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容認発音(ようにんはつおん、英語:Received Pronunciation, RP)は、イギリス英語の伝統的な事実上の標準発音である。世間にはイングランド南部の教養のある階層の発音、公共放送局のBBCのアナウンサーの発音(BBC English)、王族の発音としても知られ、外国人が学習するのはこの発音である。
今なおRPが「イギリス英語の標準発音」と国際的に認識されていて、他の英語圏の人にも理解されやすいことから、自国外ではなるべくRPに近い英語を使おうとするイギリス人も少なくない。またRP自体の変化も進行しされていて、現在のBBC放送の標準発音は1950年代のそれとは違っている。
しかし1960年代以降イギリス各地で使用されている地域独自の発音の地位が上がり、BBCでもRP以外の発音が普通になるにしたがい、伝統的にRPを使用していた階級も若者の間ではその使用が失われる傾向にある。現在、RPの話者はイギリス人口の約3%程度にまで減少した。
将来は1980年前後からイギリス・ロンドンとその周辺で使われるようになった河口域英語がRPに代わるイギリス英語の標準語となるとみなす声も多い。
二重母音 |
第二要素が前母音 |
第二要素が後母音 |
第二要素が中母音 |
第一要素が前母音 |
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[ɪə] |
第一要素が半広母音 |
[eɪ] |
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[ɛə] |
第一要素が中母音 |
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[əʊ] |
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第一要素が広母音 |
[aɪ] |
[aʊ] |
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第一要素が後舌円唇母音 |
[ɔɪ] |
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[ʊə] |
[編集] 特徴
- "ask" "bath" "chance"など(後続の子音が「二字一音の摩擦音」「摩擦音+破裂音」や「鼻音+他の子音」であることが多いが、規則的ではない)の"a"はRP(容認発音)では非円唇後舌広母音([ɑ])となる。
- "player"など音節末の r (r音化)はRP(容認発音)では発音されない([pleɪə])。ただし、"for a long time"など後ろに母音が続く場合は連音化(リエゾン)を起こす。
- "better"など母音間・強勢後の /t/ は "t"(ベター)とアメリカ英語よりもはっきり発音。(アメリカ英語は弾音。RP以外のイギリス式発音は声門閉鎖音が多い。)
- "bluntness"などの[/t/]は声門閉鎖音([ʔ])になる。
- "head"など語頭の/h/ を発音する。(イングランドでは発音しない人も少なくない。)
- /ou/を[oʊ]ではなく[əʊ]で発音する。[ɛʊ]のように聞こえることもある。
- "new" を[/njuː/] (ニュー), tune を[/tjuːn/] (チューン)と発音する。(アメリカ英語では[/nuː/](ヌー), [/tuːn/](トゥーン)と発音する人が多い。)
[編集] 旧い発音
- off, cloth, gone などを[ɒ]でなく[ɔː]とする。
[編集] 関連項目