第三の男
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第三の男 The Third Man |
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監督 | キャロル・リード |
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製作 | キャロル・リード デヴィッド・O・セルズニック アレクサンダー・コルダ |
脚本 | グレアム・グリーン |
出演者 | ジョゼフ・コットン オーソン・ウェルズ アリダ・ヴァリ |
音楽 | アントン・カラス |
撮影 | ロバート・クラスカー |
公開 | 1949年9月3日 1952年9月3日 |
上映時間 | 104分 |
製作国 | イギリス |
言語 | 英語 |
allcinema | |
IMDb | |
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『第三の男』(原題:The Third Man)は、1949年のイギリス映画。
監督はキャロル・リード。作家であるグレアム・グリーンの脚本による映画で、グリーンは脚本を元にした小説も書いた。
1950年のアカデミー賞では撮影賞(白黒部門)を受賞し、監督賞と編集賞にノミネートされた。
第二次世界大戦直後のオーストリアで、四ヶ国(米英仏ソ)によって四分割統治される首都ウィーンの殺伐とした世相を背景とするサスペンス映画である。光と影を効果的に用いた映像美、戦争の影を背負った人々の姿を巧みに描いた内容は高く評価されており、カットなしで撮影された墓地でのラストシーンは映画史に残る名場面として非常に有名。音楽にアントーン・カラスが演奏する民俗楽器のツィターを採用し、この味わい深いテーマ音楽も広く知られた。
オーソン・ウェルズは、グリーンの原作にないオリジナルの名台詞「スイスの同胞愛、そして500年の平和と民主主義はいったい何をもたらした? 鳩時計だよ」の使用を条件として、この作品への出演を承諾した。映画監督・脚本家でもある彼はリード監督を内心侮蔑していたという。しかしながら、鬼才セルズニックの助力を得た本作品は、映画史に残る傑作となり、皮肉なことにオーソン・ウェルズの出演した代表作ともなった。
目次 |
[編集] キャスト
- ジョゼフ・コットン - 米国小説家(主人公):ホリー・マーチンス(小説版ではロロ・マーチンス)
- オーソン・ウェルズ - マーチンスの親友:ハリー・ライム
- アリダ・ヴァリ - ハリーの恋人:アンナ
- トレヴァー・ハワード - 英国のMP:キャロウェー少佐
- バーナード・リー - キャロウェーの部下
[編集] ストーリー
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
舞台は第二次世界大戦後、オーストリアの首都ウィーンが四ヶ国(米英仏ソ)による四分割統治下にあった時代。
アメリカの大衆小説家ホリー・マーチンスは、仕事を依頼したいという親友ハリー・ライムの招きでウィーンを訪れる。ハリーを訪ねると、すでに自動車事故で死亡しており葬儀が行われていた。葬儀で知り合ったキャロウェー少佐からハリーが闇取引をしていたと告げられたが、信じられないマーチンスは事故への疑問とともに真相を明らかするため調査を始める。ハリーの恋人アンナと目撃者に話を聞くことで、現場にいた第三の男がいたことをつきとめるが……
最後のシーンは映画史に残る名高いものだが、実はこれは当初の予定にはなかった。本来ならば通俗的なハッピーエンドとなるはずであった。それが逆になったことで、深い余韻を残すようになった。
[編集] 受賞歴
[編集] 関連書
- 軍司貞則 『滅びのチター師』「第三の男」とアントン・カラス 文春文庫 文藝春秋 ISBN 4167571021