都市社会学
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都市社会学(とししゃかいがく)とは社会学の一領域。都市の構造や機能を多角的に分析する。日本における著名な研究者として、鈴木栄太郎、磯村英一、奥井復太郎らを挙げることが出来る。
古典的な研究としてはマックス・ウェーバーやカール・マルクスらの都市研究が挙げられるが、実証的な実地調査に基づく研究は20世紀まで待たねばならない。前世紀初頭、米国のシカゴ大学で研究が始まり、シカゴ学派と呼ばれる学究の集団が形成された。代表的な研究者としてルイス・ワース、アーネスト・バージェスらの名が挙げられる。その後、マルクス主義の影響の下に、都市をジェンダーや階級など権力のあらわれる場ととらえるマニュエル・カステルら新都市社会学が登場して、都市問題の認識の前提に上記の視点が欠けているとしてシカゴ学派を批判した。
現在における日本の著名な研究者には、シカゴ学派の流れをくむ松本康、新都市社会学を介して空間論的転回の流れを決定づけた吉原直樹、シカゴ派の流れをくみつつもマルクス主義的の世界都市論・グローバルシティについて論じた町村敬志がいるが、他に文化のあらわれる場所としての都市を社会学的に考察するものとして吉見俊哉や若林幹夫などがいる。吉見や若林らは自らの学問領域を都市社会学とはいわず、文化の社会学といういい方がされていたりするが、基本的には上記の空間論的転回の延長線上にある。