Seraphic Blue
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『Seraphic Blue』（セラフィックブルー）は天ぷらによって、2004年5月15日にインターネット上で公開されたフリーゲーム。ゲーム中の作者のクレジットには、天ぷらではなく榊という名前が使われている。通称『セラブル』。RPGツクール2000によって製作されている。そのため、ゲームプレイにはRPGツクール2000RTPを必要とする。ファイルサイズは約63メガバイトとやや大きい。
現在Vectorで公開されているものは、公開当初のヴァージョンでバグも残っているが、作者のサイトから、2004年7月28日アップデートの最新版の修正ファイルをダウンロードできる。ただし、発生確率は低いものの完全にバグが削除されたわけではない[1]。また2006年11月5日に、作者による修正版の『Seraphic Blue Director's Cut』が公開された。Director's Cutに関しての詳細は当該の項目を参照。
さらに2006年6月より公式サイトで"Seraphic Blue -Disclose with Tales-"というページが公開されており、Seraphic Blueに関するエッセイ的なものが不定期に更新されている。ただし、現在は"Director's Cut"作成のためか、しばらく更新が止まっている。
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[編集] 概要
天ぷらによる3作目の長編RPGにして、引退作。過去の作品は全て公開停止されたので、正式に入手できるただひとつの天ぷら作品になる。前作に引き続き、RPGツクール関連のフリーゲームとしては高い知名度を誇り、賛否両論があるものの評価も高い。世界観はSF色の濃いファンタジー。メニュー、戦闘、アイテムやステータスの管理は、RPGツクール2000に用意されているものをいっさい使用せず、変数やマップファイルを駆使し、作者自身の手により構築されている。
『Seraphic Blue』の特徴として、その徹底して暗いストーリーがあげられる。前作STARDUST BLUEにおいても悲劇的なシーンが見られたが、今作では主人公の厭世的なモノローグにはじまり、全体的に暗いムードに満ちている。また時折、暗いだけでなく残酷さを伴う演出も見受けられる。ストーリーはよく練りこまれており、序盤から中盤にさまざまな伏線が展開されつつも、その回収や矛盾の回避がしっかりと行われている。作者の談にて開示されているように、ストーリーは通しで何度も書き換えられながら作られていった。また、徹底したリアリズムに基づいたキャラクターの設定も特徴的といえる。正義のヒーロー、明るいヒロインが横行するゲームというジャンルにおいてはヒーローやヒロインが非現実的にポジティブであり、人間としてのリアリティを失う傾向がある。それらのネガである厭世のヒーローとヒロインに焦点を当て、ネガティブな部分から描かれたキャラクターの人間性は、一般的なRPGのシナリオ像に対するアンチテーゼになっている。
クリアまでの時間はスムーズに進んで約50時間と長い。この長さは戦闘やダンジョン探索による部分もあるが、会話や回想、独白などいわゆるイベント部分の占める個所もかなり大きい。短いメッセージは自動的に進むようになっている事が多いが、遅すぎず速すぎずで切り替わるように調整されている。ただし、一度見た場面を繰り返す場合には、この機能が邪魔になる事もある。作中のテキストは特徴的で、その最たるものとして、「心算」「呉れる」「筈」などの漢字を使用している事が挙げられる。"Director's Cut"では"御前"の表記が全て"お前"に変更されている。"御前"（おまえ）は"ごぜん"とも読めるのが原因らしい。
