民衆を導く自由の女神
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民衆を導く自由の女神(みんしゅうをみちびくじゆうのめがみ、原題 La Liberté guidant le peuple, 259×325cm, キャンバス、油絵、ルーヴル美術館収蔵)は、ウジェーヌ・ドラクロワによって描かれた絵画。フランス7月革命を主題とする。日本語では民衆を導く自由の女神と題されることが多いが、原題はLa Liberté guidant le peupleであり、日本語に直訳すると「民衆を導く自由」である。このためこの絵画を「民衆を導く自由」として紹介する文献も存在する。
絵の中心に描かれている民衆を導く果敢な女性は、フランスのシンボルである、マリアンヌの代表的な例の1つである。原題のLa Liberté guidant le peupleから分かるように、ドラクロワはこの絵を様々な理念を比喩(アレゴリー)で表現している。女性は自由を、乳房は母性すなわち祖国を、という具合に。一方で彼女がかぶるフリギア帽は、フランス革命の間に自由を象徴するようになった。女神の隣に立つ、マスケット銃を手にしたシルクハットの男性はドラクロワ自身であると説明される事が多い。あまりにも政治的で、扇動的であるという理由から、1848年革命まで恒常的な展示は行われなかったという歴史を持つ。
絵画としてのスタイル、フランス7月革命というテーマから、絵画におけるロマン主義の代表作と言える。
1999年に「日本におけるフランス年」の文化財海外交流展の一環として、この絵画がルーブルから東京国立博物館に1ヶ月間貸し出された。この際に日本からフランスに貸し出されたのが法隆寺の百済観音像である。