金融資本
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金融資本とは、資本活動形態において、資産が金融商品である資本のこと。
商業銀行や、投資銀行、私募ファンド、大資産家などがそれにあたる。
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[編集] 概要
金融資本は、主に近代において金融的アプローチで資本活動をしていた各種商業銀行や保険機構、資産家のことである。
系譜として中世後期の欧州商業資本などに由来している。これらの資本は、蓄積した貨幣を、権力者などに貸付けてその勢力を拡大した。
絶対王政の時代において、金融資本は王権への貸付により密接な関係を持つ。
産業革命以後、特に第二次産業革命前夜には莫大な設備投資を必要とする民間産業資本が出現した。ここに、金融資本は民間産業の背骨を支える重要な役割を得ることになる。
金融資本は、やがて出資・融資により産業資本に深く関与し独占資本へと転化していく。
また、現代において、銀行・ヘッジファンドなどが金融資本として活動している。
広義の金融資本として、主に自己資本を貸付ていた古代の高利貸を含めるのであれば、その活動の歴史は古く、貨幣経済の発生と共にあったといっても過言ではない。
[編集] 歴史
[編集] ドイツ
ドイツは19世紀後半に、先進工業国イギリスを猛追することになるが、この成功要因のひとつとして活発な金融資本が挙げられる。
ドイツでは、投資銀行が集約した資本を産業資本に出資、いくつもの産業資本を支配し独占資本となっていた。投資銀行は、出資により株式を得て、産業資本の経営に参加する権利を持っていた。投資銀行は、さまざまな産業資本を一手にすることで優秀な経営者を適材適所に配置することが可能であり、ドイツ産業の急速な発展を支えた。
[編集] 日本
日本では、20世紀初頭に三井などに代表される財閥が銀行と持ち株会社を軸にしたコンツェルンを形成していた。財閥は、自らの出資により産業資本を生み出して企業グループを形成していた。