社会科学部
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社会科学部(しゃかいかがくぶ)は、大学教育において社会科学系全般を網羅し学ぶ学部。
英名のSchool of Social Sciencesは、社会学Sociologyではなく、学際的な性格を持った学問としての「社会科学」を強調している。
日本の現状
日本国外には同名学部が多くの大学で設置されている。日本国内では、過去に杏林大学と東洋英和女学院大学が設置していたが社会科学以外の学問分野も網羅した形での研究・教育を進めるために学部の名称を変更しており、現在では早稲田大学のみとなっている。ただし、一橋大学の社会学部はカリキュラムや教育内容などがいわゆる「社会学」だけではない。そのため、受験参考書などでは社会科学部として扱うケースもある。その場合には一橋大学にも設置されていることになる。
日本国内にも同様の趣旨で設置された学部は多く存在しているが、社会科学部という名称を使うことはない。
その理由については、まず、社会科学部という学部の名称が「社会科学」となっているため、学問の分類である「社会科学」を想起させ、同じく学問の分類である狭義の人文科学(詳細は学問を参照)を網羅していないように見えてしまうことが挙げられる。実際には日本国外の社会科学部で人文科学を扱わないという事例はない。しかし、人文科学を網羅していないように見えるということから、早稲田大学以外では社会科学部という名称を使用せず別の名称を学部名に使用している。さらに学問の専門化・細分化の進化をよしとする表向きの考えと、社会科学部を構成している教授会メンバーの専門分野が多彩であることが災いして、教授会決定に至るまでの時間等のコストが大きくなるものとなることがあげられる。これはデメリットである。
しかし、社会科学部は政治学、経済学、法学、社会学を網羅的に学べる自由度の高いシステムを提供しているため、学生にとっては選択の幅が与えられ、4年間のうちにじっくりと腰を据えて専門分野を専攻できる構えを持つことが許される。これはメリットである。
また、日本では日本国外で社会科学部と呼んでいる学部を社会学部という名称で開設しているケースが多いことも挙げられる。本来、社会学部は「社会学」という一学問分野を扱うのに対して、社会科学部は社会科学系全体を扱う点で大きく異なる。しかし、社会学部の設置されている大学の紀要やシラバスを確認すると社会学の比重が薄く、社会科学全般を開講しているケースが多く見受けられる。そのため、受験参考書では社会科学部を「社会科学系学部」に含めている事例や社会学部と同一のものとして取り上げている事例がある。