電磁両立性
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電磁両立性(EMC: Electromagnetic Compatibility)とは、電気・電子機器が、それらから発する電磁妨害波(EMI: Electro Magnetic Interference)がほかのどのような機器、システムに対しても影響を与えず、またほかの機器、システムからの電磁妨害を受けても自身も満足に動作する耐性である。 EMCの大きな目的は、異なった複数の機器が同じ環境に存在する環境において、正しく作動することである。
[編集] 歴史
以前は、軍用を別として、機器やシステムのメーカーはEMCに関する問題にあまり関心がなかった。しかしながら、ディジタル機器に使用する電源電圧の低下、クロック速度の増加が進むにつれ、機器の誤動作や作動しないといった問題が発生するなど、電磁妨害の問題が表面化してきた。これによってEMCも注目され始める。
多くの国はこの深刻さを増す問題を意識するようになり、各国の担当組織(アメリカ合衆国のFCC。ヨーロッパのCEN、CENELEC、ETSI。イギリスのBSI)は機器や設備などの電磁妨害に関する基準を作成し始めた。さらにEMC規格を含めた世界的な標準規格を制定する取り組みを行っている国際組織もある。最も重要な国際機関は国際電気標準会議(IEC)である。IECはEMCに関するいくつかの委員会を組織している。「ネットワークを含む設備間の電磁両立性」を担当する「TC77」、および電波障害(CISPR)に関する国際特別委員会がそれに該当する。