雪月花
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雪月花(せつげつか、ゆきつきはなとも)は、白居易の詩「寄殷協律」の一句「雪月花時最憶君」による語。雪・月・花という自然の美しい景物を指す語である。日本においてはこの語句が格別に愛好され、以下に述べる含みを持つ語として使われるようになった。 また「雪月花」 (せつげっか) は楽曲の曲名。
殷協律は白居易が江南にいたときの部下であり、長安からこの詩を贈ったものである。「雪月花の時」は、この詩においては、それぞれの景物の美しいとき、すなわち四季折々を指す語であった。そうした折々に、遠く江南にいる殷協律を思うというのである。
しかし「雪月花」は日本の詩歌においては、これら三種を一度に取り合わせたものを指すものとしてしばしば用いられる。日本語における初出は『万葉集』、大伴家持の和歌である。宴席の題詠として雪月梅花が詠まれた。すなわち月の明るい折に、雪と花をあわせたものを提示するという遊戯的な設定を和歌の題材としたものである。この取り合わせは『枕草子』の一節に村上天皇の挿話として見え、日本の宮廷文化においては、しばしば珍しい取り合わせとして、また「最君憶」(最も君を憶う)との連想において好まれた。「雪月花時最憶君」は『和漢朗詠集』交友の部に前句とともに採られており、先に触れた村上天皇の挿話もこの連想を下敷きにしたものである。
時代が下ると、雪月花は主に雪・月・桜の取り合わせとして理解され、この三種の景物、さらにはそうした景物をめでる風流な態度そのものを示す語句として理解されるようになった。日本三景や日本三名園がこれに相当する。
音楽作品としてもいくつかの楽曲がある。
現代では伝統的な日本の美の感覚を連想させる語として、詩や流行歌、あるいは和風レストランの屋号などに用いられている。