自由主義神学
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自由主義神学(じゆうしゅぎしんがく)は、キリスト教の、主にプロテスタントの神学的立場の一つ。その発生以来、プロテスタント教会の主流派の多くが採用する立場。新神学とも呼ばれ日本にも影響を与えた。「自由主義」の語は無論、社会学・政治学用語からの仮借であり、神学分野では「歴史的・組織的な教理体系からは自由に、個人の理知的判断に従って解釈する」の意である。シュライエルマッハーと、マルティン・ルターの弟子フィリップ・メランヒトンがその「始祖」にあたるとされ、アルブレヒト・リッチュルとアドルフ・ハルナックが代表的な神学者として挙げられる。 改革派神学者メイチェンは自由主義神学をキリスト教で無いと断言した。
[編集] 自由主義神学の特徴
- 自由主義神学の立場では一般に、イエスの母マリアの処女懐胎やキリスト教信仰の中心ともいえるイエスの復活をも事実とはせず、神の存在をも肯定しない。こうなると聖書と基本信条に示される三位一体の神を信じる、保守的なあるいはファンダメンタルなキリスト教の信仰から逸脱する神学といえる。
- 科学的な見方(進化論等)を許容し、聖書に記されている処女降誕、復活を必ずしも科学的・歴史的事実とは主張せず、宗教的に有益な寓話とみなす。
- 聖書本文に対する批評的な研究・解釈を支持し、各書の成立に纏わる伝説(モーセ五書の著者はモーセ、イザヤは一人の預言者イザヤによる、など)を必ずしも採用せず、聖書無謬説、聖書無誤説、逐語霊感説を採らない。
- 古文書学の他、考古学、史学の成果も最大限活用して古代の信仰のありようを分析し、そこから現代の課題に合わせたキリスト教信仰を再構築しようとする。現代においてはカトリック教会をはじめとして、日本基督教団、ルーテル教会各教派などのプロテスタント各主流派(メインライン・プロテスタント)もこうした立場を受け入れている。そういった立場に立つ教会は日本聖書協会の新教同訳聖書が用いられている。これに対してファンダメンタリズム・福音派・ペンテコステ派などの主流からはずれた立場を取る教会では日本聖書刊行会の新改訳聖書が用いられている。
- 用語「自由主義神学」は、これら科学や聖書学の成果を謙虚に受け入れる理性と信仰を両立させている層から、宗教的に甚だしく形骸化している層までを幅広くカバーする。
[編集] 自由主義神学の歴史とその影響
自由主義神学は十九世紀から二十世紀初頭に台頭し、伝統的な宗教観に大きな変化(保守的視点からは「打撃」)をもたらした。そのため、危機感を募らせた保守派が反動としてアメリカでキリスト教原理主義(ファンダメンタリズム)を興す。少し遅れて、同様に欧州で新正統主義神学の潮流が生じた。