秦野弁
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秦野弁(はたのべん)は主に神奈川県秦野市やその近隣で話されている方言である。語彙の面では地理的に近い静岡県(駿東)との類似性も大きい。
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[編集] 主な特徴
秦野弁の最大の特徴は、母音の「アイ」が「エ」と変化したりするいわゆる母音融合が激しいことである。例えば舞台のことを「ブテェ」とか、「期待する」を「キテェする」と発音する。若者の間ではあまり聞かれなくなったが、高齢者の間では今でも普通に話されている。これらはやはり江戸弁の影響が大きいと思われる。
[編集] アクセント
勿論東京式アクセントだが、共通語ではアクセントを置くもので、秦野弁では平板型に変化する物が若干ある。(じゅぎょう「授業」、としょかん「図書館」、おきゃくさま「お客様」、ぎょうしゃ「業者」、せいと「生徒」)など。
[編集] 他の西関東方言と共通する言い回し
- ~だあよ
- ~だよ
- ~だべぇ、だんべぇ
- ~だろう/~でしょう
- やるべやぁ
- やろうよ
- ~だからよぉ
- ~だから
- ~けぇ
- ~か
- ~だけんど
- ~だけど
- ~してけんろ/くんろ
- ~してください
[編集] 秦野弁やその周辺独特の言い回し
- ~え、~だえ
- ~だろう/~でしょう 基本的に~だべぇと同じ意味である。地元ではこれとべぇを合わせて使用する。
- ~じゃん、~じゃんかぁ
- ~じゃないか 静岡県から入ってきた言葉である。近年では共通語として定着している。
[編集] 語彙
[編集] 他の西関東方言とほぼ共通するもの
- あさっぱら
- 【名】早朝。
- あんべぇ
- 【形】ちょうどいい。
- うっちゃる
- 【動】捨てる。
- うねう
- 【動】耕す。
- うんねっかる
- 【動】寄りかかる。
- おっぺがす
- 【動】はがす。
- おっぺす
- 【動】押す。
- かったりぃ
- 【形】面倒。
- かっぺらう
- 【動】盗み取る。
- かどっこ
- 【名】角。
- かんます
- 【動】かきまわす。
- きける
- 【動】載せる。
- くっちゃべる
- 【動】しゃべる。
- けっさらう
- 【動】蹴り飛ばす。
- しゃっこい
- 【形】冷たい。
- すみっこ
- 【名】(部屋などの)隅。
- すばしっけえ
- 【形】動きが機敏。
- のうのうさん
- 【名】仏様。
- ぼこす
- 【動】ひどい目に合わす。
- ぼっこす
- 【動】ぶっ壊す。
- ゆんべ
- 【名】昨夜。
- よこっちょ
- 【名】横。
- よこはいり
- 【動】割り込む。
[編集] 秦野弁独特のもの
- あかす
- 【動】教える。
- あいこ
- 【名】共同。
- あけすけ
- 【名】あからさま。
- あしなか
- 【名】草履。
- いぼじり
- 【名】カマキリ。
- おつかく
- 【形】平等、同様。
- おらんが
- 【名】俺の家。
- がちゃがちゃ
- 【名】カブトムシ。
- ズロース
- 【名】パンツ。
- たこる
- 【動】さぼる。
- とっぽい
- 【形】かっこいい。
- ばくる
- 【形動】壊れる。