)要求貫徹、(以下合同)ガンバロー! ガンバロー! ガンバロー!」)
[編集] 労働歌としてのがんばろう
がんばろうは日本の代表的な労働歌。作詞は森田ヤエ子、作曲は三井三池争議でうたごえ活動家として活躍した荒木栄。労働運動や学生運動でも多く歌われる。1960年6月の作品で、三井三池争議の中で作曲された。
かつて、労働運動や学生運動が活発だった頃はデモや大会の時に多く歌われた。現在、労働運動は低調で学生運動は下火ではあるが、特に労働組合では今でも全国各地の労働組合で歌われることがある。
[編集] 作られ、広まる背景
1960年6月頃は安保闘争の盛り上がりとともに三池争議は最も盛り上がった時期である。しかし、労働者側(厳密には三池炭鉱労働組合)も長期間に及ぶストライキによる生活苦、会社だけではなく警察・司法・暴力団さえ相手にする闘い、それらから来る脱落者・離反者の続出などで、非常に苦しい状態に置かれていた。そんな中で、荒木と森田は、労働者の「がんばろう!」と拳を振り上げる姿から闘いの完遂と仲間の団結を歌った勇壮な歌を作り上げる。
この歌は三池争議の中で歌われるとともに、それに協力していた全国の活動家によって各地に伝えられ、特に前述の安保闘争でデモ隊に歌われることとなる。この光景は「一枚の楽譜が国会を取り巻いた」とも言われるほどだった。結果として、安保闘争も三池争議も挫折することにはなるが、これらの出来事によって「がんばろう」は全国各地にさらに広まり、労働歌の定番となる。
[編集] エピソード
- 元々の歌詞は「燃え上がる」の部分が「燃えつくす」だったが、燃えつきてはダメだろうと変更された。
- 前述もしたが、安保闘争でデモ隊がよく「がんばろう」を歌い、その光景を「一枚の楽譜が国会を取り巻いた」と言われた。
- 安保闘争で、東京でのデモ隊が歌い出しの「がんばろう 突き上げる空に~」の歌詞を「何だろう 月が出る空に~」と聞き違えた。
- 映画「サード」(監督東陽一・脚本寺山修司)の中に、売春をしている女子高生役の森下愛子が、客に「ほんとに高校生なら、校歌を歌ってみろ」といわれて、「がーんばろおー、つきあげるーそらにー」と歌い、客に「どこかで聞いた事あるな、あんたほんとに女子高生?」と言われるという、秀逸なギャグシーンがある。