幻燐の姫将軍2 ~導かれし魂の系譜~
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幻燐の姫将軍2 ~導かれし魂の系譜~ | |
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プラットフォーム | Windows 98/Me/2000/XP |
発売元 | エウシュリー |
発売日 | 2003年12月19日(DVD-ROM版) 2004年1月23日(CD-ROM版) |
ジャンル | シミュレーションRPG |
レイティング | 18禁 |
名前変更 | 不可 |
エンディング数 | 16(ゲームオーバー除く) |
セーブファイル数 | 100 |
画面サイズ | 800×600 |
BGM再生方式 | |
キャラクターボイス | 女性キャラのみ |
CGモード | あり |
音楽モード | あり |
回想モード | あり |
メッセージスキップ | 全文 |
オートモード | あり |
『幻燐の姫将軍2 ~導かれし魂の系譜~』(げんりんのきしょうぐん2 ~みちびかれしたましいのけいふ~)は2003年12月19日にエウシュリーから発売された18禁シミュレーションRPGゲームである。パッケージ等の表記では、「幻燐の姫将軍2」ではなく「幻燐の姫将軍Ⅱ」となっている。
目次 |
[編集] ストーリー
魔族の血を引く「半魔人」の青年、リウイ・マーシルンは、人間族の暴力と「勇者」の侵略により、父親である魔神グラザと母親とを同時に失ったが、仲間や自身の力を武器に見事その復讐を果たし、ラウルバーシュ大陸中原北部・レスペレント地方の東の小国、メンフィル王国を手に入れた(これまでの話が、前作「幻燐の姫将軍」に収められている)。
それから4年の月日が流れ、周囲の風当たりも厳しさが和らいだ折、リウイはかねてからの夢だった「人間族と魔族、及びその他の種族との共存」を叶えるべく、西の超大国・カルッシャ王国での会談へと向かう。元カルッシャ第三王女で、現在はリウイを最も近い場所で支える、メンフィル王妃イリーナ・マーシルンを始め、未だ国に残る反乱分子や、今まで「魔族の王」に対する偏見と戦ってきた仲間達も旅路を共にし、順調に日程を消化。カルッシャ到着後、リウイと同じ考えをもつカルッシャ宮廷魔導師テネイラ・オストーフとも意気投合し、このまま会談は順調に進むかと思われた。
しかし、その最中に突如身元不明の刺客が現れる。リウイは何とか応戦するが、テネイラ師は不覚を取られ殺される。会談の場に同席しており、その勇敢さと残忍さ、そして仮面をつけたその容貌から「姫将軍」とも呼ばれている、カルッシャ王国第一王女エクリア・テシュオスが倒れた刺客の鎧を剥ぐと、そこには魔族の姿があった。エクリアは彼らがメンフィルからの者であると判断。リウイは必死に否定したが、自己の安全を最優先し這々の体(ほうほうのてい)でカルッシャを離れる。これこそが、リウイを「テネイラ師殺害事件の犯人」と仕立て上げるために、エクリアが仕掛けた罠であったのだ。
あと1歩のところで掌からこぼれ落ちた夢…。果たしてリウイは関係諸国との関係を改善し、自らが望む「全ての種族が共存する世界」を創り上げることができるのか、それとも…?
[編集] ゲームの進め方
舞台となるレスペレント地方の東の果て・メンフィル王国からスタートし、基本的には西へ西へと歩を進めてカルッシャ王国を目指す。時間の経過は週単位で刻まれ、各国のキースポットへ出向く(その右上に、キャラクターの顔の絵や戦闘を意味する剣のマークなどがある場合)、仲間と視察に出かける、妻イリーナや側室(後述)の誰かと一夜を過ごすなどで1週が消費される。マップの中には「次はこの場所へ行かなければならない」という「重要拠点」が定められており、決められた週が経過すると強制的にその場所でのイベントが始まる。ひとつの拠点を制圧すると次の拠点が出現する、といった流れが繰り返されていく(制圧した後、少し時間をおいて次の拠点が出現する場合もある)。そして、1つの国を制覇すると、次はどこの国へと侵攻していくかを、基本的には2択で決定する。ストーリーの大まかな流れはこれで決まっていく。
戦闘パートは戦略性SLGの流れを汲んでいる。「味方ユニット」と呼ばれる、侵攻の際にリウイが仲間にしたキャラクターを戦闘マップ上に配置し(配置できる味方ユニットの上限はマップ毎に決められている)、移動、攻撃などのコマンドを駆使して勝利条件(マップ上にいる「敵ユニット」の殲滅、全てのスイッチの作動など)を満たすことが目的となる。時間経過は「Round(ラウンド)」と「Frame(フレーム)」で表し、500フレームを1ラウンドとして、決着がつくまで無限にラウンドを重ねる(ラウンドとラウンドの間で途中経過をセーブすることができる)。各コマンドには「行動力」というものが定められており、コマンド終了後にキャラクターが消費するフレームのことを示す。つまり、コマンドを少なくすれば次の行動に早く移れるが、その反面勝利のために何らかのコマンドは起こさなければいけないという「駆け引き」の重要性が秘められている。
基本的には、主人公であるリウイが体力をそがれて死亡することは即ゲームオーバーを意味し、また他のほとんどのキャラクターも1度倒れると死亡扱いとなり、その後のストーリーや戦闘に二度と顔を出さなくなってしまう。優位に戦闘を進めていたものの、主力ユニット1人が死亡したためにその戦闘を最初から全てやり直す羽目になったプレイヤーも少なくないだろう。