製作期間は定かでないが、Internet Archiveに残っている記録によると、2002年5月の時点で既に製作が開始されているのが分かる[2]。また、公開延期が何度かされていて、最初に予告されていたリリース時期はもっと早かった[3]。
[編集] Director's Cut
2006年11月5日の夜中に、maglogを通して『Seraphic Blue -Director's Cut-』が発表された。元は、タイトルを『Seraphic Blue Ver2.0 -Sophistication of Blue』とし、9月の公開を予定していたが、変更・追加の増加にともない、作者がVer2.0では不適当だと考えたため、現在のタイトルに変更された。なお、一部のMIDIをMP3に置き換えているため、ゲームファイルの容量は150MBを越えている。その容量の大きさのため、ゲームファイルは4つに分けて配布されている。
主な変更点としては、戦闘時の不利状態の強化、アウターハザード（戦闘時における第三者からの攻撃）、ボスの思考ルーチンの強化が挙げられる。また、パーティーキャラクターの一部特技の変更・追加や、キャラクター個々の属性耐性の変更によって、特に終盤『二軍落ち』する事の多かったキャラクターの強化が図られている。通常戦闘の難易度はオリジナル版よりやや低下したが、ボス戦の難易度はやや上昇したと言えるだろう。他にもイベントの追加、使用BGMの一部変更、システム面の細かい変更が行われている。
[編集] Altered Version
ユーザビリティの向上をはじめ、様々な機能を追加した非公式改造パッチが、「時空転移プリン」と「腐林檎」の両名によって作成・配布されていて、既に『Director's Cut』の高速化パッチも作成が進んでいる[4]。なお、二人は有志の愛好者であり、作者とは無関係である。
[編集] グラフィック・サウンド
RPGツクール2000備え付けの標準素材（RTP）はあまり使われておらず、特に会話シーンなどでは詳しく状況を描写するため、CGが挿入される事もある。CGは主にキャラクターに焦点を当てたものが多い。ゲーム中では、淡い色を使った水彩画風のものと、輪郭のはっきりした絵の2種類が大部分を占めている。両者の絵はたとえば同じキャラクターを描いていても、雰囲気が異なる場合が多い。
BGMは基本的にインターネット上にあるフリー素材を使用していて、中にはMIDIファイルだけではなく、MP3形式のものも存在する。BGMの総数は100を越え、特にFreedom House 2nd（氷石彩亜）、TAM Music Factory（多夢）のものと、Free Soundに公開されていたものが多く使われている。
[編集] システム
『Seraphic Blue』には様々な独自のシステムが採用されているため、ここで説明する。
[編集] 戦闘
『Seraphic Blue』の戦闘は素早い者ほど行動のチャンスが増える半リアルタイム制である。特徴的な要素は後に説明する装備を除いて3つあり、一つ目は戦闘中に敵のデータを見て戦略を立てる事が出来るエネミーデータ、二つ目は高度な技を使用する時に重要になるフィールドエレメント（FE）、三つ目にはキャラクターを短時間待機させる事により戦術を築くパスがある。これらの要素を駆使した上で敵の行動を観察し、ステータスを調査し、装備を見直して突破するのが基本である。ボスとの戦闘の難易度は特に高いが、キャラクターを強化し戦略を立てる事で突破できるようになっている。なお、『Seraphic Blue Director's Cut』ではアウターハザードと呼ばれる、戦闘を行う場所によって特別な攻撃が加わるというシステムが追加されている。
序盤より戦闘の難易度が高く、後半ではシステムをきちんと把握していないと、先に進むのが難しい。レベルを上げる事は、難関を突破する上で、有効な手段となるが、それ以上に（特に後半では）戦略や装備の調整が重要になる。なお、強制戦闘を除いて一度も戦闘に勝利せずにクリアしたという報告が過去に公式BBSにあった[5]。
[編集] 装備
