定府
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
定府(じょうふ)とは、江戸時代において、参勤交代を行わずに、江戸に定住して、将軍に仕える者をいう。
[編集] 概要
参勤交代を行う交代寄合を除く旗本・御家人は、江戸に定住して将軍に仕えたため定府である。
諸大名にあっては、家康によって江戸定住が定められていた水戸藩徳川家と、老中・若年寄・寺社奉行など幕府の公職にあって江戸城に詰めている藩主(主に譜代大名)は、江戸に定住する必要性があったので、当然に定府となる。
また諸藩の藩士(将軍の陪臣)は、その江戸屋敷に常勤している者(あるいは江戸常勤の家柄の者)を定府と呼んだ。定府の藩士の多くは、江戸に家族と菩提寺・檀那寺を持ち、江戸で亡くなっても遺骸や遺骨などを在所に持ち帰らない。
これに対して、藩主の参勤交代と共に、在所に帰還する者は、江戸詰めと呼ばれ、定府とは分けて考えられた。