常磐炭田
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常磐炭田(じょうばんたんでん)とは、福島県富岡町付近から茨城県北茨城市付近にかけた炭田のことである。
[編集] 炭鉱開発
明治時代初頭から、福島・茨城両県の海岸線に面する丘陵地帯にかけて大規模な炭鉱開発が行われた。これは、首都圏に最も近い炭鉱として注目されたためである。しかし硫黄分の多い炭質という不利な条件があり、さらに地層が激しい褶曲を受けているため、掘削は石炭層を求めて地下へとひたすら掘り下げる、技術を要する炭鉱であった。このため、コスト増により各鉱は採算が次第に悪化。最後まで残った常磐炭砿(後の常磐興産)の所有する鉱山も1976年に閉山し、石炭業自体も1985年に撤退している。
[編集] 常磐炭田地域の現在
常磐興産は、炭鉱の斜陽化による収益の悪化を観光業に転換することで生き残りを図った。かつては炭鉱の坑道から温泉が湧出し、労働者を悩ませただけでなくいわき湯本温泉を湯枯させてしまったが、その温泉を利用して常磐ハワイアンセンター(現スパリゾート・ハワイアンズ)を建設し成功を収めた。また鉱床をボーリングしていわき湯本温泉の安定した源泉を確保している。また地場の大企業である日立製作所関連企業が石炭産業従事者の大部を吸収し、自治体としての基盤の維持に貢献した。他の産炭地域の人口の激減・地域振興策の失敗による無惨な状況に鑑みれば、奇跡的とすらいえる。 2006年公開の映画『フラガール』は、閉山前後のこの地域を描いている。