簿記
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簿記(ぼき)とは、ある経済主体が経済取引によりもたらされる資産、負債、資本の増減を管理し、併せて一定期間内の収益及び費用を記録するための記帳方式である。また、最も一般的な簿記である複式の商業簿記を指して単に簿記と称する場合が多い。会計学よりも実務に近い部分のことを言う。
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[編集] 和訳の由来
簿記の英語表記はBook Keepingであり、簿記という概念の発祥がヨーロッパであることから、訳語として「簿記」の字を当てた。(福沢諭吉の訳とされる)ただ、訳語を「簿記」とした経緯には大きく分けて2説ある。
- booking(帳簿の意)に漢字を当てた(Book Keepingが訛った。もと「ブッキー」や「ボッキー」と言った)
- 帳簿記録または帳簿記入の略
[編集] 単式簿記と複式簿記
簿記の表記方法は、単式簿記と複式簿記の2種類がある。詳しくは各項目を参照されたい。
- 正確かつ公正に記述できる方法が確立している複式簿記は、企業会計や政府会計などに広く用いられている。簿記といえば、多くの人は複式簿記を想定する。以下、特に注釈がない場合、複式簿記を想定して論じる。
[編集] 経済活動による分類
経済主体(企業・政府など)の経済活動に応じた簿記の方法論がある。代表的なものに商業簿記と工業簿記がある。
[編集] 商業簿記
完成している商品を仕入れて販売する会社の財務状態を管理するための記帳方式。最も基本的な簿記である。ただし、どの会社にも共通する決算に関する会計処理や、固定資産の償却処理なども「商業簿記」として取り扱うことが多い。
[編集] 工業簿記
材料を仕入れ、製造し、製品を販売する会社の財務状態を管理するための記帳方式。その製品を作るために必要な経費を材料費や製造作業員の賃金、製造機器のランニングコストなどから算出する原価計算の理論を主に用いる。
[編集] その他の応用簿記
- 基本的な簿記である商業簿記に対して、それ以外の簿記のことを応用簿記と称する。
- 農業簿記:工業簿記のように原価計算を伴う。個人事業主の多い日本の農業では、家計との区別をつける意味合いも持つ。
- 林業簿記:農業簿記と同様に、第一次産業である林業における簿記。
- 漁業簿記:漁場料や餌代といった経費を特徴とする漁業における簿記。
- 建築簿記:大規模な資金と労働力、そして長期間かかる建築業のための簿記である。
- 銀行簿記:貨幣を商品とする企業と考えることができる。特徴は銀行簿記を参照。
- 官用簿記:収入は税金であり、財務状況(収支)をみるために主に使われる。
- 組合簿記:非営利団体であり、収支均衡に着眼点がある。
- 家計簿記:いわゆる家計簿。貯金以外の現金の収支を記した単式簿記が多い。
[編集] 歴史
ルカ・パチョーリ(Luca Pacioli 1445年 - 1517年)が考案。