『Seraphic Blue』における戦闘の要となるシステム。装備の種類は武器・スフィア・フレームの3つ。武器はその他多くのRPGと同じくキャラクターの攻撃面の能力を増強するもの。スフィアはアビリティの使用や能力値の増強、攻撃への耐性作りを行う装備品。フレームはキャラクターを守る役割と、スフィアを装備するための媒体としての役割をもつ装備品である。フレームによっては多くのスフィアを装備する事ができ、防御を重視した装備にするのも、攻撃を重視した装備にするのも、戦闘から離脱しやすい装備にするのも全てプレイヤーに任されている。
[編集] その他
- サプリメント
- 個々のHP・TPとは別にサプリメントというものが存在し、ここから取り出す事で個々のHP・TPを回復する。またプレイヤーの任意で、戦闘終了後に自動的に回復を行うオートフィルモードへの変更ができる。
- ディクショナリー
- 登場人物、地名・用語の解説、エピソードごとのあらすじ、年表、次の目的地を調べる事ができる。
- エクステンド
- 材料となるアイテムと"EX マテリアル"を利用することにより、高い効果のアイテムを作り出すシステム。アイテムを4つ合成すると、味方全員を回復できるAアイテム、アイテムを2つ合成すると回復効果量が2倍になるDアイテムが作成できる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
『Seraphic Blue』の登場人物の数は多く、またプレイヤーが操作できるキャラクターの数こそ限られているものの、多くの人物がストーリーに何度も関わりを持つ。ここでは『Seraphic Blue』のメイン・キャラクターをそれぞれ解説する。なお、キャラクターの年齢や死亡･生存の判定は、レイクがランゲルの診療所で目を覚ます場面、つまり実質的なゲームの開始時を基準にする。
[編集] パーティーメンバー
- レイク・ランドヴェリー （22歳 男性）
- 東部大陸でイーヴルスイーパーを生業としていた青年。ココモの町のイリエナ孤児院で育った。母親は彼を産んだ時に死亡し、父親は生まれたばかりの彼を孤児院に預けて行方知れずのまま。その出生の為か、極度に厭世的な青年に成長、その鬱屈とした感情をイーヴル狩りにぶつけるようになる。物語の中で彼は、自分がパーソンとセラパーソンとの唯一の混血児＝セラフィックブルーの本体であることを知る。
- ヴェーネ・アンスバッハ （22歳 女性）
- トゥルクの森でガイアキャンサーに追い詰められたレイクの前に現れ、エンデの手から救った女性。セラフィック･トランスにより、一時的な記憶障害に陥るが、ユアン達と再会する事で記憶を取り戻す。レイクの母であるシリア・ローズバーグのセカンドカーネルであり、セラフィックブルーの第一片翼でもある。幼少の頃から、ジークベルトにより『救世の道具』として徹底的な教育を受ける。
- ニクソン・クロムウェル （33歳 男性）
- ホーイック教会の牧師で、天使の子供を保護していた人物。天使孤児の引き渡しを要求するホワイトウィングの研究員との対立から、丁度ホワイトウィングに向かっていたレイクとヴェーネと行動を共にすることとなる。過去にバウンティハンターを生業としていた。別れた妻と娘がいる。
- ミネルヴァ・フェジテ （19歳 女性）
- 第四代目現フェジテ女王。若年の為政治に関しては見習い段階で、実質の政治的発言力はない。強硬的な反女王派から逃れるため、見聞の拡張を兼ね、徒歩でルートフォードに向かう隠密行の最中レイクと合流する。
- ハウゼン （138歳 男性）
- ミネルヴァを護衛するマジックドール。主人に絶対の忠誠を誓い、何があろうと守り通すフェジテセイヴァー。かつてはベネティクタやキャサリンに付いていた。
- フォクシー （24歳 女性）
- エンヴィ・ケイオスの売春婦。本名はエリザベート・ディオール。子供の頃はダンサーを目指していたが、両親がその費用のため業者に借金をし、結果臓器を担保に殺されてしまったことを苦に、自分を憎み夢を諦めた。
- ユアン・オースティン （43歳 男性）
