酢酸鉛(IV)
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| 酢酸鉛(IV) | |
|---|---|
| Pb(OCOCH3)４ | |
| IUPAC名 | 酢酸鉛(IV) |
| 別名 | 四酢酸鉛 |
| 組成式 | C8H12O8Pb |
| 式量 | 443.38 g/mol |
| 形状 | 無色結晶 |
| 結晶構造 | |
| CAS登録番号 | 546-67-8 |
| 密度と相 | 2.23 g/cm3, 固体 |
| 水への溶解度 | g/100 mL (℃) |
| 融点 | 180–190 ℃ |
| 沸点 | ℃ |
| 出典 | |
酢酸鉛(IV) （さくさんなまり）、別名四酢酸鉛（しさくさんなまり）は化学式 Pb(OCOCH3)4 で表される鉛の酢酸塩である。一般的に市販されており、しばしば安定化剤として酢酸が添加されている。
四酸化三鉛と酢酸の反応によって合成できる。鉛の他の酢酸塩として酢酸鉛(II) がある。
[編集] 有機合成試薬
強い酸化剤として用いられ、アセチルオキシ基 (CH3COO−) の導入や有機鉛化合物の合成にも利用される。以下に具体例を挙げる。
- ベンジル位、アリル位、エーテルのα位の C−H 結合のアセチルオキシ化。例えばジオキサンとの光反応は2-アセトキシ-1,4-ジオキサンを経て1,4-ジオキセンを与える[1]。α-ピネンからはベルベノンが得られる[2]。
- ヒドラゾンのジアゾ化合物への酸化。ヘキサフルオロアセトンヒドラゾンからビス（トリフルオロメチル）ジアゾメタンなど[3]。
- アジリジンの合成。N-アミノフタルイミドとスチルベンの反応によるものなど[4]。
- 1,2-ジオールの開裂によるアルデヒドやケトンの合成。これはしばしばオゾン酸化のかわりに用いられる。酒石酸ジ-n-ブチルからグリオキシル酸 n-ブチルなど[5]。
- アルケンからのγ-ラクトンの合成。
- δ位に水素原子を持つアルコールの酸化による環状エーテルの合成[6]。
- オゾン存在下でのアリルアルコール誘導体の酸化的開裂[7][8]。
- アセトフェノンのフェニル酢酸への変換[9]。
[編集] 参考文献
- ↑ Kreilein, M. M.; Eppich, J. C.; Paquette, L. A. "1,4-Dioxene". Org. Synth., Vol. 82, p.99 (2005). リンク
- ↑ Sivik, M. R;. Stanton, K. J.; Paquette, L. A. "(1R,5R)-(+)-Verbenone of High Optical Purity". Org. Synth., Coll. Vol. 9, p.745 (1998); Vol. 72, p.57 (1995). リンク
- ↑ Middleton, W. J.; Gale, D. M. "Bis(trifluoromethyl)diazomethane". Org. Synth., Coll. Vol. 6, p.161 (1988); Vol. 50, p.6 (1970). リンク
- ↑ Müller, R. K.; Joos, R.; Felix, D.; Schreiber, J.; Wintner, C.; Eschenmoser, A. "Preparation of N-Aminoaziridines: trans-1-Amino-2,3-Diphenylaziridine, 1-Amino-2-Phenylaziridine, and 1-Amino-2-Phenylaziridinium Acetate". Org. Synth., Coll. Vol. 6, p.56 (1988); Vol. 55, p.114 (1976). リンク
- ↑ Wolf, F. J.; Weijlard, J. "n-Butyl Glyoxylate". Org. Synth., Coll. Vol. 4, p.124 (1963); Vol. 35, p.18 (1955). リンク
- ↑ Smith, M. B.; March, J. Advanced Organic Chemistry; Wiley: New York, 2001. ISBN 0-471-58589-0.
- ↑ Alvarez-Manzaneda, E. J. et al. "O3/Pb(OAc)4: a new and efficient system for the oxidative cleavage of allyl alcohols". Tetrahedron Lett. 2006, 47, 6619–6622. DOI: 10.1016/j.tetlet.2006.07.020
- ↑ 提案されている反応機構によると、1-アリルシクロヘキサノールのシクロヘキサノンへの変換では、まずアリル基がオゾン酸化によってトリオキソランとなり、次に鉛エステルの生成が起こる。
- ↑ Myrboh, B.; Ila, H.; Junjappa, H. "One-Step Synthesis of Methyl Arylacetates from Acetophenones Using Lead(IV) Acetate". Synthesis 1981, 126–127.
