簡易の引渡
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占有の移転は原則として現実の引渡(民法182条1項)による。よって、譲受人(直接占有者)が現にその目的物を占有している場合でも、いったん譲渡人(間接占有者)へ目的物を返却し、それから現実の引渡をするのが原則通りの処理である。しかしそれでは煩雑であるため、こうした場合には当事者の意思表示のみによって占有を移転させることが認められた(民法182条2項)。この方法を簡易の引渡(かんいのひきわたし)という。
第182条(現実の引渡し及び簡易の引渡し)
- 占有権の譲渡は、占有物の引渡しによってする。
- 譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。