- オーグのリーダーにしてレイクの父親。セラフィックブルー第二片翼。強い正義感と、目的の為に手段を選ばない行動力を持ち合わせる。本編より23年前に、プロジェクト・セラフィックブルーのエージェントとしてグラウンドに降り立つも、任務は思うように進まず行き詰まる。その際、我が身を引いてはプロジェクト・セラフィックブルーを振り返り、その「大義名分を掲げた狂信」を目の当たりにし反旗を翻す。その際にシリア・ローズバーグを誘拐。逃避行の中、息子であるレイク・ランドヴェリーが誕生する。
- ケイン・クルスク （20歳 男性）
- オーグ構成員。ブラストエンジニアとして火器の調整を専門としている。10年前に妹をディスピスで亡くし、7年前に悲嘆に暮れる両親が自分を残して自死した過去を持つ。
- ヤンシー・ユティカ （23歳 女性）
- テンリンのモンク。ある朝三条峰からの異様な気配を察知し、ドリスに出会う。かつて友人のメンチュンをイーヴルによって殺害された事を悔やみ、誰かを守るための力を求め日々修行に明け暮れる。そのため、方々から疎まれているドリスの保護者たろうとしている。
- ドリス・シュテンダル （16歳 女性）
- 遅発性ディスピスで軽度の精神障害をもつが、それによるサヴァン症候群により尋常ならざる魔力を持つ。フェジテ魔法アカデミーにおいての最高位であるスペリオルメイジの称号を持つ。母親に疎まれ、クラスメイトから陰湿ないじめを受ける中、唯一の理解者であったヴェーネを強く慕っている。
- ランサード・シャイアン （30歳 男性）
- 10年前に現れた歴史上最悪のイーヴルであるイーヴル・ディザスティアを倒した当時新鋭のバウンティハンター。莫大な懸賞金を受け取るべき立場にありながらディザスティア打倒以来姿をくらましていた。
- ヴィルジニー （1歳 女性）
- ゲオルクが密かに開発を進めていたシリアのクローンの一体。ゲオルクに絶対の愛および忠誠心を持ち、レイク達の前に幾度となく立ちはだかる。正式名称はヴィルジニー28VVF（Version Valkyrie-Fake）と言う。ヴィルジニー（Virginie）のコードネームは、失われたシリアの「処女性」を意味する。
[編集] その他の人物
- ジークベルト・アンスバッハ （56歳 男性）
- チーム・アンスバッハのチーフとして、ヴェーネに「救世の道具」としての徹底的な教育を行った。他人の人生をゲームとしてみなす部分があるため、一部からは危険視されている。ヴェーネに関しては他に類を見ないほど独占欲が強く、彼女の前に現れては意味深な発言を繰り返す。
- フリッツ･アンスバッハ （24歳 男性）
- ジークベルトの実の息子。ヴェーネに対して深い思い入れを抱いている。父親は愛娘ヴェーネに夢中になる傍らで彼は孤独に生きてきた。ヴェーネの情操教育プログラムの相手として選出された過去を持つ。
- ゲオルク・ローズバーグ （62歳 男性）
- ローズバーググループの会長で、その強い野心と型破りな行動力によりグラウンドで大きな権力を持つに至った人物。元来は真面目で温厚な性格であり、片田舎の小さな薬局屋を娘シリアと切り盛りしていた。しかし、グラウンド開発に乗り出すフェジテに仲介役として選出されたことで権力の虜となる。シリアを異常なまでに溺愛していたが、ユアンによるシリア誘拐とレイク妊娠以来、シリアを勘当、ユアンを憎悪し現在に至る。シリアへの狂的なまでの愛情はヴィルジニーの誕生へと向けられる。
- シリア・ローズバーグ （死亡時 20歳 女性）
- レイクの母親で、ゲオルク・ローズバーグの娘。ゲオルクが権力を持つようになってからは、箱入り娘のようにされていたが、そこをユアンに連れさらわれ、その後ユアンとの間にレイクを身籠る。逃避行の果てにゲオルクの元に戻るも勘当され、レイクを産み落とした後悲運の生涯に幕を下ろす。
- イリエナ・カンパーニ （47歳 女性）
- ココモにある小さな孤児院の経営者で、レイクの育ての親。孤児たちを本当の子供のように思っている。
