植皮
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植皮(しょくひ)は、ドナー部位、またはドナーの皮膚を採皮し創傷などへ貼付縫合する事。植皮術。皮膚移植。
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[編集] 概要
植皮の生着のためには、移植片と移植床との間の血管網の再編成が必要である。
移植後1~2日目で移植床の創面より漏出した血漿により栄養、湿潤状態を保持し、3~4日目で移植片、移植床内に既にあった血管同士が直接吻合し、5~8日目に血行が再開することで生着は完了する。
皮膚は患者自身から採ったものでなければ生着しない。しかし患者のドナー部位面積が極端に狭くしかも植皮を速やかに行わなければならないなどの場合、スキンバンクのものや家族のものを採皮し植皮する方法が採られている。
普通、他人の皮膚は1週間~10日間植皮部を覆ったのち、剥がれ落ちる。
また植皮をするか否かはケースバイケースである。
ふつう、広範囲熱傷、重度熱傷や深い創傷にこの手技がもちいられる。
[編集] 植皮の種類
一般的に薄く採ると生着もよくドナー部位の治りも早いが、外力に弱く拘縮しやすい。また、色素沈着を起こしやすい。
厚く採ると生着も悪くドナー部位も目立つ傷跡を残すが、外力に強く関節部に適している。
- 皮下組織遊離植皮
皮下組織ごと植皮する方法。皮弁植皮、遊離植皮とも。
- 分層植皮
皮膚の層を分割して採り植皮する方法。
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- 分層メッシュ植皮
植皮する際皮膚をメッシュ状に引き伸ばし面積を稼ぐ方法。
植皮された皮膚は種のように周りの受傷部位の治癒を促進させる。
当然傷跡はメッシュ状になる。
[編集] 皮膚をどうやってメッシュ状に?
- 採皮した皮膚を、一定間隔で斜めに切り込みを入れた長方形の鉄板の上にのせる。
- CDを一定間隔で並べたような刃を持つドラムで、皮膚の上を転がす
- 鉄板の穴が開いていない部分だけ皮膚に切り込みが入る。これで皮膚に一定間隔の切込みが入る。
- これを引き伸ばすとメッシュ皮膚の出来上がり。
[編集] 他家移植
同種移植ともいう。広範囲にわたる熱傷のため植皮したいが採皮部が足りない。デブリードマンしたままでは感染などが懸念されるのでスキンバンク(凍結同種皮膚移植)、家族の皮膚(新鮮同種皮膚移植)で植皮しその場しのぎをする。
この間患者自身の皮膚を組織培養する。→NIH3T3、再生医学
約10日間で先ほど植皮した皮膚は剥がれ落ちる。このときになると患者自身の皮膚は培養が進み植皮に用いられる程度の面積を有す。