敬礼
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敬礼(けいれい)とは、相手に敬意を表し、礼をすること。日常の動作ではお辞儀などが含まれる。一般的には、組織の下位の者が上位の者に対して行う動作を指す。
もっとも丁寧なものを最敬礼という。また神や僧を敬い拝む意味の敬礼(きょうらい)もある。本記事では特記のない限り、主に日本で行われている礼式について記述する。
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[編集] 一般礼式
古くは跪礼なども行われる。一般的には握手や上体又は頭を下げる敬礼を行う。
東洋においては上体を傾ける敬礼が行われることが多く、西洋では握手が広く行われる。「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」のラストで、アナキンとオビ=ワン・ケノービがアミダラ女王に礼をするシーンがあるが、非常にぎこちなく頭を下げている事からもこれが伺える。
[編集] 神道礼式
神道においては、一般に2礼2拍手1礼が行われる。但し、出雲大社などでは別の方式もある。詳しくは神道#参拝の方法を参照。
[編集] 軍隊礼式
[編集] 自衛隊礼式
自衛隊の礼式に関する訓令(昭和39年5月8日防衛庁訓令第14号)に基づき、以下の礼式が定められている。
受礼者 | 各個の敬礼 (着帽時) |
各個の敬礼 (脱帽時) |
隊の敬礼 | 警衛隊敬礼 | 歩哨等の敬礼 |
---|---|---|---|---|---|
天皇 | 捧げ銃の敬礼 又は 挙手の敬礼 |
45度の敬礼 | 着剣捧げ銃の敬礼、 挙手の敬礼 又は 45度の敬礼 |
着剣捧げ銃の敬礼 | 停止して、捧げ銃の敬礼 又は 挙手の敬礼 |
国歌(君が代) | 姿勢を正す敬礼 | 姿勢を正す敬礼 | 姿勢を正す敬礼 | 捧げ銃の敬礼 | 停止して、捧げ銃の敬礼 又は 挙手の敬礼 |
国旗等 | 天皇に同じ | 天皇に同じ | 捧げ銃の敬礼 (儀式に際し、国旗に対しては着剣捧げ銃の敬礼)、 挙手の敬礼 又は 姿勢を正す敬礼 |
捧げ銃の敬礼 (儀式に際しては 着剣捧げ銃の敬礼) |
停止して、捧げ銃の敬礼 又は 挙手の敬礼 |
隊員のひつぎ | 天皇に同じ | 天皇に同じ | 捧げ銃の敬礼 (儀式等に際しては着剣捧げ銃の敬礼)、 挙手の敬礼 又は 45度の敬礼 |
捧げ銃の敬礼 (儀式に際しては 着剣捧げ銃の敬礼) |
停止して、捧げ銃の敬礼 又は 挙手の敬礼 |
皇后、皇太子等 | 銃礼 又は 挙手の敬礼 |
10度の敬礼 | 捧げ銃 (特別儀仗隊にあっては着剣捧げ銃) の敬礼、 頭右(左、中)の敬礼 又は 指揮者のみの敬礼 |
捧げ銃の敬礼 | 停止して、捧げ銃の敬礼 又は 挙手の敬礼 |
皇后、皇太子以外の皇族 | 銃礼 又は 挙手の敬礼 |
10度の敬礼 | 頭右(左、中)の敬礼 又は 指揮者のみの敬礼 |
捧げ銃の敬礼 | 停止して、捧げ銃の敬礼 又は 挙手の敬礼 |
内閣総理大臣・ 防衛庁長官・ 防衛庁副長官・ 幕僚長・一佐相当の その隊の指揮系統上の 部隊等の長等 |
銃礼 又は 挙手の敬礼 |
10度の敬礼 | 頭右(左、中)の敬礼、 指揮者のみの敬礼 又は 号令により隊列 又は 隊員の姿勢を正した後に 指揮者のみの敬礼 |
捧げ銃の敬礼 | 停止して、捧げ銃の敬礼 又は 挙手の敬礼 |
その他のもの | 銃礼 又は 挙手の敬礼 |