- ランゲル・ハンス （58歳 男性）
- トゥルクで小さな診療所を営む医者。元ローズバーグ製薬に所属していたため、トゥルクでは村八分に遭っている。金が全てのリアリストを主張する反面、義理でレイクに協力したりとヒューマニスティックなところもある。
- ハイディ・バーミンガム （39歳 女性）
- ロビン開発部第一主任。セラパーソンとしても高い能力を発揮しロビンのエンジニアの中枢的存在。
- フョードル・ヴォロネシ （22歳 男性）
- ロビン開発部門第二主任。パーソンとしては高い才能を持ち、ハイディのセラパーソンとしての才能をライバル視している。火気の扱いに長け、飛行船の操縦も得意とする。
- カーチス･ハミルトン （46歳 男性）
- C.M.G.Cの兵器開発部門に所属。非常に有能で強力な新兵器開発の中心人物。
- デイジー・メイスン （46歳 女性）
- ミネルヴァの教育係兼実質的なフェジテの政治的最高権力者。大勢に左右されない判断力を持ち、あらゆる局面において優れた政治手腕を発揮する。スペリオルメイジとして勇名を馳せた経歴を持ち、その面においてもミネルヴァの師となっている。
- オーウェン・バルチック （47歳 男性）
- 元近衛兵隊長で、現C.M.G.C.委員長。権威主義者であり、女王には絶対の忠誠を誓い、政府は民の模範たれとの理念を持つ。その反面、民間であるオーグの台頭を許せないでいる。
- モーガン・ダグラス （36歳 男性）
- フェジテ内政部地上統治部門幹部。2年前までC.M.G.C委員長を務めていたが、ユアンがヴェーネを連れ出した一件で辞任。親の七光りにより、辛うじて地上統治部門の幹部に収まっている。強者に諂い、弱者を虐げる小者の典型。
- ジェラール・アランソン （29歳 男性）
- フェジテ内政部地上統治部門の幹部。過去、グラウンドの調査中に危機に見舞われるも現地住人に救われた事があり、セラパーソンの権力者の大半がパーソンを家畜同然に見ている中、パーソンとグラウンドに関しては特別な思い入れを持っている。
- ベネティクタ・フェジテ （死亡時 45歳 女性）
- 有能な人物を輩出する事で知られた名門フェジテ家の人間。ガイアに関する数々の伝承や考察を纏め「ガイア理論」として発表した世界的に高名な科学者。
- キャサリン・リオ （死亡時 63歳 女性）
- 魂に関する新説を発表し、リオ・エクスプローラを結成した高名な科学者。ごく普通の女性であったが、片足を切断する怪我を負って以来突如科学者としての才能が開花、歴史に名を残すに至る。
- 黒衣の少女・黒衣の女性
- レイク達の行く先々にしばしば現れ、助言、あるいは予言めいた言葉を残して去っていく。エンデにも匹敵しうる力を持ち、時にはレイク達を保護、先導する役割を担う。
- エンデ （男性）
- ガイアキャンサーを統べる実行者。10歳ぐらいの幼い少年の姿をしている。本人曰く、残酷のイデア。度々レイクらの前に現れては大量のモンスターやガイアキャンサーを召喚し彼らを弄ぶ。
- オーファ （女性）
- ヴェーネと同じ姿だが色がなく、ぼんやりと光を放っている。ヴェーネやエルとの会話が可能で、常にヴェーネを気遣い、彼女の人としての可能性を信じている。
- エル （女性）
- ジークベルトによる「救世の道具」としての教育過程で生まれたヴェーネの第二人格。自己を否定し運命に身を捧げんとするヴェーネに対して、自分の運命の嫌悪、否定などヴェーネがヴェーネとして持ってはならない感情の捌け口として生み出された。結果、生命、運命、世界に対して強い嫌悪感と破壊衝動を持つ。
- アイシャ・クルスク （死亡時 6歳 女性）
- ケインの妹。末期のディスピスであるルシファー変異症を発症し、DLG法に基づきグラウンドに廃棄された。
[編集] ストーリー
