果てしなく青い、この空の下で…。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
果てしなく青い、この空の下で…。 | |
---|---|
プラットフォーム | Windows95/98 プレイステーション |
発売元 | TOPCAT(PC) KID(PS2) |
発売日 | 2000年6月30日(PC) 2002年2月21日(PS) |
ジャンル | 恋愛アドベンチャー |
レイティング | 18禁 |
名前変更 | 可 |
エンディング数 | 10 |
セーブファイル数 | 90 |
画面サイズ | 800*600・65536色 |
BGM再生方式 | CD-DA、WAV |
キャラクターボイス | なし(PC) 主人公以外(PS2) |
CGモード | あり |
音楽モード | なし |
回想モード | なし |
メッセージスキップ | あり |
オートモード | あり |
備考 | 旧版は廃盤 |
『果てしなく青い、この空の下で…。』(はてしなくあおい、このそらのしたで)は、2000年 6月30日にTOPCATより発売されたWindows用18禁恋愛アドベンチャーゲーム(ノベル+AVG)。略称は青空。
2002年2月21日にプレイステーション移植版『どこまでも青く…』がKIDから発売された。
さらに2003年 5月10日にはPC版に主題歌を含む4曲入りおまけCDを同梱した『果てしなく青い、この空の下で…メモリアル版』が発売された。
また、ムービックから発売された小説版は、本編の数ヵ月後を舞台とした続編となっている。
目次 |
[編集] 歴史
- 2000年6月30日 PC版『果てしなく青い、この空の下で…。』発売
- 2000年10月31日 小説版『果てしなく青い、この空の下で…。』発売
- 2000年11月 『公式ビジュアルブック Best perfect guide』発売
- 2001年5月31日 小説版『果てしなく青い、この空の下で…。(2)』発売
- 2001年6月29日『果てしなく青い、この空の下で…。オリジナルサウンドトラック』発売
- 2001年10月6日 ドラマCD『果てしなく青い、この空の下で…第1巻』発売
- 2001年11月23日 ドラマCD『果てしなく青い、この空の下で…第2巻』発売
- 2002年2月1日 小説版『果てしなく青い、この空の下で…。(3)』発売
- 2002年2月21日 PS版『どこまでも青く…』発売
- 2003年5月10日『果てしなく青い、この空の下で…メモリアル版』発売
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
生徒数わずか6人という安曇学園に通う戒田正士は、始業式の日に突然、1年後に母校が廃校になることを伝えられる。時の流れとともに変わることを余儀なくされた学園、安曇村、そして生徒たち……。皆は残された学園生活の中でそれぞれ想いを深めようとする。 そんな中、正士は村の開発に便乗して金儲けをしようとする元代議士・堂島の悪巧みに巻き込まれる。正士の周りの状況は次第に変化し、その中には古より安曇村に伝わるヤマノカミの姿が見え隠れしていた。
[編集] 登場キャラクター
※キャストはドラマCD、PS版のものを記載。
- 戒田正士(かいだ まさし CV:松野太紀)
- 本作の主人公。お人好しで優柔不断の気がある。特別な才能や技術があるわけではないが、時折、思わぬ行動力を示すこともある。父親は小説家で資料集めのために家を開けることが多く、母親も東京で仕事をしているため家では一人になることが多い。血としては外からやって来た存在であることから、実は安曇村の古い因縁を断ち切る役割を担っている。彼の行動は知らず知らずのうちに村の因習を破壊する事につながっている。
- 芳野雨音(よしの あまね CV:川上とも子)
- 本作のヒロインの一人。おとなしい性格で、思っていることをあまりはっきりと口にしないが、頭の回転は良いらしい。一方で頑固な面もあり、問題が起きても他人の力を借りず自力での解決を試みる。数年前に両親が夜逃げし、現在は自分で生活費を稼ぎながら一人暮らしをしている。家計の都合から村一番の金持ちにして悪名高い堂島の屋敷にメイドとして働きに行くことになる。自分の名前が嫌いで、一人称は姓。現代文明に適応できないふしがあり、テレビのリモコンが操作できなかったりする。言動の割に、学校では理数系の科目が得意。実は目が悪い。
- 穂村悠夏(ほむら ゆうか CV:菊池志穂)
- 安曇村にある穂村神社の一人娘で巫女。幼なじみの正士に好意を寄せている。明るく活発な性格で、雨音とは対象的にはっきりと物を言うタイプ。学園最後の一年に楽しい思い出を作ろうと計画を練る。都会的なものに無闇に憧れており、村には存在しない「会社」などに心を引き寄せられるらしい。劇中で披露される事はないが、歌が上手い。少女漫画好きで、地域のハンデに負けず雑誌は欠かさず読んでいるらしい。
- 松倉藍(まつくら あい CV:前田愛)
- 松倉商店という雑貨屋の娘で、明日菜とは双子の姉妹。明るく活発で甘えん坊。無類の猫好きで、常にネコグッズを身に付けている。自分たちを放ったらかしにして出稼ぎにいく両親に不満を抱いているようだが、両親は藍のことを持て余しているだけである。本当は猫のように生活力があり、何処ででも生きていく能力がある。暗記能力が高いが、暗算が非常に苦手。
- 松倉明日菜(まつくら あすな CV:西口有香)
