魔法使いハウルと火の悪魔
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魔法使いハウルと火の悪魔(まほうつかいはうるとひのあくま)は、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作のファンタジー小説である。1997年に出版された。日本語訳は西村醇子。
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[編集] 概要
ダイアナ・ウィン・ジョーンズが、ある学校に招かれ、生徒達と話をしている時に一人の少年が「動く城の話を書いて下さい」と言った事がこの作品が誕生するきっかけである。2004年にこの作品を原作に、宮崎駿監督作品『ハウルの動く城』が公開された。本作品を映画を通して知ったという人も少なくない。映画版は原作にどこまで忠実かと言えば前半部分は比較的忠実だが、後半は戦争の有無が大きな違いである。
[編集] あらすじ
インガリー国は昔話でおなじみの七リーグ靴や、姿隠しのマントが本当にある魔法の国。そんな国では三人きょうだいで、運試しに出れば長男や長女はおとぎ話の通りまっさきに手ひどく失敗することは誰でも知っている事実。帽子店の三人姉妹の長女ソフィー・ハッターは、その事を信じており、いずれは出世する運命にあるだろう末っ子のマーサを仕込むことを生きがいにしていました。街では、『荒れ地の魔女』や、丘陵地帯に現れた動く城に住む『魔法使いハウル』の噂で持ちきりでした。しかしソフィーが学校を終える年、父親が亡くなり、加えて莫大な借金があることが分かります。3人は学校を辞め、ソフィーは帽子店でお針子を、レティーはパン屋<チェザーリ>で奉公、マーサは母親の知り合いの魔女のもとに修行へ行きました。ソフィーは毎日人と接することなく、帽子店で毎日帽子作りをしていました。そしてそんな生活を送るうちにソフィーは、次第に心を閉ざすようになります。そんなある日、店にある女性が訪れました。その女性(=荒れ地の魔女)に呪いを掛けられたソフィーは90歳の老婆にされてしまいます。帽子店に居られなくなったソフィーは街を出ます。街を出たソフィーは丘陵地帯で、『魔法使いハウル』の住む動く城に転がり込みました。そこから物語は大きく進むことになるのです…
[編集] 登場人物
- ハッター氏
- インガリー国にあるがやがや町で、帽子店を営むソフィーが学校を終える年に急死する。娘3人を学校に行かせるために多額の借金をしていたことが死後に判明。
- ソフィー・ハッター
- 帽子店の長女、18歳。あかがね色の髪を持つ。長男や長女は出世出来ないという迷信にとらわれている。ハッター氏の死後、帽子店でお針子をしていたが、ずっと外に出ず帽子店の中で過ごしていたため、些細なことでビクビクする性格となってしまった。5月祭の直後に荒れ地の魔女に呪いを掛けられ、90歳の老婆にされる。老婆となった後、魔法使いハウルの住む動く城に転がり込み、掃除婦として働く。掃除婦になってからはかなり積極的な性格となっている。本人は自覚していなかったが、実は魔女であり、言霊の魔法(言葉によって物に魔法を掛けたりする)を知らず知らずのうちに使っていた。
- レティー・ハッター
- 帽子店の次女、17歳。美しい黒髪を持ち、街一番の美女と言われ、街の半分の男性から求婚されたと言う。ハッター氏の死後、がやがや町にあるパン屋<チェザーリ>に奉公するために家を出るが、その後、マーサと口裏を合わせ、フェアファックス夫人の元で魔法の修行をしている。
- マーサ・ハッター
- 帽子店の三女、15歳。ハッター氏と後妻(ファニー)との間の子。母親の遺伝からか金髪である。出世する定めであるとされ、魔法の修行に出るが前述通り、レティーと口裏を合わせ、魔法によって姿を入れ替え、<チェザーリ>で働き始める。マイケルの恋人。
- ファニー・ハッター
- ハッター氏の後妻、帽子店の元お針子。マーサの実母。ソフィーが呪いを掛けられ、店から居なくなってしばらくして店を畳んでいる。お金持ちと再婚。
- フェアファックス夫人
- ファニーの友人の魔法使い。上折れ谷に住む。蜂蜜好きで蜂を飼っている。
- ハウル(ハウエル・ジェンキンス)
- 動く城に住む魔法使い。街では「美女の心臓を喰らう魔法使い」と恐れられるが、そのほとんどはマイケルが流した噂であり、根は善人である。容姿に妙にこだわり、髪の毛の呪いに失敗するだけで緑のネバネバを身体から出す。お風呂に2時間は入る。金銭にはこだわらない性格で、かなりの浪費家。一時期は海藻だけで食生活をしていたらしい。カルシファーと契約を交わしている。異世界から来たらしい。年齢は物語の一節に「次の夏至で、僕が生まれてから一万日目」と言うことから27歳前後と思われる。
- マイケル・フィッシャー
- ハウルの弟子。ポートへイヴンに住んでいたが、幼い頃に母親を病気で亡くし、父親も嵐の中に漁に出て行ったきり帰ってこず、孤児となった。親戚は彼を引き取ることを拒否し、しばらく街を放浪していたが、その後成り行きから動く城に転がり込み、数ヶ月後に正式にハウルの弟子となる。現在15歳で、マーサの恋人。
- カルシファー
- 火の悪魔。元は流れ星で、物語の5年前にハウルと契約を交わす。ハウルに魔力を提供し、動く城も制御している。契約の影響で城の暖炉にしばり付けられている。
- サリマン(ベン・サリヴァン)
- 王室付き魔法使い。荒れ地の魔女を始末するよう王様に命令されたが、その後行方不明になった。ハウルと同様に彼もまた異世界から来た人間。
- ジャスティン王子
- 王様の弟。サリマンの捜索に向かったが、そのまま行方不明となった。
- キャトラック伯爵
- ジャスティン殿下の捜索に向かった若者。捜索の途中である女性と出会い、そのまま駆け落ちする。何一つまともにこなせない人物。
- 王様
- インガリー国の王様。国王としては若い方で、王であることを鼻にかけているようで、自信家のようである。
- ヴァレリア王女
- 王様の娘。まだ生まれたばかりの赤ん坊。
- ペンステモン夫人
- 引退した魔法の先生。ハウルとサリマンの恩師で、物語では86歳。
- パーシヴァル
- 犬人間。犬と人間の間を行ったり来たりしており、変身するたびに違う犬になっている。ハウルとカルシファーの魔法で人間のままに戻れるが、かなり気弱な性格。
- ミーガン
- ハウルの姉。ガレスの妻。
- ガレス
- ハウルの義兄。ミーガンの夫。
- ニール
- ハウルの甥。姉夫妻の子供。
- マリ
- ハウルの姪。姉夫妻の子供。
- アンゴリアン
- ニールの学校の先生。
- かかし
- 荒れ地の生け垣に引っ掛かっていたかかし。なぜかソフィーを必要に追いかけている。
- 荒れ地の魔女
[編集] 続編
魔法使いハウルと火の悪魔の続編として、『アブダラと空飛ぶ絨毯』が出版された。本作は、主人公は別な人物だが、ハウルとソフィーも登場し、その後の様子をうかがい知ることが出来る。