話は全5章立てになっていて、エピソードという形でさらに細かく区分けがなされている。エピソードの数は44個で、それぞれタイトルが付けられている。副題にはドイツ語が使われ、エピソードの内容を暗示するものになっている。序盤は伏線を張る事に徹底していて、ヴェーネの記憶回復のため旅を続けるレイク達の背後で、さまざまな人物がそれぞれの陰謀をはりめぐらしていく。それらの謎は第二章の後半より順次明かされていくが、エンディング間近まで残される伏線も存在する。
[編集] 序章
褪せた平常の場所 Our days here, The destiny beside # Episode01 イーヴルスイーパー 黒き翼を狩る者達/Krieger # Episode02 イーヴルの魔窟へ 荒涼と殺戮の戦士/Hass # Episode03 運命の氷解 舞い降りた白翼の天使/Engel
ゲームを開始すると、丘に立ち空を眺める男のモノローグが始まる。男は、クナース・ワースという小説の一節を引き合いに出し、自由を求める事の空虚さを問う。場面は変わり、今度はフリッツが救いを与える者としての天使へ疑問を投げかける。オープニングは、ヴェーネがユアンによって、彼女を囲う「鳥かご」から助け出されるところで締めくくられる。
序章は基本的に、レイク・ランドヴェリーの視点で物語が進み、依頼を受けて、黒い翼を生やす怪物・イーヴルを退治する彼の姿を軸に、両親――彼の生後まもなく死んだ母、彼を孤児院に預けたきり姿を見せない父――やその他もろもろの事を彼がどう思っているのかが大まかに描かれる。章の終わりには、以降の物語に深く係わるエンデとヴェーネがレイクの前に現れ、物語の本格的な始まりを告げる。
[編集] 第一章
白き翼の彷徨う世界 Something more precious, Anything more fragile # Episode04 旅立ちの翼 失われし記憶を探して/Zukunft # Episode05 ホーイック 捨てられし幼天使の家/Begegnung # Episode06 海上都市ユヴェス 暗き海からの来訪者/Ungeheuer # Episode07 ホワイトウィング 災厄の潰えし丘/Angriff # Episode08 疑惑のエンブレム 知られざる闇の支流/Loewe # Episode09 思い出の欠片 愛しさは水鏡の向こうに/Versprechungen # Episode10 黒衣の呼び声 舞い降りた星の御遣い/Lenkung von oben # Episode11 星の大樹 蒼き光河に流るる運命/Verschlechterung # Episode12 蒼き夢見の小道 溶けた心の想い人/Waerme
グラウンドでの旅を通してヴェーネによって暖められていくレイクの心、渦巻く陰謀の気配、運命の歯車の片鱗が見え隠れしてくる様子が描かれる。序章の最後で、レイクは謎の女性に窮地を救われるが、その女性――ヴェーネ・アンスバッハが記憶障害に陥ってしまう。レイクを救う際に彼女が見せた白い翼を手がかりに、二人はヴェーネの記憶を取り戻すための旅に出る。この章もレイクの視点から話が綴られていくが、時折他のキャラクターを中心とするシークエンスがはさまれる。これらのシークエンスは物語の背景をプレイヤーに示す意味が大きいが、まだ今後のストーリーでどのような意味を持つのかは明らかにされない。レイク達は章の後半（EP10）で星と魂の摂理を説明するガイア理論のあらましを聞く。ガイア理論は後のストーリーでも、中心的な世界観として重要な意味を持つ。
元バウンティハンターの牧師、ニクソン・クロムウェルを加え旅を続けるレイク達は、世界でも有数の実力者ゲオルク・ローズバーグが、レイク、ヴェーネを狙っている事を知る。さらに章末になると、ゲオルクが、同じくレイク達をつけ狙うエンデと組んでいる事が分かる。エンデは強力なモンスターを自在に呼び出す能力をもち、自身も強大な力を持つ少年だが、この時点ではその正体は謎に包まれている。また、ヴェーネの記憶が完全に戻る事はないが、断片的な記憶から彼女もまた謎めいた過去を持つ事が示される。
[編集] 第二章
