横滑り防止機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
横滑り防止機構(よこすべりぼうしきこう)とは、自動車の旋回時における姿勢を安定させる装置の一種。
[編集] 概要
制動時に車輪のロックを防ぐABS、加速時の車輪空転を防ぐトラクションコントロールシステム(TCS)を統合制御する事で、旋回時におけるアンダーステア/オーバーステアを防止する制御が可能となるシステムを総称してこのように呼ぶ。
技術的な進化の過程としては、制動・加速時のロックを防ぐABSとTCS(通常この2つはセットで併用される)が、より精密な制御と作動時の車両の安定を狙って各輪独立制御(EBDなどと呼ばれる)付きABSとなり、これに舵角センサ(ステアリングの切れ角を測るセンサ)が組み合わされて、ステアリング切れ角に合わせて旋回時にも車両を安定させる統合制御が可能になったと考えるとわかりやすい。
さらに近年は、この舵角センサと電動パワーステアリング(EPS)の操舵トルクアシストとの統合制御に発展している。 こちらのシステムは2003年のトヨタ・プリウスに「S-VSC」として搭載された。
自動車メーカーや製造している部品メーカーにより呼び名が異なるが、基本構造は変わらない。例として、以下のような呼び名がある。
- ESC (Electronic Stability Controlの略、アドヴィックス・コンチネンタルテーベス・ボッシュ(日本)の3社が共同で、日本でのシステムの普及のため、商標ではなく一般名称として使用)
- VSC(Vehicle Stability Control・・・トヨタ→主にアドヴィックス製)
- VSA(Vehicle Stability Assist・・・ホンダ→主に日信工業製)
- VDC(Vehicle Dynamics Control・・・日産)
- DSC(Dynamic Stability Control・・・マツダ)
- ESP(Electronic Stability Programの略、ダイムラークライスラー社や独ボッシュ社が使用)
なお同機構を装着した車輌は、保険会社により任意自動車保険割引を受けられる場合がある。