指南車

馬鈞が製作したという指南車（レプリカ）

指南車（しなんしゃ）は、乗っている仙人の人形が常に南の方向を指し示す車のこと。

中国の伝説の皇帝である黄帝が戦の為に作らせたと史書に記載がある。史書によると磁石は使われず、左右の車輪の回転の差から機械的機構により方位を特定する仕組みであったとされている。その仕組みは、現代の自動車などにおける差動歯車の原理に類似するものである。

指南車は原理的に南でなくどの方向でも可能であるが、中国古来の思想に「天子は南に面する」というのがあり、それに基づくとされる。

また、指南車の指南という言葉は、「指し示す」という意味から「教える」という意味に使われ、同様に教師、先生のことを指南役ともいう。英語のorientationの原義が「東に向ける」であることとも共通性が感じられ興味深い。

[編集] 伝説

指南車にまつわる伝説として、史書には次のように記されている。

中国の国家の創立者である黄帝軒轅（けんえん）は、崑崙山脈の壮大な宮殿に住んでいた。一方、同じ時期に敵対していた部族長、蚩尤（しゆう）は戦上手であり、黄帝の領土に攻め込んだ。その際、蚩尤は人工的に霧を起こし目くらまししようとしたが、指南車があることで黄帝は方向を見失わず勝利したとのことである。

指南車のからくり人形。愛知万博にて

古い時代の物は残っていないが、復元されたものは、北京の歴史博物館、台北の故宮博物院に所蔵されているほか、国内では、高山祭の屋台試作の他、愛知万博の長久手愛知県館の展示物の例がある。

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