Am5x86
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Am5x86はAMDが開発した486クラスのx86互換CPUである。
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[編集] 概要
1995年に発売されたAm5x86はもっとも高速なi486互換CPUのひとつであった。1995年11月に発売されたAm5x86は内部でクロックを4倍に増幅して使用していた。動作速度は133MHzであった。
このCPUは開発コードをX5といい、チップパッケージにも「Am5x86-P75」という製品名と併記して「AMD-X5-133ADZ[1]」、あるいは「Am486DX5-133W16BHC」[2]などの表記がなされていた。
通常のi486対応マザーボードには4倍速動作設定は用意されていなかったため、Am5x86は代わりに2倍速設定を4倍と読み替えて動作するように設計された。そのため、古いマザーボードでも2倍速に設定できれば4倍速で動作したが、通常の486系CPUとはコア電圧が異なっていた(通常のi486では3.3/5Vのいずれかであったが、Am5x86は3.45V動作であった)ため、電圧変換の必要があった。
Am486はPentium 75MHzと同等な性能をベンチマークでたたき出した。しかも、古い486システムと互換性があった。しかしながら、Cyrix Cx5x86よりは性能が少し劣っていた。このCPUを使用する人はFSBを40MHz設定として160MHzにオーバークロックすることが多く[3]、その場合はPentium 100MHzと同等の性能を示した。 また一部のPCベンダーは最初から160MHz駆動を行い、Pentium100Mhz相当CPU搭載として、Pentium搭載マシンの半額程度の価格で販売も行なった(10万円PCの登場)。Pentium100MHz相当であるので、Pentiumではないが、オフィス用途であればなんら遜色ないための広告であったと考えられる。 Pentiumのように浮動小数点演算のバグも無いため、浮動小数点演算処理が少々遅いながらも正確さを求める分野にも、Pentiumの代わりとして急を要するところでは利用された。
このプロセッサは初めてモデルナンバーを使用したCPUであった。Am5x86がP Ratingで、Pentium 75MHzと同等の性能を示したことから、これを根拠としてX5を「Am5x86-P75」として販売したものであった。もっとも、浮動小数点演算機能については、486系コアの限界を示すことにもなった。
Am5x86はAMD K5の開発が遅れている間、AMDにとっての重要な収入源となった。
Am5x86は1999年まで生産が続けられ、安価なデスクトップやノート、そして過去のCPUのアップグレード用としても用いられた。数社は電圧変換キットとプロセッサを同梱した形で販売した。
Am5x86は組み込み用プロセッサとしてはÉlan SC520 マイクロコントローラとして生産が続けられている。
後継プロセッサはAMD K5である。
[編集] 脚注
- ↑ ADZはチップの仕様(A:パッケージ、D:動作電圧、Z:ケース内温度上限)を示し、この場合「168ピンPGA、3.45V動作、ケース内温度上限85℃」となる。この時期のCPUとしては85℃上限は異例の値で、他に55℃上限の「W」(AMD-X5-133ADW)が出荷されていたことが確認されているが、そのオーバークロック耐性には大きな差があった。
- ↑ 一部のロットはこの表記で出荷されたが内容は同一である。
- ↑ AMD自身も「参考」として133MHz動作時と並べて160MHz動作時のベンチマーク結果を雑誌広告に掲載しており、K5とのラインナップ整合の問題から160MHz版はリリースされなかったが、本来160MHz動作を前提としていたと推測される。
[編集] 外部リンク
[編集] 関連項目
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