10度の敬礼 | 号令により隊列 又は隊員の姿勢を正したのち、 指揮者のみの敬礼 |
警衛司令より上位者である幹部自衛官及び准尉が 警衛所の所在する営門を 出入する場合は 警衛司令のみの敬礼 |
銃礼 又は 挙手の敬礼 |
- 着剣捧げ銃の敬礼
- 着剣した小銃を右手で体の中央前に上げ、同時に左手で銃の引金室前部を握り、前腕を水平にして体につけ、小銃を体から約10センチメートル離して垂直に保ち、次に右手で銃把を握って行う(自衛隊の礼式に関する訓令第10条参照)。天皇や国旗に対して行われる。
- 捧げ銃の敬礼
- 着剣していない小銃による。動作は着剣捧げ銃の敬礼に同じ(自衛隊の礼式に関する訓令第10条参照)。
- 銃礼
- 左手の手のひらを下にして指をそろえて伸ばし、手首と前腕をまっすぐにしておおむね水平に伸ばし、人さし指の第1関節が銃に軽く接触する程度に保って行う(自衛隊の礼式に関する訓令第10条参照)。他の敬礼と異なり、旧日本軍では行われていなかった敬礼の方式で、アメリカ軍での“rifle salute at right shoulder”(右肩担い銃敬礼?)に相当する。
- 挙手の敬礼
- 右手をあげ手のひらを左下方に向け、人さし指を帽のひさしの右斜め前部にあてて行う(自衛隊の礼式に関する訓令第10条参照)。詳細は#挙手の敬礼参照。
- 10度の敬礼
- 頭を正しく上体の方向に保ったまま、体の上部を約10度前に傾けて行う(自衛隊の礼式に関する訓令第10条参照)。
- 45度の敬礼
- 頭を正しく上体の方向に保ったまま、体の上部を約45度前に傾けて行う(自衛隊の礼式に関する訓令第10条参照)。
- 頭右(左、中)の敬礼
- 頭を受礼者に向けて行なう。ただし、頭を向ける角度は、約45度を限度とする。着帽時に行われる。脱帽時は基本的に「頭」の号令で受礼者を向き、「中(左・右)」の号令で10度の敬礼を行う(自衛隊の礼式に関する訓令第10条)。部隊の敬礼の一種なので、部隊長以上に対して行われるべきであるため、陸上自衛隊では、中隊長(特科部隊等を除く・但し、特科部隊は離着任式のみ頭中の敬礼が行われる。)以上の部隊指揮官及び幕僚長に対して行われる。
- 姿勢を正す敬礼
- 気を付けの姿勢をとって行う(自衛隊の礼式に関する訓令第10条参照)。脱帽時の敬礼の一種(主に国歌に対して行われる)。
- 旗の敬礼
- 隊が姿勢を正す敬礼を行なう場合は、姿勢を正してそのまま捧持し、その他の敬礼を行なう場合は、右手で旗ざおを垂直に上げ同時に左手で右わきのところで旗ざおを握り、次に旗ざおを水平に前方に倒して行う。ただし、捧持用バンドを使用して捧持している旗は、右手をのばし旗ざおを水平に前方に倒して行なう(自衛隊の礼式に関する訓令第51条)。主に中隊(隊)以上の部隊で行う。
- 捧げ刀
- 刀を顔の前に捧げて行う。自衛隊の礼式に関する訓令には規定がない。
- 栄誉礼 :将補以上に対して行われる。栄誉礼参照。
- 自衛艦旗を掲揚し又は降下する場合の敬礼の手順については軍艦旗#軍艦旗の掲揚の項を参照。各員は挙手の敬礼又は姿勢を正す敬礼を行う。
[編集] 帝国陸軍の礼式
帝国陸軍においても独自の礼式が定められた。種々の沿革があるが、陸軍礼式令(昭和15年1月25日軍令陸第3号)によると、第4章に軍旗に関する敬礼が定められている。
- 軍旗の敬礼
- 軍旗に対する敬礼
- 抜刀将校や武装下士官兵の軍旗に対する敬礼は天皇に対する敬礼に同じである。すなわち、抜刀将校は刀の礼、武装下士官兵は捧銃・捧刀の礼を行う。
- 室内においては、拝礼する。
