赤バス
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赤バス
- その方面行きの最終バスのこと。行き先表示幕に赤い電灯をつけることからこう呼ばれる。1本前は青バスという。
- 広島市における、広島バスの通称。
- 大阪市交通局が外郭団体 大阪運輸振興に委託して運行しているコミュニティバス。本項で記述。
赤バス(あかばす)は、大阪市交通局が大阪市交通労働組合との共同出資で設立した大阪運輸振興に委託して運行している小型ノンステップバスによるコミュニティバス。名称は車体の色が由来で公募で名付けられた。運賃100円均一。
一般の大型バス路線ではカバーしきれない、大阪市内の住宅地と病院・鉄道駅・区役所などの公共施設をきめ細かく結ぶ地域密着型の公共交通サービスとして、2000年5月20日に試験的に5路線で運行を開始。2002年1月27日に本格的に21路線で運行を開始した。2006年6月現在、30路線が運行されている。
大阪市のイメージアップに役立つデザインをしている車両である。また交通局職員の雇用確保や、超小型の車体ゆえに通常のバスでは走行が困難であった地区への路線バスの設定などにも成果を挙げている。
目次 |
[編集] 路線一覧・路線図
- 赤バス路線一覧
- 大阪市交通局ホームページ - 赤バスと市バスの路線図は左記サイトを参照。
[編集] 複雑なシステム
運賃は100円または無料(乗客の大半はの70歳以上で敬老パスを使用する高齢者)であるが、不人気で乗客が少ない。その理由は、さまざまな理由が考えられる。
- 一方通行が原則であるので往復利用の場合は目的の停留所に行くのに時間が掛かる場合がある(一部例外や往復系統もある)。その他、本数が少ない(20~60分に1本)。基本の営業時間が短い(朝9時~午後7時まで)約30路線、概ね1000停留所もあり乗客にとって行き先が分り辛い、運行路線図は複雑で理解が困難。大半の市民のコミュニティを走っていない。乗り換えないと目的地にいけない(利用方法が難しい)などの指摘もあり、大都市に向いていないシステムとも言われる。
- もともと大都市のコミュニティは、区域によって細かく異なる。役所が住民のコミュニティをどこまで把握して計画していたのかは疑問が残る。大半の利用者である高齢市民のコミュニティはバスの運行距離よりも狭い範囲でと言われるが、路線数を増やし1路線数あたりの走行距離を短くすると、便利にはなるが、問題がさらに複雑化し、赤字の更なる増加が予想される。この矛盾が使いにくさ・不人気の根底にあると思われる。
- 過剰サービス:地域住民の要望、市会議員の要求、交通市交通労働組合の要求によって作られているため一部地域では、過剰サービスに陥っている。
- 赤バスの無い地域:1000停留所あるにもかかわらず、乗客数は地下鉄と比べると、約1/300と極めて少ない、大阪市民の中には赤バスを知らない人、乗ったことがない人が多い。
- 廃止の困難性:議員、労組、住民の利害が複雑に絡むため運行見直しは困難であるといわれている。
- その新規な試みや、一定の利便性、運転手の雇用確保などの効果は、評価されるべきではある。ただ、交通過密かつ、多種多様なの交通機関の選択肢がある大阪市中心部での運用は、その効果を最大限に発揮しているとはいい難い。高齢者をターゲットとするならば、介護タクシーの充実や、病院や公民館単位での無料マイクロバス配備などのアプローチも考えられたはずであり、赤バスは壮大な計画や投入された予算に比べると、費用対効果が厳しい状況と言える。
[編集] 赤字公共事業としての問題
税金で運営される赤字バスである。(市民1家族当たり約4000円/年の税負担)大阪市ではWTC(ワールドトレードセンター)▲1000億円とともに、赤字額が大きい。年間1億円の収入に対して、年間経費が24億円かかるといわれ、財政的には深刻な大阪市にその負担は重くのしかかっている。
大阪市一般会計からの助成金 23億円(平成16年度)20億円(17年度予算)17億円(18年度予算)
[編集] 車両
車体はスウェーデンのオムニノーバ社製造のマルチライダーを使用している(同社は既に倒産)。
- 全長 約6.2m
- 幅 約2.1m
- 30人乗り
1台2000万円で買った特殊仕様であるが、故障が多く約5年半で352件起きている(一般バスの8~12倍)、維持管理費が高くつく(一般バスの2倍)。
オムニノーバ社の倒産により、現在は一部ベンツ製のものも使っている(70台)。
[編集] 乗車人数
2002年7月における全路線の1便あたり乗客数は16.1人/便となっており、事業性は最低の評価である(国土交通省1 コミュニティバス関係【導入効果が認められる事例】)
[編集] 秘密主義
大阪市は、乗客数、営業キロ、走行キロ、在籍車両数、料金収入、補助金額、委託先の社長名、事業内容、従業員数、など一切のデータの公表をしていない。これは、自治体側には公表義務がないからでもある(大阪市交通事業概要平成18年5月「平成18年度予算版」参照)。
[編集] 参考データ
[編集] 大阪市営交通機関一日乗車人員(約)
- 地下鉄 230万人
- 市バス(通常路線) 20万人
- ニュートラム 7万人
- 市バス(赤バス) 0.7万人(推定)
[編集] 一日収入(約)
- 地下鉄 4億円
- 市バス(通常路線) 0.3億円
- 市バス(赤バス) 30万円(推定)
- ニュートラムは不明
[編集] 一日支出(約)
- 地下鉄 5億円
- 市バス(通常路線) 0.8億円
- (赤バス) 730万円(推定)
- ニュートラムは不明
[編集] 一日赤字(約)
- 地下鉄 ▲1億円
- 市バス(通常路線) ▲0.5億円
- 市バス(赤バス) ▲700万円(推定)
- ニュートラムは不明
なお赤バス以外のデータはインターネットで一部が公表されている。 http://www.city.osaka.jp/keikakuchousei/kotsu/present01_02.html http://www.city.osaka.jp/keikakuchousei/toukei/H000/Hc00/Hc600/Hc600.html
[編集] 人件費 平成16年度(約)
- 地下鉄・ニュートラム
- 一人当たり 1070万円 職員数 5500人 人件費 590億円(運輸収入1400億円)
- 市バス(赤バス含まず)
- 一人当たり 1170万円 職員数 1511人 人件費 177億円(運輸収入127億円)
[編集] 関連項目
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