冷たき雫の此方 Cause and effect, Beloved or nothing # Episode13 新たなる旅立ち 選び取られし未来への道/Ausland # Episode14 欲望の都 混沌の海に揺蕩う生命/Krankheit # Episode15 黒き意思の暗躍 狙われた二つの鍵/Bosheit # Episode16 天使達の呼び声 遠き離別の彼方フェジテ/Wahrheit # Episode17 ヘヴン・ザ・ホーイック 夕日に消えた天使たち/Tod # Episode18 砕け散った約束 魂の嗚咽と終わりなき雨/Regen # Episode19 三条峰の伝説 舞い降りし天女に捧ぐ力/Maedchen # Episode20 六年の祝祭者 フェジテ要人殺害予告/Zweifel # Episode21 カオスへの導者 心の奈落にて囁く意思/Wahnsinn # Episode22 崩れゆく障壁 迸る胎動と戦慄の残響/Verschmelzung
フェジテを舞台に隠されていた世界の半分が明かされ、再会、新たなる邂逅を交えて物語は進んでいく。前章の最後で殺されたかに見えたレイクは、黒衣の二人の助けもあってか、見知らぬ土地で目を覚ます。レイクはヴェーネ達と離れ離れになってしまったが、近くの村で、旅の途中らしいミネルヴァ、ハウゼンに会う。レイクはこの土地が、自分のいた世界と全く違う事に気付くが、素性を隠し彼らに同行する事に決める。
第二章の前半は、ミネルヴァに付き添い、オーグの本部を目指す事になる。第一章では、主人公達は誰も背後で蠢くものの正体を掴めていなかったが、ここでは、レイクだけが「異邦人」として知らぬ者に徹している。一方、ユアン達に再会し記憶を取り戻したヴェーネは、ユアン達とオーグ本部への帰路を急ぐ。
章の中盤（EP15からEP18辺り）では、ミネルヴァ達がレイクに教える形で、それまでの色々な謎が明かされる。具体的には、転生した人間「セラパーソン」の住む、空に浮かぶ世界「天使国家フェジテ」の存在、ユアン、レイク、ヴェーネの三人が、星に巣食う病魔を駆逐する存在「セラフィックブルー」である事等。レイクは、ユアンとゲオルクの娘シリアの間に生まれた子供で、ヴェーネは死んだシリアの魂を受け継いでいる。病魔の中でも、特に巨大なものはガイアキャンサーと呼ばれ、「実行者」であるエンデによって統制がなされている。また、セラパーソンの子供は、高い確率でディスピスという病気が発症し、病状が進行し怪物に姿が変わったディスピス患者達は、地上に廃棄する事がDLG法によって定められている。イーヴルとはこの廃棄されたディスピス患者の事である。この設定はストーリーに深く関わりを持ち、ある種ストーリーのテーマになっているようにも思える。
EP19はこれまでと違い、地上に住むモンク、ヤンシー・ユティカを主人公に据え、セラパーソンの少女ドリス・シュテンダルに会う様子が描かれる。これは第三章に続くヤンシー視点の物語の発端になる。第二章は今までフェジテの存在を地上から隠していた天空境界が、ゲオルクの陰謀で消滅するところで終わる。
[編集] 第三章
遥か哀景の空 Truth of tears, Radiance for lives # Episode23 新たなる世界と空 遥か大地をこの瞳に映して/Krieg # Episode24 再燃する運命 解放の偽善者と道化の蜂起/Kampf # Episode25 天使の堕つる奈落 大地に思う魂の温もり/Koexistenz # Episode26 支配者の意思 屠る猛牙と淀みの腐臭/Intrige # Episode27 荒ぶる黒死の翼 紅の空に燃え散った涙/Opfer # Episode28 闇落ちる故郷の空 儚き今を抱き締めて/Entschluss # Episode29 招かれざる帰郷 黒き幼子達の戯れる園/Finsternis # Episode30 星の慟哭 血肉の雨に濡れる少女/Klage # Episode31 蒼き旅人の夜明け 天使の双翼に想いを乗せて/Band # Episode32 悠久のフェジテ 日溜りの優しき別れ/Selbstaendigkeit # Episode33 空と大地と魂の軌跡 愛を請う創生者の涙/Liebe # Episode34 蒼喰らう黒獅子 寂寥に濡れる堕天使の翼/Verzweiflung # Episode35 セラフィックブルー 想いは青空の彼方に/Blauer Himmel
