山村留学
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山村留学(さんそんりゅうがく)とは、都市部の小学校や中学生が長期間に渡って親元を離れ、自然豊かな農山漁村で生活をすること。さまざまな自然体験や農山漁村の暮らしを体験することによって、子供たちの生きる力を育むことを目的としている。
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[編集] 歴史
東京の小学校教師が夏休みに故郷・長野県八坂村(2006年1月からは大町市)で行った教育キャンプが発端である。
年齢にあわせた無理のない活動内容や農山村地域住民の協力・指導のもと、自然とともに生きる中で培われてきた現地の生活文化をじっくり体験することを重視したことなど当時としては画期的なプログラムが参加児童に好評で、だんだん長期滞在を希望する者が多くなったことから長期のプログラムも実施。
それでもまだ好評で、参加者からもっといたい、という声が上がったため1年間単位で実施するこの制度がスタートした。
[編集] 生活方法
- 山村留学センターを用意する方式
- 専門指導員の下、多彩なプログラムが体験できる。
- 終了後も施設によっては短期体験活動などのリーダーができるところもある。
- 施設の中には、フリースクール的な運営方針のところもあるため、事前にしっかりと親子で運営方針を確認し、その親子にあった施設を選択する必要がある。
- 農山村地域住民に協力してもらい、農家の生活文化を体験させる方式
- 地域に溶け込みやすく、終了後も農家との交流を通してその地域と付き合いが生まれる、といった長所がある。
- しかし、農家にかかる負担が大きく、地域住民が高齢化すると受け入れを中止したり方式の変更を余儀なくされることが弱点である。
- 両方を併用する方式(農家・センター併用方式)
- 半分はセンターで指導員と集団生活し、残り半分は地元の農家で生活するという方式がとられる。大町市の八坂・美麻の山村留学はこの形式をとっている。
- 多彩な体験ができるほか、子供たちにとっても自分を生かす場所の選択肢が広がり、のびのびとした生活が送れるという長所もある。
- 地元が住宅を用意し、そこに親子で入居する方式
- 人口定着率を高めたい場合などによく実施される。
- しかし、親子で生活するため親が山村留学の趣旨をよく理解し、協力的であることが求められる(2キロから4キロ程度のところは歩いて通学させるなど)。
いずれにせよ、山村留学生は地元の学校に通い、地元の子供と一緒に学校生活を送る。
[編集] 目的
- 農業を体験する
- 自然の中で遊ばせることで自然を知る
- 過疎地域の人口減に伴い、児童・生徒数減少による廃校に歯止めをかける
- 集団生活を理解させ、連帯感を養う
- 地元の行事・祭り・スポーツに参加させ、子供に多くの活動の体験をさせる
- 親元から離れて暮らすことで、自立を促す
[編集] 問題点
- 素行に問題がある子供、情緒不安定の子供などを親が手放したいと思う場合、また転地療法の感覚で子供を山村留学に送ることで都市部・留学先が軋轢になる場合がある。
- 親元から離すことでホームシックや、文化が異なる場所に住むことによることでストレスを感じ、孤立する場合もある。
- 中には、留学の成果が上がらず実施校が廃校に追い込まれる場合もある。
- 里親方式の場合、受け入れる里親側の高齢化という問題もある。
[編集] その他
- 天海祐希主演のドラマ「楽園のつくりかた」は、父親の死を受容しきれない主人公が亡き父親の生家に母子で山村留学するという設定だった。
- 長崎県では、山村留学の離島版というべき、「高校生の離島留学制度」を実施している。
[編集] 関連サイト
育てる会山村留学発祥団体