窓の杜
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窓の杜(まどのもり)は Impress Watch 社が運営する Microsoft Windows 用のオンラインソフトウェアを紹介するウェブサイトのことである。
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[編集] 概要
オンラインソフトウェア紹介の他、様々な特集が組まれている。競合するベクター社が運営する同様のサイト Vector との違いはソフトの数を少数に絞り込み、詳しく解説している点である。そのため初心者にとって外れが少なく、また定番ソフトにすぐたどりつけるため上級者にも重宝されている。毎年エイプリルフール企画として窓の社(─やしろ)を更新しており、こちらも人気を博している。
[編集] 名前の由来
「窓」は Microsoft Windows の Windows を日本語に直訳したもの。「杜」は良質のオンラインソフトが集まることを「森」に見立てられたことから。「森」ではなく「杜」の字が充てられたことについてはひぐちたかし氏が前身となるサイト秋保窓(あきうまど)を立ち上げた当時宮城県仙台市に住んでおり、その仙台の雅称「杜の都(もりのみやこ)」に由来する。なお「杜」は森と同義である。
[編集] 歴史
- 1994年 ひぐちたかし氏個人が、東北大学内のサーバで前身となる秋保窓を開設する。これは当時使用していたサーバの名前が「 Akiu 」であったことに由来する(秋保は仙台市太白区にある秋保温泉より)。開設された当時、まだ Google どころか Yahoo! もなく Windows 95 さえもなかった時代に密かな人気となった。またこの史実により、日本最古のオンラインソフト紹介サイトであるとされている。
- 1996年5月 学外からの秋保窓の利用が多くなるにつれ、回線速度の面で本来の目的である学術利用に支障を来たすようになった。また日本経済新聞社とのアフィリエイト関係が築かれたこともあり、国立大学の関係者としてあるまじき行為としても問題視された。そのため一旦閉鎖に追い込まれる。以降その代替として DTI などの商用サーバへ移転したもののあまりにもアクセス数が多く耐え切れない状態が続いた。
- 1996年10月14日 インプレス社(当時)の協力の下でサイトを移転し、窓の杜と改名した。これによって同サイトはひぐちたかし氏個人名義ではなくインプレス社(当時)名義となった。なお公式で窓の杜の誕生日はこの日とされている。
- 1996年10月15日 窓の杜の正式運用が始まる。
- 1998年2月2日 フレームによるものではあるが、サイトのレイアウトが現在のレイアウトにかなり近い物へ変更される。このレイアウト思想は以降長年継承されることとなる。
- 1998年6月2日 経営危機から大幅に運営方針を転換。
- 2000年4月1日 初めてのエイプリルフール企画として「窓の杜韓国語版」「同中国語版」が掲載される。
- 2000年11月14日 姉妹サイトとして Macintosh 用のソフトウェアを紹介する林檎の杜が開設される(しかし不調に終わり、また提携していた MAC LIFE 誌の休刊もあったため、翌々年2002年3月29日に閉鎖された)。
- 2001年3月14日 バナー画像が窓を意識したものから杜を意識したものへと変更される。
- 2001年4月1日 エイプリルフール企画として女性向けオンラインソフト情報サイト「窓の杜elle」が掲載される。
- 2001年12月17日 ひぐちたかし氏が自身の担当コーナーを終了、編集部から一線を退く。
- 2002年4月1日 エイプリルフール企画、オンラインソフト捏造サイト「窓の社(─やしろ)」が初めて掲載される。評判が良かったためか以降毎年定期的に掲載されることとなる。
- 2002年10月1日 レイアウトの変更(特に過去のアップデート情報)およびサイドメニューの動的化がなされる。
- 2004年4月2日 リニューアル準備のため、一時記事の更新が中止となる。
- 2004年4月12日 レイアウトやデザイン周りの変更がなされる。
- 2005年10月3日 旧インプレス社が事業分割されたことに伴い、 Impress Watch 社名義となる。
- 2005年12月7日 Yahoo! JAPAN 主催の Web of the Year で10回連続【コンピュータ部門】一位を獲得するという快挙を成し遂げる。
[編集] 確執
役立つ情報が多数提供され評価が高い反面、関係者をはじめソフトウェア作家や利用者からの批判やトラブルそして仲違いも多い。
- 歴史的な経緯から東北大学では出身者のインプレスおよび関連会社への就職がかなり敬遠されているようである。
- 窓の杜大賞の偏向票問題。初回の1996年、編集部側の票がユーザ側の票よりも遥かに大きく重み付けされており、これにより結果がかなり左右されたと見られる。投票したユーザの多くから中立性に欠くとして非難された。この後の年も偏った結果が頻繁に見られており得票のやり方が疑問視されている。またこの件に関してはスポンサーのマイクロソフトにかなり圧力を受けたのではないかとの疑念を抱く人は多い。
- ボツの杜問題。1997年頃、「ボツの杜」というコーナーがあった。掲載するに至らなかったソフトウェアを「ボツソフト」として紹介するコーナーだったが、高飛車かつ見下したような表現にてソフトウェア作家を逆撫でした内容であり、ついには今後窓の杜への掲載を一切禁止すると公言するソフトウェア作家まで現れた。この事態を重く見たためか「若葉の杜」へと名称が変更され内容が緩やかにはなったものの、依然として批判は収まらず最終的には企画そのものを廃止した。コンテンツは完全に削除され現存していない。またこのことが原因で秋保窓から利用し続けたきたユーザの多くの信頼を失ってしまったと言われている。
- 過剰労働問題。かつて23時や翌0時の更新が当たり前のように行われていた。また、スタッフ募集の記事が長期にわたって掲載されていることから過労による退職者があとを経たず、就職活動者もそれを察して応募しなくなったのではないかとの見解が多い。しかし現在は19時や20時前後で収まっており問題は収束している模様である。
- Mozilla Firefox の「拡張機能」名称問題。とある特集記事の中で「拡張機能」を「プラグイン」という名称に変更して紹介した。初心者でも分かりやすくというのが言い分であったようであるが、余計混乱するとして Firefox ユーザの多くがこれを非難した。しかしそのような状況下でも窓の杜側ではその名称を貫き続けた。批判側の熱意が通じてかようやく特集の最終回で方針を改めることとなり、この問題は決着したようである。