天空境界が消滅した事で、ゲオルクは、地上の人間を家畜同然に扱うフェジテに対しての蜂起を呼びかける。天使孤児を作ったセラパーソンへの憎しみを捨てきれないニクソンと、フェジテにドリスを手早く連れ戻したいヤンシーは決起集会が開かれるダルムシュタットへ向かう。この章では、ゲオルクの起こす天地間の戦争が話の中心になる。レイク達オーグの面々は、戦場に赴き事態の収拾をはかりながら、ゲオルクの世界征服の野望を阻止しようとする。
第三章の前半には、ヤンシー達をメインに置いたエピソード（EP23、28）と、ミネルヴァ、ハウゼンとレイク達オーグのメンバーを中心とするエピソード（それ以外）がある。最終的に2つのパーティーはEP31で合流する事になる。第三章は全体の中で最も占める部分の多い章だが、伏線の解消は少なく、現在進行形のエピソードが主体となる。
フェジテがモーガン・ダグラスに占領された事により、地上対フェジテの戦争は全面的なものになるが、オーグの活躍によりモーガン、ゲオルクは共に斃れ戦争も終結を迎える。しかし、払った代償も大きなものとなる。
戦争を背後で操っているのはエンデで、彼は時にゲオルク、時にモーガンに力を貸し、戦況を複雑なものにしていく。その中で彼は真の目的を冷徹に遂行する。エンデは自らの残忍さを存分に見せ付ける事により、星の代弁者であるベネディクタに精神的なダメージを与え、ガイアの死を決定的に早める「星の慟哭」を生じさせていた。
[編集] 最終章
翼の散り逝く彼方 My hearty wing, Somedays blue sky # Episode36 別れと巣立ち 優しき眼差しに見送られて/Mutter # Episode37 受け継がれる魂 天使に宿る一欠片の想い/Laecheln # Episode38 病魔の滅絶 迫るエンデの刻限/Entscheidungsschlacht # Episode39 焼け落ちる白き翼 ホワイトウィング壊滅/Katastrophe # Episode40 カオスの憧憬 滅亡の種を追い求めて/Vorzeichen # Episode41 潰えし愛の記憶 あの遠き空の下に生まれて/Aisia # Episode42 君に送る言葉 咎と十字架と未来への心/Abschied # Episode43 終末の空 この愛を此処に在らざる子供達へ/Dasein # Letzte Episode セラフィックブルー 想いは青空と共に/Vene Ansbach
物語の真相の開示、終末の空での最終決戦、そして物語の終わりまでが描かれる。死んだレイク、ユアンの魂を受け継いだヴェーネは、セラフィックブルーとして完全なものになるために、かつての自分の肉体――ルシファーと化し、フェジテガーデン・フェスク内に保管されている――に残る魂の欠片と融合する。ヴェーネ達は、星の自然治癒の障害となっているガイアキャンサーを殲滅するため、最後の戦いを始める。
最終章では残されていた伏線がいよいよ解決されると共に、今まで常に物語を陰で引っ張って来たエンデが黒幕の座から降ろされる。また、真の敵の開示の様子はプレイヤーに少しずつ手掛かりを与えるミステリーの手法が用いられている。重なり合う過去と現在、失われた命、そこに見えてくる物語の真相の開示。ガイアの死の前駆症状として空には漆黒の穴が広がる。そして迎える最後の戦い、物語はついに終わりを迎える。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Blue Field（製作者のサイト）
- Seraphic Blue Data
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