- 軍旗に行き遇い又はその傍を通過する者は、行進間においては停止し、乗馬者は乗馬のまま、乗車者は乗車のまま、軍旗に面して敬礼を行う。
[編集] 挙手の敬礼
[編集] 概要
挙手の敬礼(挙手注目の敬礼)は、軍隊の敬礼の中で最も有名なものである。日本では旧軍、自衛隊は元より、軍礼式を参考として導入している警察・消防・鉄道なども含め脱帽時には決して行わないが、日本以外の軍隊においては脱帽時にも行うところが多い。また、掌(てのひら)を、下方に向けるか、前方に向けるかという差もあり、日本軍や自衛隊では掌は下方に向けるが、フランス陸軍などでは前方に向ける。
[編集] 日本陸軍
陸軍礼式令(昭和15年1月25日軍令陸第3号)では、「挙手注目の敬礼は姿勢を正し右手{傷痍疾病に依り右手を使用し得ざる者は左手}を挙げ其の指を接して伸ばし食指と中指とを帽の庇の右(左)側(庇なき帽に在りては其の相当位置)に当て掌を稍〻外方に向け肘を肩の方向にて略〻其の高さに斉しくし頭を向けて受礼者の目若くは敬礼すべきものに注目す」(片仮名を平仮名に改め、小文字を{}で括る。)とされる。なお、寺内正毅元帥は右腕が不自由だったため、左手を挙げて敬礼を行っていた。
[編集] 自衛隊
自衛隊の礼式に関する訓令第10条では、「右手をあげ手のひらを左下方に向け、人さし指を帽のひさしの右斜め前部にあてて行う」とされる。右肘の角度が陸・空と海で異なる。海上自衛隊の挙手の敬礼は、狭い艦艇内で行われることを想定しているため、右肘上腕部を右斜め前約45度に出して、肘を張らない特徴がある(張ると、擦れ違い敬礼の交換の際に肘が当たってしまう)。
[編集] 警察礼式
警察礼式(昭和29年8月2日国家公安委員会規則第13号)に定めがある。
- 室内の敬礼
- 受礼者に向って姿勢を正し、注目した後、体の上部を約15度前に傾け、頭を正しく上体の方向に保って行う。その場合において、帽子を持っているときは、右手にその前ひさしをつまみ、内部を右ももに向けて垂直に下げる(制帽を持っている婦人警察官にあっては、右手にその縁をつかみ、記章を前方に、内部を右腰に向け、右腕に抱える。 )。
- 挙手注目の敬礼
- 受礼者に向かって姿勢を正し、右手を上げ、指を接して伸ばし、ひとさし指と中指とを帽子の前ひさしの右端(制帽を着用している婦人警察官にあつては、つばの前部の右端)に当て、たなごころを少し外方に向け、ひじを肩の方向にほぼその高さに上げ、受礼者に注目して行う。刑事ドラマで、しばしば登場人物の刑事が私服無帽ながらこれを行なうシーンが登場するが、厳密には誤り。
- 警棒の敬礼
- 受礼者に向かって姿勢を正し、警棒を握ったこぶしを前方に向け、そのおや指があごの直前約10センチメートルの位置に来るよう活発に上げ、警棒を身体と約15度になるように前に傾け、つばの一方の先端部をあごに向けて受礼者に注目して行う。捧刀の礼の動作に同じ。
- 部隊の敬礼
- まず隊列を正し、指揮官の「かしらー右(左)」又は「注目」の号令で、受礼者に対し、指揮官は挙手注目又は警棒の敬礼を行い、隊員は、注目し、「なおれ」の号令で旧に復する。受礼者が、隊列を離れること約8歩の所で行う。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 自衛隊の礼式に関する訓令(昭和39年5月8日防衛庁訓令第14号)
- 警察礼式(昭和29年8月2日国家公安委員会規則第13号)
- 東京消防庁礼式規程(昭和42年6月1日東京消防庁訓令甲第13号)
- 防衛ものしり博士「各個の敬礼」(財団法人防衛弘済会)