水溶液
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水溶液(すいようえき、aqueous solution)とは、物質が水(H2O)に溶解した液体のこと。すなわち、溶媒が水である溶液。水分子は極性分子なので、水溶液の溶質となる物質はイオン結晶もしくは極性分子性物質となる。
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[編集] 溶解の仕組み
水への溶解は、溶質同士の結合よりも溶質と水分子との相互作用(水和)のほうが強い場合に起こる。溶質が水中に入ると水分子の衝突を受けて溶質同士の結合がはずされるが、このときに水分子との相互作用が溶質同士の結合よりも弱ければ、すぐに溶質同士が再び結合してしまうので溶解は起きない。逆に水分子との相互作用が溶質同士の結合よりも強ければ、水分子が溶質をとらえて溶解が起こる。
[編集] イオン結晶の溶解
イオン結晶はイオン結合によって陽イオンと陰イオンが固く結び付けられているが、水中に入ると水分子の衝突を受けてこの結合が崩され、個々の陽イオンと陰イオンに解離する。水分子(H2O)のうち酸素原子は負に、水素原子は正に電荷が偏っているのでイオン結晶の分割された陽イオンは水分子の酸素原子に、陰イオンは水素原子に引き付けられ水中に遊離する。これにより溶解が起こる。
[編集] 極性分子結晶の溶解
分子結晶は分子間力によってそれぞれの分子が結び付けられているが、水中に入ると水分子の衝突を受けて分子間の結合がはずされ、分子同士が解離する。このときこの分子に極性があると、正に電荷が偏った部分が水分子の酸素原子に、負に電荷が偏った部分が水素原子に引き付けられ水中に遊離する。
[編集] 酸の溶解
酸は分子性物質であるが、極性が極端に大きいため水中では個々の分子に解離するだけでなく、そこからさらに水素イオン(ヒドロン, H+)と陰イオンに解離するものも存在する。このとき陰イオンは水分子の水素原子に引き付けられ水中に遊離するが、水素イオンは水分子と配位結合してオキソニウムイオン(H3O)となる。
[編集] 分子性塩基の溶解
アミンのような分子性塩基の溶解では、水分子が水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH-)に電離し、その水素イオンが分子性塩基と配位結合した陽イオンができる。