- 藍の双子の姉妹。藍とは逆に従順でおとなしいタイプ。趣味は読書で常に本を持ち歩いている。何故かいつも文乃に付いて回っている。実はストレスを溜め込むタイプで、思わぬところで爆発させる。同人活動を行っており、将来的には物書きになるのが夢らしい。人気投票でクラゲ(劇中で悠夏の股間を刺した)に負けるなど、ファンの間では扱いが不遇である。
- 八車文乃(やぐるま ふみの CV:清水香里)
- 物語開始の1年前に安曇学園に転校してきた少女。シュールレアリズム派の画家を父親に持つ。安曇村を考古学的・民俗学的に調べており、謎が多く不思議な言動で正士を翻弄する。周りと打ち解けようとしないが、何故か明日菜とだけは一緒にいることが多い。ピッキングからパソコンの扱いまで何でもそつなくこなす完璧超人で、学校では美術や料理などに天才的才能を発揮する。正士の母親と顔や性格がそっくりであり、ノベライズ版ではファンサービス的な設定が加えられた。
- 瀬能英里子(せの えりこCV:金月真美 (ドラマCD)/井上喜久子(PS2))
- 安曇学園唯一の教師。かつては夫が校長を務めていたが、夫の他界後は彼女一人で学園の運営を担っている。安曇学園が廃校を迎えようとする中、それを取り消しにするために出来ることはなんでもするという立場を取る。
- 堂島薫(どうじま かおる CV:佐藤正治)
- 元代議士の男。スキャンダルから逃げて安曇村に引き篭もっているらしい。金持ちでヤクザを従えていて、他人を虐げることと、金儲けのことしか頭にない。安曇村の事実上の支配者であり、彼の行動が安曇村に暗雲を呼び込むことになる。ゲーム中では悪の限りを尽くすが、見えない苦労も多く、また英里子との約束を律儀に守るなど、普段の情けなさも手伝って一部では意外に人気がある。
- 八車斉臥(やぐるま さいが CV:平野正人)
- 文乃の父親。かつては売れない風景画家であったが、「もだえる女」の発表後、シュールレアリスム派の画家として名声を得た。堂島は金のためだけに斉臥のパトロンをかって出たが、解っていてあえて利用しているようなふしもある。妻を亡くしており、文乃を全寮制の学校に入学させるなど、自分から遠ざけていた。
- 戒田宗介(かいだ そうすけ CV:田中秀幸)
- 正士の父親。日本古来の伝承や文化をネタにする小説家で、ヤマノカミについての本を書くために色々と調査をしている。堂島の強引な政治活動に対抗するべく東京のマスコミを利用したり、物語の背後で暗躍している。堂島を贋の拳銃で脅したり、雨音にメイド服をリクエストしたり、文乃と本気で議論したりと子供っぽい。
- 穂村辻夫(ほむら つじお CV:堀之紀)
- 悠夏の父親。穂村神社の神主にして村で唯一の医者でもある。堂島に激しい嫌がらせをされている。
- 堀田武人(ほった たけひと CV:稲田徹)
- 堂島の護衛を勤める強面の男。部下からの信頼が厚く、誰もが堀田がこんなところに居ることはおかしいと思っているが、実は重大な目的があって堂島に近付いている。妻と子を失っており、正士を見ると亡き息子を思い出すらしく、劇中でも彼をかばう場面が散見される。自分では気づいていなかったが、将棋が強い。
[編集] 見所
昭和50年代を舞台にしたゲームで、舞台は実在の安曇村よりも更に未開の地である。 時代設定はゲーム中で提示される情報を総合すると、昭和50年代半ば~昭和60年前後と推察できるが、PS限定版ドラマCDでは昭和30年代ということになっている。
「ジブリでエッチ」というキーワードを売り文句にしている(スタッフ談)だけあって、オープニングの画像や音楽からしてジブリっぽさが漂っている。
かといって、ゲームもジブリ作品のようにほのぼのムードかというと、そうでもない。因習に縛られた村、利権を得て村を開発しようとする悪人たちの存在、ときにはホラー的ともいえる人知を超えた魔物たちの存在などが相互に絡み合っており、ストーリーの全体に陰鬱な雰囲気を醸し出している。そしてこの陰鬱さが、本作品を単なるジブリ作品のパロディで終わらせない最大の要素となっている。攻略対象となる少女5人にはそれぞれに隠された謎があり、ゲーム終盤のカタストロフィに向けて、徐々に彼女たちの素性が明らかになっていく。主人公は事態をよく飲み込めていないままに、少女たちに引っ張られる形で村全体を巻き込む事件に巻き込まれていく。「日常から非日常へ」の流れと、プレイヤーをストーリーに引き込むテキストは絶妙である。選択を誤るとヒロインが死んでしまうシナリオがあることは賛否両論だが、本作を単なるエロゲー・ギャルゲーで終わらせないためのスパイスとして有効であるという評価が大勢である。
また、登場する少女達はいたずらに「萌え」に走らないデザインとなっており、クラシックな制服姿が何とも言えない郷愁を誘う。特にヒロインの雨音とミステリアスなもう一人のヒロインの文乃は人気が高い。彼女らは疎遠でいたり選択を誤ったりすると悲惨な目に遭う設定となっているが、キャラに対する愛着を持たせるためのひとつの小道具となっており、このあたりは現代を舞台としたギャルゲー(仲良くならなくても攻略対象のキャラが死亡するわけではない)では出せない味であろう。
また、音楽の使いどころも工夫されており、ノスタルジックなグラフィックとともに昭和の山村の静謐な空気を演出している。
本作は地味ではあるが細部まで丁寧に作りこまれており、ギャルゲーとしては傑作の部類に入る。 PS版は、セーブ&ロードにかかる時間の長さが不評だったが、エロ要素を削除されてもストーリーの主軸は完全再現されている。現在はWindowsXPに対応するメモリアル版が発売されている。
[編集] スタッフ
- シナリオ:鷹取兵馬
- 原画:たかみち
- 音楽:SYUN
- ED: nikoensis - 追想
- 作曲:SYUN/歌: KIYO
- ED: nikoensis - 追想