拘禁反応
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拘禁反応(こうきんはんのう)とは、刑務所や、拘置所など、強制的に自由を阻害される環境下で見られる人格反応を指す。強制収容所や、捕虜収容所にも見られる。
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[編集] 種類
[編集] 拘禁性神経症
[編集] 精神身体疾患
- パロール神経症[1]
パロール神経症は、仮釈神経症とも呼ばれ、いわゆる仮釈放(パロール)に際しての拘禁反応である。下記文献を報告した栗原徹郎によれば、中野刑務所において1960年(昭和35年)の1年間に仮出所した353名について、何らかの心因反応を起こした者について報告した。心因反応を起こした者は27名であり、その全てが財産犯であったという。中野刑務所は比較的犯罪程度が進んでいないものを収容する施設(A級施設という)であり、一概には判断は出来ないが、全てが財産犯である点が特筆される。年齢分布については、27歳以上のものが一人もいなかった点が興味深い。
このような心因反応に至る原因としては、現在、刑務所内と社会との文化的格差が広がり、その適応不安が心因反応を引き起こすと推察される。
- 拘禁性無月経症[2]
拘禁性無月経症は、拘禁によるストレスが月経不順を引き起こし、その結果、無月経症に至る状態を言う。通常は拘禁状況が解かれると軽快する。
[編集] 原始反応
- 爆発反応
- 短絡反応→衝動的自殺傷
- レッケの拘禁混迷
[編集] 反応性朦朧状態
- 的外れ応答[3]→ガンゼル症状群とも称する。
的外れ応答は日本の犯罪精神医学者である中田修が『的はずれ応答の精神病理について』精神医学第5巻第10号1963年にて提唱された名称であり、それまでは「でまかせ応答」などと呼ばれていた。 医学的には的外れ応答ではなく、「ガンゼル症状群」と呼ばれるのが一般的である。ドイツの精神科医であるガンゼル(Ganzer,S.)が1898年に発表した症例であるが、その後、前記の中田によってスネル(Snell,L.)が1888年に報告していることが明らかとなり、便宜的に本稿では「的外れ応答」と称する。
ガンゼルは4名の囚人について奇妙な言動を見出した。うち3名は未決囚であった。それは質問に対する答え応答するが、その答えが正解と微妙にずれているというものであった。例を挙げると、1+1=3、4-1=2であったり、リンゴを前にしてオレンジ、自分の苗字が「タカハシ」であるのが「タカシ」であったりするのである。もちろん、その中で正解であるものも多く、また舌足らず的に、一語一語を区切って「タ・カ・シ」などと幼児的に応答するのが特徴とされている。
それゆえ、ガンゼル、本症例の先取権者であるスネルらは詐病と考えていた。
一般的にはガンゼル症状群単独で現出例は稀であり、うつ病やそのほかの精神疾患を合併している例が多い。日本の小木貞孝(作家の加賀乙彦・彼は以前、東京拘置所の医官であった)は『死刑囚と無期囚の心理』金剛出版1974年のなかで、ガンゼル症状群を呈した死刑確定囚の全てがビルンバウムの妄想様構想に移行したと報告しているので、その前駆症状とも考えられる。
日本の中田は麻酔分析を行うことでガンゼル症状群が軽快することを確認(『精神医学からみた拘禁反応と詐病』矯正医学37巻2号54頁1988年)し、麻酔分析がその治療に有効であることを証明した。
[編集] 反応性気分変調
[編集] 反応性抑鬱状態
- 心気症
- 確信犯的自殺傷
[編集] 反応性妄想状態
- 闘争妄想群:好訴妄想、無罪妄想
- 願望妄想群:赦免妄想、革命妄想[6]
- 被害妄想群:ビルンバウムの妄想様構想、被毒妄想、注察妄想
- その他:否定妄想、空想妄想
[編集] 詐病
[編集] その他
- カンゴク太郎[8]
- 処遇困難者
- 食糞行為
[編集] 分類の方針
拘禁反応の明確な分類や種類は精神医学診断の権威であるDSM(アメリカ精神医学会による精神障害の診断と統計の手引き)にも記載がなく、専門書などにも公式な分類は記載されていないので、各専門書を総覧し拾い出したものであることを付記しておく。その分類は投稿者によるものである。
[編集] 参照文献
- ↑ 栗原徹郎『中野刑務所における仮釈神経症について』矯正医学12巻特別号10頁 1963年
- ↑ 高沢勝英ほか『環境の変化が月経に及ぼす影響・第4報』矯正医学10巻特別号100頁 1961年
- ↑ 中田修『的はずれ応答とスネル』犯罪学雑誌39巻156頁 1973年
- ↑ 野村章恒『心因性精神病、殊ニ拘禁性精神病ニ関スル臨床的知見』精神神経学雑誌41巻3号1頁 1937年
- ↑ 小木貞孝『拘禁状況の精神病理』異常心理学講座第V巻 みすず書房 東京 1974年
- ↑ 中田修『奇跡を信ずる死刑囚』犯罪学雑誌25巻146頁 1959年
- ↑ 佐藤愛『詐病の心理ー拘禁場面に於ける問題としてー』矯正医学6巻4号61頁 1957年
- ↑ 樋口幸吉『パネルディスカッション「拘禁」』矯正医学9巻特別号29頁 1960年
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