[編集] 登場国・人物紹介
登場するキャラクターについては「幻燐の姫将軍2の登場人物」を参照。
[編集] ロウ値・カオス値とエンディング
このゲームには、ストーリーを通じて「Low(ロウ)値」及び「Chaos(カオス)値」なるパラメータが設定されている。端的に言えば、リウイの心の中及び周囲の評価を表したもので、リウイが穏やかな心で他国との交渉を行ない、また道徳的な行為を行なっていけばロウ値が上がり、逆に武力で国を抑えにかかったり本能の赴くままに破壊・陵辱を繰り返したりするとカオス値が上がっていく。そして、最終的なロウ値・カオス値の分布でエンディングが分かれていく。具体的に書くとネタバレになるので詳しくは触れないが、魔神ディアーネと手を組んでロウ値が上がることは絶対にない、ということくらいは想像に難くないだろう。
[編集] 側室
武力で制圧した国の姫や指導者は、側室として王城に招き入れることができる。メニューの「側室」コマンドを選び、キャラクターを選んで「奉仕1」「2」をさせることができるようになる。ちなみに、国家間の和平を達成し味方ユニットとなった場合は「盟友」となり、同じく「側室」コマンドで各地の視察に同行させることなどができる(これは側室となっても可能)。基本的には、側室に奉仕をさせるとカオス値が上がるので注意。また、町娘ユイも側室に入れることができる。
[編集] ファンブック
2004年5月28日、株式会社MCプレスより「幻燐の姫将軍Ⅱ ~導かれし魂の系譜~ 公式ガイドブック」が発売された。各キャラクターの設定集や攻略法の他に、Ver.2.0のアップデータやオリジナル壁紙などが入ったアペンドCD-ROMが同梱された。Ver.2.0では、新規アイテムやおまけのバトルシナリオ、それにラギールの店の売り娘・チキのニューコスチュームが追加され、さらに町娘ユイ及び姫将軍エクリアを味方ユニットにするか否かなどの詳細設定が可能になった。現在ではファンブックは発行を終了したが、アペンドディスク自体は通信販売で手に入る(詳しくはエウシュリーのホームページまで)。
[編集] ネタバレに関する情報
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
・エンディングは、まず4つの土台があり、それから各キャラクターへの個別エンドへと分かれていく。土台の4つは、ロウエンドとカオスエンド、そして中立A・中立Bエンド。カオスエンドからはディアーネとの、中立Bエンドからはカーリアン、ティナ、ペテレーネ、ファーミシルス、シルフィア、レアイナ、ラピス、リン、セリエル、ニーナ、フェイエ、ティファーナ、リオーネとの個別エンドへと発展させることができる。
・謎の男の名前はセリカ・シルフィル。これは、同じくエウシュリーの看板タイトル「戦女神(いくさめがみ)」シリーズの主人公である。外見上は女性のようだが、それは古き女神の肉体を持っているためであり、実年齢はシルフィアやフェイエなど足元にも及ばないほど。剣に封印されし魔神ハイシェラ(CV:知七)と共に世界を渡り歩く、“神殺し”の二つ名を持つ不老の戦士である。
・エクリアが常に仮面をつけているのは、母リメルダから魔力と共に受け継いだ、姫神フェミリンスの呪いを抑えるため。ケルヴァンにより母が父であるラナート国王と宰相サイモフに殺されたことを知り激怒、力を抑えきれずに“殺戮の魔女”エクリア・フェミリンスとなるが、ストーリーの中盤から終盤に移る頃にセリカと対峙し一戦交える。力の差は歴然としていたが、とどめを刺すどころか「呪いを背負って生きるお前の未来を少し見たくなった。いつか殺してほしくなったら俺の元へ来い」と言い捨てて去るセリカに、言いようのない複雑な感情を抱く。
・リウイの母の名前は、アリア・フェミリンス=マーシルン。つまり、他ならぬリウイ自身も、姫神フェミリンスの血を引き継いでいたのである。ロウエンドでは、それを知ったリウイは自らの命をもってエクリアの呪いを解くことを決意。しかし、今までの数年間を共に戦ってきた仲間達、とりわけ、愛する夫の死を悲しみ、嫌い、防ぎ護ろうとするイリーナらの必死の介抱によって全治数ヶ月程度の怪我に留まる。
・ロウエンド以外では、イリーナはエクリアの手で殺されてしまい、カオスエンドと中立Aエンドではリウイがそのエクリアを殺して最後のシナリオへと進むが、中立Bエンドではリウイは自らの様々な感情をこらえてエクリアを逃がす。姫神の力に溺れていた状態から目が醒めたエクリアは自らが犯した罪に耐えきれず、自分を殺してくれるただ一人の人物・セリカを求めて逃げるように旅に出る。プロデューサーのつるぎゆきの氏曰く、「中立Bこそが真のエンディングであり、これこそが『幻燐』シリーズと『戦女神』シリーズとのつなぎ目である」とのこと。
・『幻燐』の4年後が『幻燐2』という位置づけだが、さらに数百年後の時を経て『戦女神』、そして『戦女神2』の世界観とつながっていく。これら2シリーズを繋ぎとめる楔となるのが、エウシュリーの今後の作品『戦姫EPISODE-4(開発コード)』である(発売日は未定)。なお、直接的な関係はないが、同じくエウシュリーの作品『峰深き瀬にたゆたう唄』は、『幻燐2』のおよそ百年後の設定となっている。
[編集] スタッフ
- 企画・プロデュース:つるぎゆきの
- 原画:鳩月つみき
- シナリオ:松江旺來(まつえ・あきら)
- グラフィックチーフ:JENNI
- サブディレクター:heki.
- メインプログラム:KTI
- プログラム:FALS