練香
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練香(ねりこう)とは、沈香をベースに各種香料、炭、蜜蝋などを加え、練りかためて作った小さな黒い丸薬状の香。煉香とも書き、合香ともいう。
日本には、753年に唐からやってきた鑑真和尚が、多くの漢方香料とその「合香の術」、すなわち練香の製法を伝えたとされる。 当時は「薫物」と呼ばれ、後に平安貴族、公家はこぞって自分の香りを自ら手作りした。『源氏物語』にも登場する香はこの練香のことである。
直火ではなく、間接的に暖めて香らせる。火鉢や香炉で練香を焚く場合は、炭火から少し離して練香を置く。または耳の裏や、手の先などに塗って香りを楽しむ。出来上がって半年ほど熟成させるとまろやかな香りになり、昔は甕に入れて土の中に埋めた。
[編集] 六種の薫物
六種の薫物(むくさのたきもの)とは、六種類の代表的な練香のこと。
- 黒方(くろぼう):フォーマルな処方。冬、慶事。
- 梅花(ばいか):梅の香りをイメージした処方。春。
- 荷葉(かよう):蓮の香りをイメージした処方。夏。
- 侍従(じじゅう):秋風をイメージした処方。秋。拾遺(しゅうい)とも呼ばれた。
- 菊花(きっか):菊の香りをイメージした処方。秋~冬。
- 落葉(おちば):菊花の処方の麝香や沈香を増量したもの。秋~冬。