特殊慰安施設協会
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特殊慰安施設協会 (とくしゅいあんしせつきょうかい, RAA: Recreation and Amusement Association) は、第二次大戦後、日本に作られた進駐軍(正確には占領軍)兵士向けの慰安所である。 内務省が「外国軍駐屯地における慰安施設に関する内務省警保局長通牒」を各県に発令し、これを端緒として、占領軍対策の一環として設立された。
発想としては戦時中の慰安婦施設と同様のものだが、慰安婦のように女衒を通さず、「性の防波堤」というスローガンの公募に応じてきた一般女性たちが集められた。 当初は水商売の者を雇う予定であったが思うように集まらず、「新日本女性求む、宿舎、衣服、食料すべて支給」などの文言をもって銀座などに広告板を設置し、また新聞広告で一般女性を募った。 内容の詳細は広告に記載されておらず、これを見てやってきた女性の多くは水商売の経験のないもので、大半は仕事の中味を聞いて去っていった。しかし茫然自失の状態に追い込まれた戦争未亡人や子女が多かった時代背景もあり、最終的には短期間で1,300人あまりの女性が協会に登録した。
1946年にエリナ・ルーズベルトの反対と性病の蔓延を理由として廃止されたが、女性たちには何の補償もなく、多くは水商売等に進んだと見られている。
慰安施設にいた女性達は「アメパン」(アメリカ相手のパンパン(売春婦))と呼ばれた。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- ドウス昌代 『マッカーサーの二つの帽子』 ISBN 4061835734
- 『敗者の贈物―特殊慰安施設RAAをめぐる占領史の側面』 (ISBN 4062631350) 改題
- 山田盟子 『占領軍慰安婦―国策売春の女たちの悲劇』 ISBN 476980623X
- 川元祥一 『開港慰安婦と被差別部落―戦後RAA慰安婦への軌跡』 ISBN 4380972682
- 半村良 『昭和悪女伝』 (実録小説) ISBN 4087740935 ISBN 408748677X
- 水野浩編 『日本の貞操―外国兵に犯された女性たちの手記』 蒼樹社、1953。
- 五島勉編 『黒い春―米軍・パンパン・女たちの戦後』 倒語社、1985。
- 『続・日本の貞操―外国兵に犯された女性たちの手記』 (蒼樹社、1956) の改題再刊。後の著作の反欧米感情の原点。
洋書の多くは、戦時中の慰安婦に関するものの中で言及。
- Yoshimi, Yoshiaki(吉見義明) Comfort Women: Sexual Slavery in the Japanese Military During World War II, Columbia University Press, 2001. ISBN 023112032X
- Michael S. Molasky American Occupation of Japan and Okinawa, Routledge, 1999. ISBN 0415191947 ISBN 0415260442
- Tanaka, Yuki(田中由紀) Japan's Comfort Women: Sexual Slavery and Prostitution During World War II and the US Occupation, London, Routledge: 2002. ISBN 0415194016.