能面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
能面(のうめん)は、能楽に用いる仮面である。伎楽面や舞楽の仮面などの影響を受けている。
目次 |
[編集] 概要
鬼神・老人・男・女・霊の5種類に大別される。小面は若い女性を象る。その他多くの能面がある。その完成度はたかく、見るものを圧倒する迫力がある。特に鬼面の一つである般若(はんにゃ)、真蛇(しんじゃ)は有名である。役者の芸と能面作家の腕によって、一つの面から深く様々な表情を見せることができ、仮面劇としての能を今日までも支えている。
女面、少年面、青年面は一部を除いて何れも白塗りの厚化粧、引眉で、お歯黒を付けており、これらは何れも、能が成立した時代の習慣を残したものである。
なお、『翁』の面は特徴的で、他の能面と異なり、
- 眼が全てくり抜いてある
- ぼうぼう眉(綿や毛が植えてある)
- 面が口の部分で上下で切り離してあり、後ろのところで結んである(顎が動く)
古式でおおらかな面である。
能面は木(桧が多い)を彫り、彩色して製作するが、この工程を「面を打つ」という。
[編集] 能面の例
- 女性の面
- 若い女性
- 小面(こおもて)、小姫(こひめ) 可憐な娘。
- 万眉(まんび)、孫次郎(まごじろう)、若女(わかおんな) 小面より若干年上。
- 増(ぞう)、増女(ぞうおんな)、節木増(ふしきぞう) 清澄な神女。
- 中年女性
- 深井(ふかい) 理知的、都会風。
- 曲見(しゃくみ) 情感的、田舎風。
- 老女
- 姥(うば) 老女。シテが尉をつけるとき、ツレが使う事がおおい。
- 痩女(やせおんな)
- 老女(ろうじょ)
- 霊女(りょうのおんな)
- 桧垣女(ひがきおんな)
- 鬼女
- 若い女性
- 若い男の面
- 武人の面
- 平太(へいだ) 赤ら顔の壮年武将。
- 中将(ちゅうじょう) 公達。
- 老人の面
- 小尉(こじょう) 品が良く、神体を表すのにも用いられる。
- 邯鄲男(かんたんおとこ) 『邯鄲』に用いられ、神体を表すのにも用いられる。
- 皺尉(しわじょう)、石王尉(いしおうじょう)、舞尉(まいじょう) 真ノ序ノ舞を舞う後シテ。
- 悪尉(あくじょう) 強く恐そうな顔の老人。
- 『翁』の面
- 白式尉(はくしきじょう) シテ
- 黒式尉(こくしきじょう) 三番叟
- 他の男の面
- 怪士(あやかし) 『船弁慶』の後シテなど。
- 黒髭(くろひげ) 龍神である後シテ。
- 大飛出(おおとびで)、小飛出(ことびで) 眼を剥き、カッと口を開いた様。
- 大癋見(おおべしみ)、小癋見(こべしみ) 口をしっかと結んだ様。
- 獅子口(ししぐち) 『石橋』など。
- 顰(しかみ) 『紅葉狩』など。
- 痩男(やせおとこ) 恨みのこもった庶民の亡霊。
- 蛙(かわず) 水死人。
[編集] 関連項目
般若
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 日本文化関連のスタブ項目 | 伝統芸能 | 能